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川の流れのように〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#49

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

今回は「工数」です。プロジェクトでは苦しくなるとついつい人員補充をしたくなります。しかしながら補充した割に効果が出なかったりします。その辺を解説してみようと思います。

プロジェクトの人員推移

トラディッショナルなウォーターフォールなITシステム開発プロジェクトでは、プロジェクトのフェーズによって人員が大きく変化します。

プロジェクトのフェーズと人員数(例)

要件定義や設計の初期は少数で行い、それで溜まりに溜まった設計ドキュメントをもとに一気に開発というかコーディング、それを大量のテスターを動員して一気に納品する・・・・みたいな流れ。昭和から平成初期のシステム開発はこのような惨状状況でした。

若手のエンジニアが急によくわからないまま、大量の人員を動員する開発チームに放り込まれ、そこからそのまま毎日徹夜・・・みたいな話はご老人のみなさんなら必ず聞いた話でしょう。

工数投入は効果があるのか?

これをプロジェクトマネジメンの世界では「クラッシング」といいます。

これはプロジェクトに資源(人間扱いしていない人員と残業時間)を投入しプロジェクトの遅れを回復する納期を短縮するという手法ですが、うまく使うと効果的な場合もある反面、追加した要因に対する教育コスト(一番優秀なメンバーが教育係として消耗)もかかり、有効でない場合が多い友いわれます。

つまりあんまりやらない方がいいという話です。

これをわかりやすく解説してみます

10人の人間が1ヶ月フル稼働する

まずは10人の人間を同時に1ヶ月間投入したケースを考えてみます。10人は全員初めてのプロジェクトなので投入前に1ヶ月間の教育期間、投入後に1ヶ月間の引き継ぎ期間が必要とします。

10人を同時に投入

そうすると実際に消費する工数は30になります。そして得られる効果は10でしかありません。たしかにあまり効率的な感じはしません。

ちなみにこれにコミュニケーションコストが人数分必要になるし、人事的な管理も増大します。

1人の人間が10ヶ月フル稼働する

今度は1人の人間を10ヶ月働いてもらうケースについて考えてみます。こちらも平等に投入前に1ヶ月間の教育期間、投入後に1ヶ月間の引き継ぎ期間が必要とします。

1人を10ヶ月投入

この場合10の効果を12の工数で実現するわけで、効率性は一気に良くなります。さらにコミュニケーションコストも少ないですし、人事的な管理もテキトーで充分です。

メンバーは成長する

しかも、10ヶ月も居ればたいていの人材は成長します。効率も高くなることを考えると10以上の効果を得ることができます。

あきらかにこちらのほうが効率よい活動です。

鉄砲水より1年の小川の流れ

最初に示したプロジェクトの例を言うと、少ない安定したメンバーで各プロセスをメンバーで分担し最後まで同じメンバーで走りきったほうが投資対効果が高いのです。
これをスクラムなどの手法を使って活動すると効率的なのですが、別にスクラムをしなくてもふりかえりとカイゼンくらいだけでも充分に効果的です。

メンバーは使い捨てではなく、ちゃんと人間として接すれば品質も必ず上がるはずです。

水の量は1回の鉄砲水よりも、1年間を通した小川の流れのほうが、振り返ってみると水量は多かったりするのです。何より水も綺麗ですし



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keita
チップもらったらきっとMidjourneyに課金すると思います