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進捗報告書は2週間前に作れ〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#82

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

今日は深夜までかけて作りがちな進捗報告書についてのお話です。

深夜のレポート作成

明日の朝は月一回開催されるプロジェクトの会議、会議で報告するチームの進捗資料を夜遅くまで作成するあなた。

・・・・そんな光景ってけっこう思い当たりませんか?

勤務時間終了と同時に各メンバーの最終報告が上がってくるので、それからデータを集計して・・・・場合によっては残業しているメンバーの最終報告を夜遅くまで待って、データ集計し、その状況に対して苦しいコメントを考えて、レポートを仕上げる・・・・気がつけば時刻は深夜時間帯になってしまっている

確かに最新の情報を会議では報告すべき・・・・そういう思いはあるとは思いますが、なんかその想いも努力も報われているのでしょうか?

一生懸命作った報告書もたいていは偉い人の「ふーん」で終わりなのです。

・・・・・深夜残業までして作る意味はありますか?

レポートに必要なのは正しさで鮮度ではない

進捗レポートに求められる必須要件は「正しい」ことです。実際の進捗と全く異なる報告は間違った決断を下される事に繋がるので絶対にいけません。

しかしながら「最新」である必要はないのです。単純に「◯月◯日時点」であればよいので、最新である必要はありません。しかも前の日の夜の情報は、次の日の朝にはもはや最新ではないのです。

情報の締めの時刻さえ明確にしておけば、実現するはずもない「最新」に拘る必要はないのです。そもそも会議の周期が長ければ1日なんか「誤差の範囲」です。

最終日に深夜残業することなんか、全くの無駄でしかありません。
むしろ無理な労働は進捗に対して悪影響を及ぼしかねない愚行でしかありません。報告のために効率を落とすなんて意味はないのです。

思い切って未来を書いてみよう

意味のない「最新レポート」を作るくらいなら、いっそのこと思い切って「未来のレポート」を書く事をおすすめします。

つまりは報告会議の2週間位前に「2週間後の報告会議のときにはこうなっているはず」という事を書くのです。

少なくともウォーターフォール開発であるならばWBSは明確になっていてガントチャートはすでに引かれているのです。それに従って、想定される・・・・というか「ありたい状況」で書いてしまうのです。

「そんな無茶な」と思うかも知れませんがこの行為には3つの大きなメリットがあります。

次からそのことについて整理してみようと思います。

余裕があれば「スキマ時間」が活用できる

まず2週間という余裕には大きなメリットがあります。

仕事というものは常に波というかゆらぎがあります。どんなに忙しい人であっても2週間の間「息をする時間もないくらい忙しい」なんてことはないのです。

忙しい日々の中でも、作業が思ったより順調に進んだり、会議が急にキャンセルになったり、リスクに取ってあった時間が空いてしまったりと、様々な「スキマ時間」が存在するはずです。

「会議の前日」と固定した時間帯であればスキマはないかも知れませんが、時間に余裕があれば、そういった時間を活用することができるはずです。

WBSはやる前に見てこそ意味がある

2周間前に進捗報告書を作るということは、WBSに書かれたタスクを実際に実行する前に見るということです。ここに大きな利点があります。

ついタスクが遅れ始めてから見るWBSですが、「やる前」に見ることで、先々の段取りが見通せたり、タスクの内容やそこに潜むリスク、タスク間に存在するいろんな魔物を事前に見つけて対策をしておくことが出来ます。

さらに事前に把握しておくことで、メンバーとのコミュニケーションの解像度も上がり、スムーズにもなります。

なにか問題がおきたとしても「あぁ、このタスクね」みたいに早く理解することも出来ます。

・・・・というか、あまりやられてませんが本来のWBSのタスク一覧はそう使うものなのです。

「良い未来」をイメージすることで良い未来は実現する

さらに最後にひとつ。

「良い未来」をイメージすることは成功を掴むには非常に重要です。

スポーツの世界などでは「勝利のイメージ」がついているのと、そうでないのとでは大きく結果が異なります。

プロジェクトもスポーツ同様に「勝負事」なので「勝利のイメージ」は成功のためにはとても重要です。イメージが明確であればあるほど、結果はそちらの方に収束していくというのは迷信ではないはずです。

そのイメージで「書く」というのは、そういった効果もあるはずです。

残りはちょいちょいと修正して終わり

そもそもプロジェクトのタスクというものは8〜9割位は予定通りに終わるものです。もし、そうでないとしたら計画そのものの品質が悪すぎ、とかメンバーのスキルがひどすぎ・・・・みたいな状態ということです。

その場合は呑気に定期報告なんかしている場合ではありません。緊急会議を開いてください。

ということで、まともなプロジェクトであればたとえ2週間前に報告書を書いたとしても、修正する(遅れ等が発生する)のはせいぜい2割くらいです。会議前にそこだけ直せばいいのです。

まとめ

というわけで2周間前に報告書を作るメリットは以下の通りです。

・「スキマ時間」を有効活用して効率が良い
・WBSを事前に見ることでリスクを見通せる
・「良い未来」のイメージを持つことで成功につながる



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