大磯とマンハッタン
先日、思い切って休みを取り向かった先は、大磯プリンス。
このホテル沿線にある国道134号線は小さい頃から馴染みがあって、箱根や伊豆にいくためには必須のルート。
夏の盛りを過ぎたホテルのプールの閑散を横目に、箱根へ日帰り温泉に行くのは、今も習慣。
秋冬になると出番が少ないのがこの大磯と思いきや、いつの間にかホテルに併設してインフィニティープール(温水)やサウナ、岩盤浴を楽しめるスパができていた。
ニューヨークのペントハウスのようなデザインの室内には、3種類のサウナがあり、テラスプールからは相模湾を一望できる。フロアの全域は水着着用のため、男女一緒に利用できる点も良い。
訪れたのが、平日の早い午前だったからか、広いフロアはほとんど貸切状態(午後には混んできました)。
インフィニティプールに浸って眺めた11月の海は、銀色の空と均等に分断され、そこに点在する船の群像はさながら印象派の絵画のよう。
サングラスをしたままプールに入る黒髪のマダムを横目に、まるで「自分がこのペントハウスを所有している成功者みたいだ。」という気分に浸かってしまった。
実は、「自分が成功者になったような」この感覚は、20代のはじめ、ニューヨークのマディソンアベニューのラルフローレン旗艦店に入った時にも感じたもの。
入店した際にスタッフが、お客である僕に対し「おかえり。」というニュアンスを込めて挨拶してくれたものだから、途端に店内が『自分の家』だという錯覚に陥った。
そこに拍車をかけたのは、あちこちに飾られたオブジェとしてのトロフィーや、世界のトップを勝ち取ったヒーローたちの写真、そして甘美な香り。
それが相まり、脳内では「これは成功者の家。僕が建てた家。」という錯覚と陶酔感をもたらした。
これは都合の良い勘違いであり、偉大なる勘違い。しかしそれを与えられる所に、ファッションやラグジュアリーの持つ力がある。
その力は殊のほか強く、あの時にかけられた魔法から僕の夢は一向に醒めていない。
大磯プリンスホテル
ターミナルスパ
https://www.princehotels.co.jp/oiso/spa/
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