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【あすか会議2022レポート】観光国家日本の復権に向けた課題と戦略~ポストコロナの展望とは~

※本記事は、あすか会議2022の現地の書き起こしレポート記事です。できるだけ誤りのないように心がけておりますが、現地で書き起こしをしているため、認識間違い/誤りがある可能性がございます。その場合は、コメント欄でご指摘ください。すぐさま訂正をさせていただきます。

コロナ禍によるインバウンドの消滅という試練を乗り越え、ようやく明るい兆しが見えつつある観光産業。政府は2030年にインバウンド6000万人、国内消費額15兆円を目指すという目標を降ろしていない。コロナ禍でも力強く生き抜く経営者たちが、日本の観光産業の復権に向けた新たな戦略と課題を議論する。

梅澤 高明氏
加藤 史子氏
重松 大輔氏
他力野 淳氏

■2030年、日本のインバウンド3000万人、15兆円を狙っている。日本は観光で稼ぐ時代に、と考えている人が多いではないか。

加藤 史子氏
我々はOTAという業態となる。コロナ直後のとき、弊社は従業員がたくさんいたので、新規事業や、資金調達を行ったり、出血を止めることを行った。結果うまく8億円を調達し、リリースで発表した。またいままでbtocでやっていたが、btobで観光DXをやり始めた。その結果、順調に育ってきた。最悪インバウンドが完全に戻ってこない状況でも、従業員を支えられるような体質になった。

梅澤 高明氏
私は地域の観光コンテンツをつくる仕事もやっている。地域の観光コンテンツの立ち上げ支援にプロを入れることが重要だと思う。そこでやったのは、アドベンチャーツーリズムや花火をマネタイズする仕掛けをつくっている。あとは夜間観光。ナイトタイムエコノミーのコンテンツも手掛けている。

ほかには富裕層観光を推進している。菅政権のときから言っていた。コロナになって、富裕層観光が再注目され、チャレンジをしている。

重松 大輔氏
レンタルスペース事業をやっているが、コロナ禍のなかでレンタルスペース飲み会や少人数の集まりができた。いい意味で事業がトランスファーができた。

■円安もありインバウンドは半年後に大爆発する可能性が高い。そのためにどんな準備をしているのか?

他力野 淳氏
地方にどれだけ誘客できるか?が重要だと思う。結局、どこまで交通導線をつくれるか?が重要だと思う。二次導線をどうつくれるか?の成功事例をつくりたい。

あとは、自治体エリアを超えた回遊性をつくりたい。点をエリアの面にしていくことで、強い動機が生まれてる。

梅澤 高明氏
いまの観光は、特定の地域だけを周ろうと思う人は少ない。例えばアートが好きな人は、アートというテーマ別で周る。スポットを線や面にしていく必要がある。多くの人はテーマで動く。

加藤 史子氏
今後のインバウンドの見通しとして、台湾は即もどってくると思う。ただ、中国は年内は難しいと思う。香港は、ある程度の難しさは有ると思う。那覇空港と新千歳は今後開いていく。ただ、地方空港よりも、成田羽田の導線が太い。動線の課題がある。

■コロナ前にはなかったけど、これから顕在化してくるニーズはあるか?

梅澤 高明氏
富裕層に着目している。具体的には、富裕層観光の定義は一人当たり客単価:100万円と定義している。現在の客単価は15万円程度。これから25万円にしようという目的がある。

先日ダボスの観光ランキングで、日本は1位になった。自然や交通、安全性が評価されている。なので、自然と文化の食がコンテンツになる。加えて、狭い国土のなかで色々自然を楽しめる。食も世界一、しかもコンパクトさもある。なので、富裕層観光をやらない手はない。

重松 大輔氏
ユーチューバー登録者世界一の人が日本に移住した。ポテンシャルは有ると思う。

■文化財の貸し切りニーズについて

加藤 史子氏
うちは外国人従業員が多い。アニメや音楽がきっかけであることが多い。こうしたコンテンツにはポテンシャルがあると思う。特定の目的(SIT)の人がいる。日本のコンテンツはバリエーションに富んでいる。川端康成の「雪国」―「トンネルを抜ければ~」は、日本はバリエーションの広さを象徴している。こうしたことはインフラ面も含めてすごいと思う。

他力野 淳氏
日本の文化施設を貸し切れるというのは魅力だと思う。我々は現在、10以上のお城が活用できるようにしている。日本庭園など、日本が誇れるものが、使えるようになってくる。

加藤 史子氏
ある側面では、金閣寺の文化財維持のために、貸し切りニーズをうまく活用ことが必要な部分もある。

梅澤 高明氏
バチカンも貸し切りができる。

重松 大輔氏
大英美術館には、貸し切りを開拓するための法人営業担当がいる。本来は営業担当が付いて、法人の需要を取ってくることが重要だと思う。

■観光政策の課題や提言について、言っておきたいことがあれば教えて欲しい。

梅澤 高明氏
日本の観光産業というのは、旅行ツアーを造成してそれを団体客にうるというモデルが源流にある。なのでポテンシャルはあるが、マネタイズできる事業者が少ない。なので、皆さんに入ってほしいと思っている。

他力野 淳氏
単価が低いのが課題。京都のインバウンドの客単価は2万円。東京は7万円。これだけ人が来ているが、マネタイズをすることを真面目にやってこなかった。京都はお金を取れるポテンシャルはあるが、踏み込めなかった。例えば京都のホテルの客室数はすごいが、一泊10万円を超えるようなホテルは少ない。

加藤 史子氏
京都は単価を上げないとだめ。なぜなら、地域住民が嫌になってしまう。バルセロナは、観光客は帰れムーブメントがあった。こういうことが起こる前に、高単価の宿泊施設をやるべき。つまり地元に経済が回るようにすることが重要だ。

梅澤 高明氏
鹿児島には「天空の森」というリゾートがある。ここのミッションは、「原価を上げる=地域事業者により多く還元する」ことである。こんな考えを持った人を増やす。なので、ナイトタイムエコノミーなどを推進しているのはこうした背景がある。単価が上げるための方策として、夜のコンテンツが有効だと思っている。京都はユニークベニューの塊である。

■(質問)観光業界の問題は、コロナで優秀な若者がいなくなってしまった。生産性の低さをどう儲かる業界にできるのか?

梅澤 高明氏
業界の効率をどう上げるか?まず普通のDXをやることが重要だ。
その次はお客単価を大幅に上げる。地方に小規模だが、単価10~15万円のホテルをどうつくるか?この二点が重要だと思う。

■(質問)富裕層はどの国の富裕層を狙うべきか?

梅澤 高明氏
富裕層はクラスタで捉えるべき。ゆえに、どの国というのはない。だが、規模という意味で言えば、一義的には中国だと思う。

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