「旅をする」ということ
旅は、生き方を教えてくれる。
色んな人に出会い、色んな景色を見て、色んな文化を感じることができる。
すると自分でも知らなかった自分の見えない部分に気がつくようになる。
ふらっと訪れた小さな小さな村が大好きになったり、逆にすごく楽しみにしていた有名な街はあんまり好きになれなかったり。
旅をしていると、本当に予想できないようなことがたくさん起きる。
旅を始めた4年前、東南アジアで1人のスペイン人と仲良くなった。
今はその友人を訪ねにスペインの北東にあるTamariuという小さなビーチ沿いの街に来ている。
彼はそのビーチにあるレンタルカヤックショップのマネージャー。
夏の間、4ヶ月間だけ毎日朝から晩まで働いて、残りの8ヶ月は世界を旅するというライフスタイルを続けているらしい。
バルセロナから2時間バスに乗って、この街に到着。
有難いことに彼の家に泊まらせてくれることになって、一緒にレストランで夜ご飯を食べた。
連れて行ってくれたおすすめのレストランの料理はびっくりするくらい全部美味しくて、カタロニア料理のポテンシャルに衝撃を受けた。
やっぱりこういうのは地元民が1番よく分かってる。
お腹もいっぱいになって時刻は夜の12時。
彼は不意に、「さあ今から海にある洞窟を冒険しに行くよ」と言い出した。
真っ暗な海の上、彼が持っているモーターボートを走らせて近くの洞窟へ出発。
波は穏やか、天気は快晴で、見上げると満点の星空が広がっている。
2人で昔の思い出話なんかをしながら、ゆっくりゆっくりとボートで洞窟の中に入っていった。
しばらく進んで行った先、そこには信じられない光景が。
見たこともないような幻想的な青白い灯り達が、真っ暗な洞窟の海の中一面に広がっていたんだ。
実はその正体はヤコウチュウ(夜光虫)という海にいる小さなプランクトン。
体の中の発光物質とそれを助ける酵素によってチカチカ光を出す特徴がある生き物だ。
水面をパシャパシャ叩くと、その刺激でいっせいに光る。
まるで海の中をたくさんのホタルが泳いでいるよう。
そんな信じられないような光景と無音の世界の中で、朝の3時までボートに寝転びながら夢のような時間を過ごした。
こういう瞬間は、本当に心の底から幸せな感情が溢れ出る。
ワクワクとドキドキで胸がいっぱいになって、アドレナリンがドバドバ出る。
そして地球の自然がもっともっと好きになる。
「旅をする」と、こういう機会にたくさん巡り会えるんだ。
だから僕は旅をする。
少し前、アメリカをヒッチハイクで横断した時もそうだった。
お金なんてほぼなかったけど、たくさんの出逢いに助けられて、バックパックと寝袋だけでアメリカを渡り切った。
旅をするのに、たくさんのお金は必要ない。
いかに最小限のお金で、最大限楽しめるかを考えよう。
そして旅をするなら、その国・その地域の文化や慣習を積極的に知って、それに適応しよう。
例えば、スペインのような時間軸がゆっくりとした国に来たなら、自分のライフスタイルもそのゆっくりとした時間軸に合わせるようにしよう。
僕は割とせっかちなタイプの人間。
でも、そんなせっかちな人間がスペインに来て、今までのせっかちなライフスタイルで生活していても、上手くいくわけがない。
なぜなら文化が180度違うから。
スペインでは、昼ごはんを食べた後、"siesta(シエスタ)"というお昼休憩の時間がある。
シエスタの間は、多くのレストランやお店が活動を停止する。
昼寝をしたり本を読んだり、はたまたビーチに寝転がったり。
リラックスするための時間だ。
折角そんなゆっくりとできる時間があるのに、せっかちのままでいたらもったいない。
だから、そういう国に来たら自分の生活リズムもゆっくりしたものに変えよう。
せっかちな性格から、穏やかな性格に変えよう。
シエスタの時間には、自分も休憩しよう。
こういう考え方は、どんな場所にいてもどんな状況にあってもどんな国で暮らしていても同じことが言える。
パンを主食とする国に来たなら、その時だけは主食をパンに変えよう。
米をたくさん食べる地域に来たなら、米をたくさん食べよう。
食事を手で食べる場所にいるなら、自分も手を使って食べよう。
それが、文化や慣習を知る一番の近道だと思う。
そしてこれが、僕にとって「旅をする」ということ。
だから僕は一人で旅をする時、行くレストランや次の目的地は地元民に聞いて決める。
なるべくその国や地域に適応しようと試みる。
そして出逢いを大事にする。
「旅」って、本当に最高だ。
これから先、死ぬまでにあと何百回旅をするのかはわからないけど、
その度に僕はもっともっとデカくなる。
さあ、みんなも旅に出ようぜ。
Kei
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