ドンペンくんに隠された、ブランド構築の秘密
先日、ある女性と街を歩いている時のこと。携帯ショップの店頭に飾られた風船の束を見て、彼女は興奮気味にこう言いました。
「ドンペンくんの概念だ!」
私は一瞬、何が起きたのか理解できませんでした。
私は最近、音楽アーティストのブランド構築や、日本酒ブランドの販路拡大のための戦略に頭を悩ませています。どちらも、ありとあらゆるビジネスの核となる「ブランド」という概念と深く関わっているからです。
さて、あなたは「ブランド」と聞いて何を思い浮かべますか?ルイ・ヴィトン?シャネル?もしハイブランドばかりが頭に浮かぶなら、少し危険信号かもしれません。実は、彼らはブランドという巨大な概念のほんの一部でしかないのです。
そこで先日の友人との出来事がブランドと関連していたため記事にしてみます。
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ブランドとは何か?
ブランドとは、商品やサービスを超えた「価値」そのものです。
顧客にどんなイメージを与え、どんな価値を約束するのか?その答えこそが、ブランド構築の要となります。
実は、あなたの街の小さなカフェも、近所のヘアサロンも、いつも行くスーパーも、みんな「ブランド」になりうるのです。
ドン・キホーテのブランド戦略
例えば、日本で知らない人はいないであろうディスカウントストアの王者、ドン・キホーテ。彼らは「安さ」だけを売りにしているわけではありません。実は緻密なブランド戦略によって、顧客の心を掴んでいるのです。
先日の話に戻ります。
携帯ショップの店頭に飾られた風船をみて「ドンペンくんの概念だ!」と口にした彼女は一体何をみていたのでしょうか。
風船は単にカラフルな色に私には見えました。何も私は思い浮かびませんでしたが、改めて落ち着いて考えてみてみることにします。
赤、黄色、青、白… カラフルな風船の何がドンペンくんと関係があるのでしょうか?しかし、5秒後、彼女の発言の真意に気づき、私ははっとしました。
ドンペンくんのあの独特な色使い、まさにドン・キホーテのブランドカラーそのものだったのです。
ブランドカラーの威力
彼女は、無意識のうちにドン・キホーテのブランドイメージを、風船の配色から読み取ったのです。(「ガイネン」という表現が唐突で、不意を突かれ笑ってしまいましたが、彼女の洞察力と直感力には目を見張りました)
これが、ブランド構築におけるカラーアセットの威力です。「ブランド・カラーアセット」とは、事前に規定された色の組み合わせのことです。
ブランドカラーは、企業や商品のイメージを瞬時に伝える強力なツールとなります。ドン・キホーテのように、基準となる色を決め、その中で様々なデザインを展開していくことで、一貫したブランドイメージを構築することができようになります。(人間の目に入る情報の中で、80%は色彩からの情報だと言われています)
そして、重要なのは、このカラーアセットが、顧客の潜在意識に深く刻み込まれることです。
この色の組み合わせを繰り返し活用することで、顧客やファンに「イメージ」として残り、同様の色の組み合わせを見かけた時に効果を発揮します。
今回の女性のように、無関係な場所でもブランドカラーを目にすることで、顧客はドン・キホーテを思い出します。
ブランドを思い出させる回数が増えれば増えるほど、顧客やファンはそのブランドのことを無意識に想起させ、イメージが高まり、ブランドはより強固なものになっていくのです。
そして音楽の視聴や来店数(アクセス数)、購買やコンバージョンに重要な下準備が整います。
まとめ
ドン・キホーテの例を通して、ブランドカラーの重要性、そしてブランド構築における戦略の一端を理解していただけたでしょうか?
次回は、ブランド構築においてもう一つ重要な要素、「機能性より価値に重点を置くこと」について深く掘り下げていきたいと思います。
今回と同様、音楽マーケティングはもちろん、他のビジネスでも当てはまる基礎的なことになる予定です。
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