研究者・技術者として生き抜くために。
現職で楽しさを感じつつも、「自分はホンマは何がしたいんだっけ?」と思うことが増えてきた。
そこで、就職活動以来の自己分析を、学生時代以上に強烈にやり始めました(笑)
就職活動時の仕事選び軸はというと、「機械工学の基本を実践を通して体得して、機械屋のアイデンティティを確立する」こと。
(加えて、ノリが良くてアツい人がいるところ(笑))
なぜ、そう軸を定めたかというと、大学に6年も通ったにも関わらず、機械工学の基本といわれる、4力(機械力学、流体力学、熱力学、材料力学)を巧みに操れている感覚はなかったから。
さらに、オシロスコープやデジマルマルチメータなどの計測機器も当たり前に使えるようになりたいと思うと、部品点数の多い完成品を扱う方がいいのかなと思い、
熱力学や流体力学を主に扱う、エアコンの開発に進んだ。
中でも業務用エアコンなら、家庭用以上に部品点数が多く、求められるハードルが高いと考えた。
(ここに関しては正しかった。専門的にいうと、室外機1台に対して室内機複数台を繋ぐので、使用環境の条件が無数にあり品質を担保することのハードルが高いから)
そうして仕事していくと、熱力学の基本を押さえた上でシミュレーションして設計すると、自分が目論んだ性能がでる。
これは、たまらなく気持ちがいい!!
と仕事の面白みを感じる傍ら、世の中の動きや会社に対して思う部分もあり、このままで技術者として生きていけるのかなと思い始めた。
人生100年時代、AI、働き改革、フリーランスなどといわれている、これからの時代で。
そこから、技術者として、自分がどうあるべきか考え始めた。
まず考えたのが、技術者としてのポートフォリオ。
自身が所属する部署をみていて、入社~35歳:一人立ちして仕事ができる、36~45歳:技術者として油が乗っていて、技術やノウハウの生き字引的な存在、46歳~55歳:中間管理職、56歳~:部課長職のイメージ。
ポートフォリオから逆算すると、遅くとも30代前半までには、この分野で生きていくんだ!と思える場所を探さなければならない。
けれど、逆説的にいうと、30代前半まではフラフラ動けるんじゃないかといえる。(できるだけ専門分野が確立できる方がいいに決まっているけれど)
全然違う業種(電機メーカから素材メーカ)や職種(ハードウェアからソフトウェアなど)にも転換できるのは今しかないのでは?
だから、僕は30代半ばまでに、まずはこれで生きていくと思える専門分野を柱を作る旅に出ると決めた。
さらに、フラついた副産物として、その柱が複数本立てられるんじゃないかと。
(とはいえ、人間はどこかにすがるところがないと、辛くてしんどいから、絶対的な柱となる専門分野を1つ確立することに拘る。)
2つ目に考えたこと。
どうすれば、どの会社に行っても通用し、会社の肩書きではなく、自分の名前で仕事ができる技術者になれるのか。
そのためには、機械工学の基礎は抑えていることを前提として、その人にしかない独自性を身に付けること。
独自性を身に付けるには、大きく2つと考える。
既存の分野で発明することと、他分野との掛け合わせにより新たな分野を作り出すこと。
そう考えると、先述した「機械工学の4力を身に付けつけて機械屋としてのアイデンティティを確立」したとしても、独自性がなければ唯一無二の存在にはなれない。
むしろ、機械工学の基礎を身に付けただけでは、機械工学に関する能力や知識をもった人の数が多く、取って代われる存在にしかならない。
当時の私は、機械工学とは〇〇だ!という既存の枠組みに囚われすぎたことが見立てが甘かった。
自分は、発明ができるほど創造性に富む天才ではないし、一つの難題に対して一生を投じられるだけ落ち着きもない。
それを考慮すると、独自性をつけるためには、一つの他分野との掛け合わせて、パイが少ない領域で専門性を高めることが望ましい。
とはいえ、何でも掛け合わせた分野で専門性をもっても、世間から必要とされる分野でなければ意味がない。
そこで、世間から必要とされる分野はどう探せばいいのか。
それは経済成長している産業であること、且つその産業のコアテクノジーに未解明な部分が多い分野であることが重要だと考えた。
となると、①ここ数年で投資金額が大きい、②競合となるベンチャーが現れ始めている、そして③基礎研究が盛んで、その業界でノーベル賞が出てくるところがアツいんじゃないか。
エアコンはというと、世界的に経済成長している産業だが、コアテクノロジーが既に成熟しており、いかに”安くて良い”モノを作れるかといったフェーズ。
①~③に該当して、自分が興味がある業界といえば、「バイオ」「ゲノム」「素材」といったケミカルな世界なんだが、機械工学出身の自分としては、その分野の基礎研究で食っていくのは今からでは無理がある。
けれど、それらの業界の基礎研究を間近で感じながら生きていくのは、この上なく最先端に生きていると思えるし、技術者として幸せだと思う。
と考えると、おおよそ自分が行きたいところが見えてきた。
自分が行きたいところは、
「開発したデバイスを使うことで、新たな知見が得られ、ある分野の基礎研究が発展するような、デバイスを創りたい。」
これならば、機械工学出身として貢献できる。
そういうことなので、バイオやゲノムの世界に飛び込むため、動き出したところ。
2019年は、「アユミを止めるな」をモットーに、自分の理想に近づく年にする。
以上。