初めて腹を割って話せた日
半年ぶりに帰省した
前回の帰省では家族とほぼ会わなかったため、家族と家で過ごすのは一年ぶりくらいだろう。
家で色々あったため、母の家に泊まることはできず(遊びには行ったよ。妹見てきた。)、祖母の家に泊まった。祖母の家に泊まるのはそれこそ高校を卒業して以来だった。
祖母とは18年一緒に住んでいたが、いつも業務連絡かしていなかった。というのも、自分にとって祖母は恐怖と暴力の象徴であり、話しかけるのも恐ろしい存在だった。よくドラマに出てくる昭和の家庭の父親のような存在、それがうちでは祖母だった。
しかし今回の帰省でそのイメージは打ち崩された。玄関を開けるとそこに居たのは白髪混じりの頭で膝と腰を庇いながら歩いてくる、どこにでもいる優しいおばあちゃんだった。まあ、右手には昔と同じくタバコが携えられていたが。
帰省初日、祖母に一年ほど前からタバコを吸っていることを打ち明けた。右ストレートが飛んでくる事を覚悟して。その覚悟は必要のないものであった。
「そう、やっぱりね」
と笑顔で返してきた祖母。
18年住んでいたあの人は居なくなったのかと思った。
そこからは二人で鹿児島に帰るまでタバコミュニケーションを交わした。一緒に住んでいたときの話、お互いの近況、私が産まれる前の話、下衆な話…。
18年かけて掘られた溝を4日間で埋め立てることができたような感覚になった。
父とはドライブをした。外車で迎えに来たときは正直、盗んで来たのかと思った。車中ではお互いの恋愛事情や母の再婚(書類上では初婚)について話した。まさか父に彼女がいるとは思わなかった。そして二人で墓参りに行き、墓前でタバコを吸った。父と私と、そして私のルーツとなった皆様と。
唯一の心残りは母と話すことが出来なかった事だろうか。祖母との18年分の溝を埋められたように、いつか…。
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