ラグビーを始めたきっかけ

 中学一年の5月、バスケ部を辞めた。ハードな練習について行けないと感じたからだ。そこから数カ月は部活も勉強もせず家でゲームをし、たまに部活が休みの友達と遊ぶだけの自堕落な生活を送っていた。

 中学一年の10月、ラグビー部の顧問から体育の授業後呼び出され「お前部活やっちょらんやろ?今度のラグビーの試合の人数合わせで来てくれんか?」と言われた。この人は突然何を言ってるんだ?というのが率直な感想だった。ラグビーなんてやったことも見たこともない。変な形のボールを使うやつだよな? なんて事を考えていたが暇な生活も飽きていたところだったので「いいですよ」と返した。この日からしばらく放課後はラグビーの練習に費やされることが決定した。
 家に帰り家族に「明日から放課後ラグビーの練習して来月大会出るから」と伝えた。 母はもちろん驚き、祖母はあきれていた。その後学校に電話をかけて顧問となにか話していた。後から知らされたが自分が入学してすぐ、顧問がうちに電話をして「ぜひラグビー部に入れてもらえませんか」とうちの母に頼んでいたらしい。母はヤバい先生が居るもんだと相手にしなかったらしい。それを経てこの展開となると自分が脅されているのではと考えたらしい。

中学一年ではじめて出場した部活の大会。相手は東海中学校。結果はボロ負け。半分以上が素人の寄せ集めチームだから当然といえば当然の結果。悔しさすら無かった。悔しさの代わりに自分の中にもっとラグビーをしたいという感情が芽生えていた。帰宅後、母に「正式にラグビー部に入りたい」と伝えた。この時は特に驚いていた様子もなかった。なんとなく予想していたのだろう。しかし結果はNOだった。詳しく言えば保留という形になった。「本気でやりたいなら態度で示せ。次のテストで学年40番以内に入ったら認める」と言われた。中学で初めて受けたテストだけ180人中30番だったからこの基準にしたらしい。しかし放課後はゲームばかりしていた自分の成績は順調に降下していので、はっきり言って無理だと思っていた。
 やっぱり部活は諦めようかなと思ったが、人と思いっきりぶつかるあの快感を忘れることはできなかった。
 そこからテストまでの間、人生で一番勉強したかも知れない。

テストの結果が帰ってきた。22番(確か)だった。嬉しすぎて教室でガッツポーズをした。そのまま職員室に行き入部届をもらい晴れて正式にラグビー部に入った。

ラグビー部に入ると身体能力が異常に上がり、1年ほど続けると県選抜や国体強化候補選手に選んでもらえるようになった。3年生になると後輩もたくさん入部してくれて、助っ人を借りなくても試合に出れるようになった。中学最後の大会では中1のときに負けた東海中に3位決定戦でリベンジすることもできた。

中1のころの腐っていた自分。家族も諦め、ダメ人間になるだろうと思われていた自分。そんな自分を見つけて磨いてくれた顧問には感謝してもしきれない。成人式で会えるのが楽しみだ。

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