こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は非常口の上に光る緑のお話。
普段は気にしないですが
公共施設に行くと必ずある(というか、ないとダメ)な緑色した非常口のライト。
普段はあまり気にしないですが、
病院とか旅館など長時間滞在する時には、ついつい確認してしまいます。
名前の通り、非常時に真価を発揮する案内板ですが、なぜ緑色をしているのでしょうか。
暗闇に浮かぶ、視認性の高さ
非常時だと電気などが使えず、暗い環境になる可能性が高いです。
昼でも、照明のない建物内は薄暗いものです。
そんな中で視認性が一番高い色が、
不思議なことにあの「緑」なんですね。
先日「読みやすさと色彩」という記事を書いたのですが、
その時も暗い地色での緑は、妙な存在感を持っていました。
この緑の良さは「目立つのに、目に優しい」ところ。
本来、視認性を高めるには、明度のコントラストを強くすることに重点を置きます。
ですが、薄暗いからと「白や黄色」の光を使うと「眩しすぎて直視しにくい」という欠点があります。
非常口を必要とする状況の時は、一瞬の判断が命運を分けることにもなるので、目がくらむような光は、目立っても意味がありません。
暗い空間で視認性のある色だと、トンネルで使われるオレンジなどもありますが、火災の場合は炎に紛れて目立たなくなります。
また赤やオレンジは興奮色なので、誤った判断をさせるかもしれません。
そんな中で非常口の灯りは、目標地点に出来て、パッと見ても眩しくない、そして冷静さも失わせない理想的な灯りです。
しかも何もない時は、いい感じに馴染んで、それほど気になりません。
必要な時にだけ、必要な役割を発揮できる。
そんな考え抜かれた色彩です。
安全にかかわる色彩は、必ず意味を持っているので、
「なんで、そういう色をしているのか」を考えてみると、発見があると思います。