見出し画像

趣深い日本の色彩 #15 空五倍子色

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は久しぶりに難読色名の世界へ。

ヌルデにできる虫のコブ

五倍子と言うヌルデの木があります。
五倍子は「ごばいし」「ふし」と読みます。
その木にアブラムシ科ヌルデミミフシという虫が卵を産みつけ、その幼虫が孵化し、養分を吸って膨らみ、こぶができます。
瘤で木の枝が五倍にも膨らんで見える事から、名前に五倍が付いているそう。

その瘤を使って染めた色がこの色です。
樹が自身を守るために、瘤にタンニンを溜める事で、黒い色が採れるという流れです。

さて読み方は

肝心の色名である「空五倍子」。
こちらの読み方は……と言うと。

うつぶしいろ

「ごばいし」どこ行った…。

五倍子(ふし)から色を採って、瘤がからになったから、空五倍子という事だそうです。

空の「うつ」という読み方は、空蝉うつせみが有名ですね。

古今和歌集の時代からある色

空五倍子色は、古今和歌集にも登場しています。
その黒を利用して、喪服を染めたり、お歯黒の材料になったりと使われていたそう。歴史のある色です。

難読ですが、紐解いていくと名前の由来がしっくりくる色でした。


いいなと思ったら応援しよう!

藤田さんちの色彩事情 - Kei's Factory
実体験&勉強から得た色彩のお話を発信しています。 よろしければサポートいただけると嬉しいです。 心躍る色彩のご紹介に繋がる様々なアイテムの準備に活用させていただきます。