趣深い日本の色彩 #2 一斤染
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日も色の名前を紐解きます。
一斤って何?
一斤は、食パンなどで使われている「いっきん」ではなく、「いっこん」と読む量の単位の1つです。
この色の場合は、「紅花」を使う量を指します。
紅花で染める「紅」
紅花を使って色を染め重ねていくと鮮やかな赤になっていきます。
でも、それは大量の紅花と複雑な工程を経て、ようやく得られるものでした。
平安時代において、濃い紅は「禁色」といって、一般庶民が使える色ではありませんでした。
一斤だけ使って染めた薄い紅
そんな紅の中で、一般にも使用を許されていたのが薄い紅でした。
薄い紅の中で、一疋(二反)の絹布を、紅花一斤(約600g)で染めたのがこの「一斤染」です。
薄く柔らかなピンク色で、華美ではないですが、鮮やかな紅のエッセンスを纏える=ちょっとした豊かさを味わえる色だったのかなと思います。
量が色名になるほど貴重な色
当時は、紫紺の「紫」と紅花の「紅」がとても高価で、
ちょっとした量でも、その量の単位が色名になってしまうほど貴重なものだったんだなというのがよく分かります。
「色を直接表さない、でも何の色か分かる」という面白い色名でした。
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