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色彩好きの色の選び方

こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日はデザインの仕事における色選びの考え方をまとめてみました。
※実践的な選び方などの、テクニカルな記事ではありません。

ぶっちゃっけ"直感"

身も蓋もない事を言ってしまうと「直感」で決めてしまうことが多いです。
と言っても、目をつむって、色の本を適当に開いて、出たページのどこかを指すような闇雲なものではありません。

自分で言うのもおこがましいですが、
熟達の職人さんが1mmの違いを指先で分かるような、
経験と知識を20年以上溜め込んできたからこその直感。
不要に時間をかけたりせず、パパっと決めて調整していきます。

キーワードが大事

以前も書きましたが、色の捉え方、見え方は人によって大きくブレます。
自分の見えている色が、隣にいる人も同じように見えているとは限りません。色覚が異なる可能性もあります。

なので、針の穴に糸を通すように「ピンポイントの色彩を狙う」のは、無意味とは言いませんが、効果的ではないと考えています。

基本的に色は単独だと力を持ちません。
ただの視覚情報で、カラフルだね~で終わります。
そこに「ブランド」「コンセプト」だったり、「ファッション」や「パッケージ」だったり、あるいは「人の個性」だったり。
意味を持たせる何かが加わることで、一転して強力なブースターになります。

そこで重要なのが、その物事を表す「キーワード」。
個人的にはここに出てくるものが重要だと感じています。

キーワードは世界観や物語に変わる

キーワードは、その物事を端的に捉えた言葉です。
商品であれば開発の人の想いや特徴、どんな人に向けたもののなのか。
人であれば、パーソナルカラーを基準に、性格や雰囲気、所作など。
それをピックアップすれば、無限にも思える色彩の世界も幅が狭まり、選択の余裕が生まれます。

その狭まったエリアの中から、見合った(似合った)色を選んで絞る。
そうすることで、キーワードのイメージがより活性化されて、
世界観や物語がぶわっと広がっていきます。

色彩は屋台骨なので、細かな作り込みは「文字や装飾を含めたビジュアルデザインで…」という感じですね。
アクセントカラーなどの遊びの色は、ビジュアルデザインの段階で決めていくことが多いです。

脈略もなく「この色使って」とクライアントに言われて、デザインが崩壊していくのはこのためです。
適当な変更は「家の大事な柱をツギハギにして脆くしちゃう」ので、重要な意味がない限りは避けたいところ。
「決定権者(社長とか担当者とか)が好きな色だから」なんて個人的にはワースト1位な色変更理由で、どうしても盛り込むなら一番最初に言って欲しい。

ということで、
・キーワードをたくさん仕入れる
・そこから必要な色を、知識と経験から選んでいく
のが色選びのポイントと流れになります。

パパっと決めて、じっくり調整

あとは、制作環境がデジタルになっているのも強みですね。
色の細かな調整や、大胆な変更がいつでもできます。
最近はアセット(素材)として色を登録して使い、変更があれば、アセットをいじれば、使っている箇所すべてを変更できたりします。

パパっと決めて、じっくり調整。
色は悩みだしたらキリがないので、作りたい世界観が出来ているなら5%程度の差異は無視して、気持ちよく決めていった方が、作品の仕上がりが良くなります。
(もちろん、その5%の差異を埋めていくのもお仕事ですが、それは最後の最後の仕上げ)

個人的な領域のお話をすると、色彩が自分のキャンバスなので、必要以上に縛られたくないなという想いもあります。
規則性を作ったら、自由に選んで、塗って、多少の揺らぎも楽しむ。
それくらいの心意気でいます。

ということで、「色選びにはキーワードが重要」「知識と経験に基づけば、直感でも大丈夫」というお話でした。

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