見出し画像

【26限目】運動会② 民舞に出会えて

2020.9.25

25限目に「よさこいソーラン」を紹介しましたが、運動会では、民舞を取り入れることがよくありました。

4年生の「よさこいソーラン」の前には、5年生の「みかぐら」、3年生で「ソーラン節」、2年生で「荒馬」、「よさこいソーラン」の後に5年生の「南中ソーラン」を運動会のダンスで取り組みました。 他の学年では、「花笠音頭」や「エイサー」もありました。


5年生で取り組んだ「みかぐら」

「みかぐら」は、岩手県に伝わる踊り(神事芸能)で、私が運動会に民舞を取り入れたのは「みかぐら」が初めてでした。

持ち物は、扇(日本舞踊に使う骨と骨の間が広いもの)と錫杖(しゃくじょうは、25㎝位の棒に鈴をつけた物)を持って、扇をクルクル回しながら、ターンをして、腰を低くして踊るところもあって、かなり難しい振り付けでした。

最初はどんな踊りかを理解してもらうために、この踊りは昔から伝わる踊りで、百姓神楽とも呼ばれ、農作物祈願や自分たちの楽しさの為に踊られていることを話し、その後、わらび座の「みかぐら」のビデオを見て興味付けをしました。

ビデオを見終わったとき、難しいと、いう声が多かったのですが、子どもたちは、扇を上手にクルクル回すところが面白かったようで、「扇回し」から入りました。

日本舞踊に使う扇なので、扇の骨の隙間に指を入れてクルクル回します。それが出来るようになってから、振り付けの中に踊りながら扇を回す練習を始めました。ステップをしながら踊れるようになってきたころは、踊りを楽しんでいるように見えました。

踊りがターンの多い激しい動きなので、一回踊ると結構な体力がいりました。子どもたちは、むつかしい振り付けに最後までよくチャレンジしてくれました。

私は、見本でずっと踊っていましたが、子どもたちが最後の振り付けを覚えて踊れるようになったころ、私の足の方が筋肉痛で階段を降りるのが大変でした。

私が階段を一段一段降りていたら、クラスの元気のいい男の子が、気の毒に思ったのか、背負ってあげると言って、おんぶして降りてくれました。こんな事でもないと背負ってくれるという事は無かっただろうと思ったら、ちょっと嬉しくなりました。

本番では、力いっぱい踊り、扇の動きと鈴の音がピッタリ合って、子どもたちの楽しさが伝わってきました。


3年生の「ソーラン節」

 「ソーラン節」は、ニシン漁をしている作業の様子を歌にしたもので、踊るときに「ソーランソーラン ハイハイ」とか「ハー ドッコイショ、ドッコイショ」と掛け声をかけながら、網を引く動作やニシンを担ぐ動作があって力強い振り付けなので、3年生にピッタリでした。衣装は青いビニルのごみ袋で、ハッピを作りました。

襟のところをⅤ字にあけて、黒色のガムテープで回りを貼りました。その時、失敗したなあと思ったのは、運動会の日はお天気が良く、ハッピはビニルなので、踊っていると暑くて、汗がいっぱい出て、子どもたちは大変でした。


2年生の「荒馬」

 一般的には、馬の形を作って、その中に入って踊るのですが、馬を作るのが難しかったので白と赤の布を使って縄をなうようにして端をくり、50㎝の長さの手綱を作って荒馬を曳く動作で「ラッセラー、ラッセラー、ラッセ、ラッセ、ラッセラー」と、声をかけながら、荒馬のように、ぴょんぴょん跳ねて踊ります。運動量も多く、とてもかわいかったです。


5年生の「南中ソーラン」

「よさこいソーラン」と同じころに出来た踊りです。

 「南中ソーラン」は、北海道の稚内南中学校が荒れている時に学校を立て直すために作られた踊りで、その実践によって学校が再生されたと聞き子どもたちにもその話をして指導しました。 

実際は、1984年ぐらいがピークで授業崩壊・校内暴力・いじめ・生徒の犯罪が頻発するといった荒れた学校が、先生方のいろいろな取り組みで学校が再生した後で、1991年にテレビコマーシャルで、ロック調にアレンジされたソーラン節を聞いた南中学校の先生が、調べると伊藤多喜雄さんの「タキオのソーラン節」でした。

稚内は漁業が中心の町で、正調のソーラン節は身近なものだったので生徒に気に入ってもらえると思いそれに振り付けをしました。それが「南中ソーラン」という踊りの通称名になりました。

「南中ソーラン」が全国で踊られるようになったのは、踊りもアップテンポで、ダイナミックな振り付けで魅力的で、楽しいものになっているからだと思います。

私が勤めていた学校でも、「南中ソーラン」は、「よさこいソーラン」と同じころに5年生のリズムの演技として、ずっと受け継がれています。

衣装は、長ばんてんを家庭科の時間に手作りして、それに絵を描いた時もありました。その時々でお家の人が作ってくださることもあります。最近では、不織布で作ったものを買って使うこともありました。

長ばんてんを着て大きく踊ることによって、波のように大きなうねりになり、力強いダンスになっていました。毎年同じ演技ですが、隊形や振り付けなどが違って、見ごたえがあり、みんな毎年楽しみにしているプログラムになっています。

今では,「南中ソーラン」は、全国に広がり、札幌の「よさこいソーラン祭り」でも踊られています。地域のサークルやイベントでも年齢を問わず踊られていて身近な踊りになっています。

民舞を踊ることで、その土地の人々の暮らしの中から生まれてきた歴史や文化を感じ、日本の踊りの中にあるリズムや音を感じて楽しんでくれたらいいなあと思っています。


【編集担当より】

画像1

「夏のなごり」


今回は、前回に続き運動会のダンスのお話です。
そういえば、母親がやたらとよさこいがどうのと話していたなと気づきました。運動会のダンスのことだったんですね。様々な工夫をして、生徒の方も楽しめるダンスを考えていたようですね。

先日、実家に住んでいる弟に、母親のnoteの取り組み状況について聞いてみたところ、かなり記事を書くのを楽しんでいるようで、友人にも見せたりしているようです。もうすぐこの学級通信を始めて半年がたちます。毎週ご覧をいただき、誠にありがとうございます。できるだけ長く続けていく所存ですので、今後ともお付き合いの程、お願い申し上げます。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?