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新入編集部員の日記 #7 「校正・校閲(1)」
皆さん、こんにちは(こんばんは)!経済編集部のSです。
(大夏休みをとっていたので投稿が遅れました。すみません。)
今回から何回かにかけて「校正・校閲」をテーマに記事を書いていきます。
出版社によって異なりますが、校正や校閲は編集者の大切な仕事の一つです。
#1では、『次世代の実証経済学』のゲラを読んだ時の様子を少しご紹介しました。今回は校正作業そのものについて具体的に紹介していきます!
■そもそも校正・校閲って?
校正や校閲という言葉そのものは聞いたことがある、という方は多いのではないでしょうか?
「校正・校閲 = 誤字脱字や事実関係等のチェックすること」というイメージが一般的だろうと拝察します。
私も、編集の仕事をするまではその程度の認識でいました。実際、これは間違っていません。
しかし、実際に校正者・校閲者として作業に携わってみると、「間違いのチェック」という一言で片付けるにはもったいない奥深さを感じました。
今回から何回かにかけて、重要な編集業務の一つである校正・校閲作業を取り上げ、新入社員なりの苦悩や学びをお届けします。
第1回は、校正に必要なモノたちを紹介しつつ、リアルな現場の様子をお届けしたいと思います。
■校正・校閲をする時の主要装備
校正をするときに使う道具たちをご紹介します。
■赤ペン
これがないと仕事ができません。
赤色で書かれた文字は「修正指示」を意味します。
「赤字で書く=最終的な変更の意思決定」ということになります。なので、赤字を入れるときは少なからず緊張します。
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消せるのは便利ですが、熱で消える仕組みのため「真夏の車内にゲラを放置してたら赤字が全て消えていた」という大変ホラーな話をよく耳にします。
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■シャープペンシルまたは鉛筆
これも必須装備です。
#1でも触れましたが、鉛筆で書かれた文字は基本的には、「補足・提案・コメント」を意味します。
しかし、赤ペンとは異なり、何をどれだけ鉛筆で書いても基本的には修正指示にはなりません。
となると、「シャープペンシルはそんなに重要なアイテムではないのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。
ですが、個人的には、鉛筆・シャープペンシルは赤ペンと同等に偉大な存在だと考えています。
その理由は次回以降説明します。
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筆圧が弱いので2Bの芯で濃く書きます。
■蛍光ペン(マーカー)
次のような時に蛍光ペンは大活躍します。
同じ修正指示が繰り返し発生する時:蛍光ペンで該当箇所をマーク。マークした箇所をどのように処理すれば良いか一回書けばOK。
少し長めの修正をしたいが、書き入れるスペースが近くにない時:マーカーで示し、少し離れた場所に修正内容を書く。
特殊な指示を目立たせたい時:別紙(後述します)による大規模な差し替えや、パラグラフごとの移動などがある時に目立たせる。
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■付箋
他の作業者に確認してもらう必要がある箇所がある場合、付箋を貼ります。消費量がエグいです。
■Q 数表
これはおそらく編集者・校正者しか使わない道具です。文字の大きさを測るのに使います。
Q数(級数)とは文字の大きさの単位です。ポイント(P)という単位もあり、Wordなどのソフトウェアを普段使っている方はこちらのほうがなじみがあると思います。
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透明な下敷きのようなものです。
例えば、ゲラに次のような文字列が並んでいるとします。
![](https://assets.st-note.com/img/1692677975578-XzIrfuVxNT.jpg?width=1200)
この文字の大きさはいくつでしょうか?
印刷会社さんに原稿をお渡しするときに、文字の大きさやフォントを指定するのですが、印刷されたゲラがその通りになっているかチェックする必要があります。
そこでQ数表を重ねてみると…
![](https://assets.st-note.com/img/1692695264113-FjLw9bRTGw.png?width=1200)
14Qの枠にピッタリはまったので、文字の大きさが14Qだとわかりました!13や15の枠には大きさが合わないのもお分かりいただけると思います。
このように印刷物の文字の大きさを確認して、必要があれば文字を大きくしたり小さくしたりします。
※ちなみに14の左に細い字で10とあるのはポイントでの表記です。1ポイント=約1.4Qです。
■PC
紙での作業に必要なものとしてPCを挙げるのは少し逆説的かもしれません。
主に次の用途で使います。
固有名詞の表記が正しいかをインターネットで調べる。
長い修正・挿入・差し替えが発生した時に別紙を作成する。
原典の記述や書誌情報を調べる。
正確に言えば、1, 3の用途でブラウザ、2の用途でワープロソフトが必要ということになります。
1は、しょっちゅう発生します。人名・大学や企業等の組織名は要注意です。
「念のため調べとこ……」が功を奏すことがかなりありました。たとえ著者本人による本人に関する情報であっても、気が抜けません。
3について。
論文の情報はGoogle Scholarや大学の図書館サイトなどを駆使して探します。書籍の情報は、必ず版元(その本を出した出版社)の公式サイトで確認します。書籍情報が手入力されている場合、タイトルの送り仮名や漢字表記が公式情報と異なる、ということもかなりあります。
原典を直接確認することもしばしばあります。原典の記述をそのまま引用する場合、原典と同じ表記でなければなりません。
近年は多くの論文がウェブ上で閲覧できますし、引用されているものがウェブサイトや官公庁の報告書、企業の財務資料、新聞の電子版であることも多いのでインターネットは欠かせません。
2は、校正者や修正を反映するDTPオペレーターさんが作業しやすくするための工夫です。
例えば、パラグラフをまるまる一つ挿入する場合、赤字でゲラの余白に書くことが難しいですし、長い文章になればなるほど赤字に誤字脱字が発生する可能性が高くなります。また、書けたとしてもそれをオペレーターさんがタイプし直すため、タイピングの過程でミスが発生しやすくなります。
そのため、修正する語句を入力したWordファイルをお渡しし(このように修正指示を別途まとめたドキュメントを別紙と呼びます)、作業時はテキストをコピーアンドペーストしてもらうという形をしばしばとります。
■おわりに
今回は校正作業のハード面(=必要な主な装備)をメインにご紹介しました。
上では挙げませんでしたが、iPadなどのタブレット端末も多いに役立ちます。特に、ゲラのハードコピーを持ち歩かなくても良いという大きな利点があります。
私は13インチの大きなIPadを持っており、PDFでゲラ読み・朱入れをすることもあります。しかしながら、まだまだ基本的に紙のでゲラでの作業が多いです。
次回は、校正作業で気をつけていることや心構え、毎日ゲラを読む中で感じることなど校正作業の精神的な側面について触れるつもりです。
#1はこちら!↓
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