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銀行員の横領について
銀行員が顧客の預金などを不正に引き出して取得することはもちろん犯罪です。正確には「業務上横領罪」になります。
最近は銀行員が顧客の金を横領したという事件はあまり無いように思うかもしれません。
では、横領について少し詳しく解説していきます。
いまも横領はあるか?
銀行で働けば分かると思いますが、検査頻度も多く、検査内容も年々厳しくなっています。
不祥事防止の観点から同じ店舗で働き続ける行員や、同一業務に長年携わる人は少なくなりました。
また強制的に休暇を取得させるなどの不正対策を行う銀行も多いようです。銀行員が横領という罪を犯すことは非常に難しくなってます。
しかし、実際は銀行員が横領するケースは未だに存在します。
厳しい不祥事対策の措置をとっても、罪を犯す銀行員は後を絶ちません。
銀行員の横領
銀行員の横領についての新聞記事です。
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銀行員の横領が表沙汰にならないケースも多数あり
新聞記事になるのは横領した額が高額のケースなどです。
そのため、実態はもっと多くの銀行員が業務上横領の罪を犯している可能性があります。
また不正に取得した金額が少額などの理由で立件されないケースは、かなり多いようです。
銀行員は1円でも銀行のお金に手を付ければ横領です。金額の大小は関係ありません。
では横領罪とはどのような犯罪なのでしょうか。
銀行員の業務上横領罪とは
銀行員の業務上横領とはどんな罪が該当するのでしょうか。
よくあるケースは以下のとおりです。
顧客から集金した現金や、預かった手数料などを横領
顧客の預金口座から自分(第三者)の口座に振り込んで横領
銀行の収入印紙や郵便切手を横領
横領罪は3種類あります。
1.単純横領罪 :預かった金でお願いされた物とは別の物を購入
2.業務上横領罪:業務上管理していた財産(預金や現金など)を横領
3.遺失物横領罪:誰かが無くしたり、落とした物を勝手に自分のものにする
銀行員が顧客の預金や現金などを横領した場合は、業務上横領罪に該当します。
業務上横領罪は横領罪の中でも特に重い刑が科されます。
理由は業務委託という信頼関係で成立していたものを横領することによって、信頼関係が大きく損なわれるからです。
そのため業務上横領罪の罰則は他の横領と比較すると重い刑が科されます。
銀行員が業務上横領罪を犯した場合の罰則
業務上横領罪の罰則は、10年以下の懲役です。
業務上横領罪には、罰金刑が設けられていません。
そのため起訴されれば必ず懲役刑が求刑され、刑務所に収監されます(執行猶予判決を除きます)。
銀行員が業務上横領を犯した場合、被害者は顧客ではなく銀行です。
犯罪発覚後、銀行と弁償額や弁済方法等について合意済みである場合は被害届が出されず、横領として立件されないこともあり得ます。
被害額が大きかったり、社会的な影響が大きい場合は、被害届の有無と関係なく横領罪として立件される可能性はあります。
【業務上横領罪】
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
銀行員が業務上横領罪を犯した場合の実際の刑期は
こちらの外部サイトが参考になります。
上記サイトによると、過去の裁判例では、横領罪のうちおよそ67%が懲役刑となっているそうです。
懲役刑の場合、およそ44%が2年から3年、およそ30%が1年から2年未満の刑期が科されているようです。
銀行員の業務上横領罪と背任罪の違い
業務上横領罪と類似する犯罪に「背任罪」があります。
業務上横領罪と背任罪の違いを説明します。
■ 業務上横領罪 … 銀行員が顧客の預金を不正に引き出して取得した
■ 背任罪 … 銀行員が不正な融資を行い銀行に損害を与えた
【背任罪】
人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
銀行員が業務上横領した場合、時効はあるのか
業務上横領罪の刑事上の時効は7年です。
7年経つと刑事上の責任は追求されません。
ただし銀行が横領に気づいた場合は、民事上の損害賠償責任を問われる可能性はあります。
民事上では業務上横領は不法行為に当たります。
不法行為の時効は2パターンあります。基本的に犯行後20年は損害賠償される可能性があります。
■ 被害者が損害および加害者を知ったときから3年
■ 不法行為があったときから20年
【時効】
時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。 禁錮に当たる罪については七年。
【損害賠償】
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
【損害賠償の時効】
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
まとめ: 銀行員は信用されている
横領できるのは、銀行員が顧客から信用されているからです。
銀行員が信用されるのは、人物ではなく、銀行という存在自体が顧客に信用されているからです。
もし、業務上横領罪で立件されれば懲役刑をくらい、人生をやり直すのは大変です。
大変なのは罪を犯した銀行員だけではなく、被害にあった銀行も同様です。銀行は顧客への信用も失います。
また他の銀行員に対する監視も一層厳しくなり、通常業務にも支障をきたします。
横領は自分一人が罪を償えば済む問題ではありません。
もし、あなたが横領に手を染めているのだとしたら、いますぐ止めて銀行に伝えてください。
罪を告白しなければ、20年間は怯えて暮らさないといけません。
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![Kei | MBA| 元銀行員](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/137000821/profile_0998eaa1d9035f356a85417bd8a42e13.png?width=600&crop=1:1,smart)