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私の勉強法「日経記事の数式化」

学びを深めるための「数式化」というユニークな勉強法に興味はありませんか。

ただ読むだけでなく、日経の記事を数式に変換し、論理的に掘り下げることで、知識を実務に活用できるレベルまで引き上げる方法をご紹介します。

ビジネスパーソンにとって、この方法は構造的で論理的な思考力を養うきっかけになると思います。

現場で役立つ知識を身につけたい方、ぜひこの新しい学び方を体験してみてください。


数学的に検証するメリットとは

ビジネス記事を読む際、表面的な情報だけでなく、その背景にあるデータやロジックを理解するのは重要だと思います。

数式を用いれば、事実や主張を数学的に検証できます。

このプロセスによって、情報の正確性を確かめるだけでなく、自分なりの視点で深掘りできます。

例えば、経済成長率や企業の収益予測など、数値データが多く含まれる記事では、その数値間の関係性を数式で表せば、より明確に理解できます

単に記事を読むだけでは得られない洞察をもたらし、ビジネス判断に役立つ知見を深めてくれると考えます。


論理的な思考力を鍛える

数式に置き換えるプロセスは論理的思考を鍛える絶好の機会です。

情報を整理し、因果関係や前提条件を明確にすれば、論理の飛躍や誤った推論を防ぐことができます

この方法を繰り返し行えば、複雑な情報でも的確に把握でき、問題解決能力や意思決定力の向上につながると考えます。


記事を数式に置き換えるコツ

記事を数式に変換する際のポイントは、キーとなる要素を抽出し、それらの関係性を明確にすることです。

まず、記事の主題や主張を理解し、関連するデータや指標をピックアップします。

次に、それらの要素間の因果関係や相関関係を整理し、数式で表現します。


販売数量と平均販売価格の影響分析

例えば、「新製品の売上が好調で業績が伸びている」という記事を評価する際は、新製品の「販売数量」と「平均販売価格」の変化が重要だと思います。

どちらか一方だけではなく、両方が変化すれば、売上高に大きな影響を及ぼします。

このため、売上高の変化を以下の数式で分解して考えます。

売上高の変化
(販売数量の変化 × 価格) + (数量 × 価格の変化) + (数量の変化 × 価格の変化)

この数式は、3つの要因に分解しています。

1. 販売数量の変化が売上に与える影響(販売数量の変化 × 価格)

2. 価格の変化が売上に与える影響(数量 × 価格の変化)

3. 両者が同時に変化する場合の複合的な影響(数量の変化 × 価格の変化)

数式で考えると、新製品投入後「どの要因によって売上増加に貢献したのか」を把握でき、分析しやすくなります。

販売数量の増加が主体であれば「なぜ人気なのか?」などを分析するのが適切でしょう。

それとも価格設定が適切だったのか、を評価すれば、自社の戦略立案などに役立つかもしれません。


日経記事を数式で理解する

では、日経電子版の以下の記事「資金循環が経済成長にどのように貢献するか」を数式で解説し、成長を底上げする仕組みについて考えてみます


資金循環と成長促進の構造

日本の家計資産は現預金に偏っています。

しかし、この資金が企業投資に向かうことで企業価値が向上し、さらにその恩恵が家計に還元されると、経済成長の好循環が生まれます。

この資金循環を数式で表すと、以下のようになります。

<資金循環の基本式>
家計の資金 (A) → 企業投資 (B) → 企業価値向上 (C) → 家計還元 (D)

筆者作成

この流れで家計から企業へと資金が循環すれば、経済全体に好影響を与え、成長を促進する仕組みが見えてくるということです。


企業投資による成長率の底上げ

次に、家計から企業投資への流入が成長率を押し上げる仕組みを数式で理解します。

企業への投資が経済成長率 (g) にどのように影響するかを、以下の式で表してみます。

<経済成長率の変化 (g)>
g = (企業への投資額 / GDP) × 企業価値向上率

筆者作成

この式によって、企業への投資額が増加するほど経済成長率が上昇し、企業価値向上が促進されると仮定します。


企業価値向上と家計への還元

企業価値が向上し、それが家計に還元されると、さらなる投資や消費の拡大につながります。

これを家計への還元率 (r) として表でば、下の数式が考えられます。

<家計への還元率 (r)>
r = (配当収入 + 株式評価益) / 家計総資産 × 100

筆者作成

還元率が高まるほど家計の資産形成が進み、さらなる経済成長を押し上げることが期待できると思います。

家計が得た収益が再び投資へと向かうことで、資金循環が持続し、経済成長が底上げされる、という記事の内容が理解しやすくなったと思います。


対日投資の拡大

資産運用の強化と家計還元の拡大が起きれば、海外の機関投資家からの対日投資が増え、日本の資本市場が厚みを増すことも期待できます。

対日投資が市場に与える影響を以下の数式で示します。

対日投資による影響(M)>
M = 対日投資額 / 国内市場規模

筆者作成

この値が高まれば、市場の流動性や信頼性が増し、日本経済全体への好影響が期待できるといえます。

資本市場が厚みを増せば、日本経済は外部からの資金流入によっても成長が促進され、企業や家計に対する還元も安定化するという理解が進みます。


人口増加が成長に与える影響

記事では、日本が持続的な成長を達成するには、投資や株主還元の強化とともに、人口増加が重要な役割を果たすと述べられています。

そのため移民政策などにも言及しています。

人口増加が税収や成長率にどのように影響するか、数式で理解してみます。


1. 経済成長率の基礎理解

経済成長率は、通常「一国のGDPがどれだけ成長するか」を示す指標で、次のように基本的に分解できます。

  • 経済成長率
    経済成長率 = 人口増加率 + 一人当たりGDP増加率

この公式に基づくと、経済成長は「人口の増加」と「一人当たりGDP(生産性)の向上」によって生じるとわかります。


2. 人口増加と税収増加の関連付け

次に、人口が増加すると、それに伴って働き手が増え、個人消費も増えるため、結果的にGDPや税収の増加につながると仮定します。

ここでの仮定は、「人口増加がそのまま税収増加に直結する」というものです。

  • 仮定1
    「人口増加率が上がると、税収も比例して増える」

この仮定のもとでは、税収も人口に伴って増加するため、「人口増加率」が経済成長に与える影響を拡大する要因として扱います。


3. 経済成長と税収増加率の相関を仮定する

さらに、税収増加率が経済成長と比例的な関係にあると仮定します。

税収の増加が経済成長に寄与しやすい環境が整っていると考えます。

  • 仮定2
    「税収増加率の上昇が経済成長をさらに加速させる」

つまり、税収が増えることで政府はインフラや社会サービスに投資できるため、経済成長の促進要因となると考えます。


4. 経済成長率を「税収増加率 × 人口増加率」と定義する

ここまでの仮定に基づき、税収増加率と人口増加率が掛け合わさると仮定します。

これは、「人口増加が税収に影響を及ぼし、それがさらに経済成長を押し上げる」シナリオに基づきます。

経済成長率(仮定)
経済成長率 = 税収増加率 × 人口増加率

この定義は、税収と人口増加がともに成長を押し上げる相互作用を単純化して示します。

実際には「税収増加」「人口増加」「生産性」などが複合的に影響することを前提にしています。


結論

経済成長率 = 税収増加率 × 人口増加率

経済成長率をこのように定義すると、人口増加によって税収が増え、成長率の底上げに寄与するのが理解しやすくなります。

また、多くの先進国が移民受け入れにより人口減少を補うのは、こうした成長率の押し上げが期待できるからでしょう。

ただ、経済成長を「税収増加率 × 人口増加率」で表すのは、あくまで単純なモデルです。

実際の経済成長は、より多くの要因が複合的に影響し合います。

この式は単純化されたモデルであり、経済成長を直感的に理解する助けにはなりますが、実際の成長モデルは「人口増加率」や「生産性」など複数の変数が影響します。


まとめ

日経の記事を数式化する習慣をつければ、ビジネス情報を深く理解し実務に応用できると考えます。

経済成長や業績要因を論理的に検証し、表面的な情報だけでなくその裏にあるデータを可視化できるようになると思います。

構造的な思考力が養われ、複雑なビジネス判断をより精緻に行うための洞察が得られるのではないでしょうか。

ぜひ、皆さんも試してみてください。

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Kei | MBA| 元銀行員
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