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休眠口座の行方:使っていない銀行口座のお金はどうなるのか?
皆さんは「使っていない銀行口座」があるでしょうか。
私は以前銀行に勤務していたので、複数の口座を持っています。その中には特に必要がないのに作った口座もあります。
銀行を退職する際に、整理したつもりでしたが、先日使っていない口座があるとの知らせが元の職場から届きました。ちなみに残高は約1.2万円です。
今から通帳を探してみますが、正直なところ、手続きするのが面倒という気持ちもあります。
しかも、銀行窓口の手続きは時間がかかることが多いです。私のように考える人は結構多いのではないでしょうか。
私の場合は、1万円以上の残高があったので連絡がありましたが、1万円未満の口座は連絡も来ません。また、銀行に住所変更の手続きなどをしていないと、残高があっても通知が届かないこともあります。
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では、もし手続きをせずに放っておいた場合、使わなくなった口座のお金はどうなるかご存知でしょうか。
手続きしなかったお金は、金融機関から預金保険機構に移管されます。その後、NPO法人などの民間団体が行う公益活動に活用されますが、長期間その資金は経済に何の影響も与えないという点は憂慮すべきでしょう。
ちなみに長い間、取引がない銀行口座は「休眠口座」といいます。
今回は休眠口座について考察してみます。
休眠口座とは
休眠口座とは、一定期間、取引がなく放置されている銀行口座です。
日本では、10年以上取引がない口座を休眠口座として分類されます。休眠口座は、顧客が忘れているだけでなく、移転や死亡など様々な理由で放置されます。
日本国内での休眠口座は、数百万口座にものぼり、その総額は数千億円とも推測されています。
休眠口座は、銀行にとっても管理上の負担となり、顧客にとっては潜在的な資産のロスとなる可能性があります。
さらに、休眠口座が多いという現状は、経済全体で考えれば、活用されずに眠っている資金があることを意味しています。
休眠口座については内閣府からQ&Aが出ています。
興味があればご参照ください。
休眠口座が社会に及ぼす影響
休眠口座が社会全体に与える影響は、単に「使われていないお金がある」というだけではありません。
休眠口座の存在は、経済効率性の低下を引き起こす可能性があります。また、金融政策や市場の流動性に悪影響を及ぼすことも考えられます。
経済への影響
まず、休眠口座に眠っている資金は、そのままでは経済活動に再投資されることがありません。
無活動の状態が続いてしまえば、経済全体の資金循環が滞り、経済成長の機会損失が発生してしまいます。
特に、日本のように高齢化が進む社会では、それでなくても消費が伸びません。
休眠口座が増えれば、さらに資金が使われずに滞留するのは経済全体へ大きな影響があると考えます。
銀行業務への影響
銀行にとっても、休眠口座は管理上のコストを増加させます。
休眠口座の維持にも当然コストがかかります。その分、銀行の効率性が低下することにつながります。
また、休眠口座によって不正利用のリスクも伴います。
休眠口座が詐欺などの犯罪に悪用されるケースは、最近もよく起こります。
金融機関にとっては、セキュリティ対策上でも管理コストが増える傾向にあります。
相続における休眠口座の課題
休眠口座は、相続が発生した際にも問題を引き起こします。
口座の存在が相続人に知られていない場合、その資産は適切に相続されることなく放置されてしまいます。
そのため、法的な権利があるにも関わらず、相続人が正当な資産を受け取れない事態が発生する可能性もあります。
さらに、休眠口座の発見が遅れると、相続手続きがさらに複雑化し、相続争いの原因となることもあります。
ペイオフ制度
ペイオフ制度は、銀行が破綻した際に預金者が一定額まで保護されるという日本の金融保証制度です。
この制度は、銀行が破綻することにより、国民の間に大きな金融不安が生じるのを防ぐために設けられています。
実はペイオフ制度も休眠口座に重要な影響を与えています。
休眠口座とペイオフ制度の関係
もし、休眠口座がある銀行が破綻した場合、口座の存在を忘れている顧客はペイオフの対象となる保護を受けられない可能性があります。
これは、ペイオフ制度が発動された時には、顧客の預金について自らが申告し、手続きを進める必要があるからです。
顧客によっては、休眠口座の資金がペイオフの保護を受け損ねるという事態も考えられます。
まとめ
休眠口座は見過ごされがちですが、実は経済全体にとって重要な資産といえます。
個人にとっては小さな金額でも資産を適切に管理・活用すれば、経済活動全体の効率化にも寄与します。
私たち一人ひとりが、定期的な口座の確認と管理を怠らないようにしたいものです。
ただ、私はまだ冒頭にお伝えした「使っていない通帳」を見つけていません。もしかしたら放っておく可能性もあります…。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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![Kei | MBA| 元銀行員](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/137000821/profile_0998eaa1d9035f356a85417bd8a42e13.png?width=600&crop=1:1,smart)