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日本の成長力を奪うゾンビ企業増加 銀行の本気度は

実質的には破綻状態なのにも関わらず、事業を続ける「ゾンビ企業」がどんどん増えています。

今回は、ゾンビ企業がどんな背景で増えているのか、銀行はどんな役割を果たしているのか、そしてこれからどうなるのかを考えます。


ゾンビ企業とは

ゾンビ企業とは、3年以上もインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1.0未満で、設立から10年以上経っている企業です。

ICRは、借入金の利息を払えるかどうかを示す指標です。

本来なら、ICRが1未満の企業は倒産すべきです。
利息さえも払えない企業なので、貸付金の回収可能性はゼロに近いです。

いわゆる不良債権です。

金融支援(返済猶予など)を受けて、なんとか存続しています。

ゼロゼロ融資

この10年間で、倒産件数を抑えるための国策が進められ、リスケや返済猶予、債権カットなどの私的整理が広まっています。

特に、リーマン・ショックの後にできた「中小企業金融円滑化法」や、新型コロナウイルス禍での実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」などの支援策が、ゾンビ企業増加の原因になっています。

ゾンビ企業は増加中

新型コロナウイルス禍以降、「ゾンビ企業」は急増しました。

帝国データバンクによれば、2022年度は前年度より3割増え、25万1000社もあります。

この水準は、東日本大震災後の経済混乱と倒産急増を抑制していた時期と同じです。

当時、30万~40万社が倒産予備軍と言われていましたが、そのほとんどが延命措置されました。

2024年2月2日 日経電子版より転載

私的整理は「ごね得」

一方、破産や民事再生法などの法的整理は、2022年に6,376件と前年から6%増加しました。

これに対し、私的整理は2,600件(2021年度)ですが、将来的には両者の比率が逆転する可能性もあります。

法的整理とは、債権者または債務者が裁判所に手続きを申請し、法律に則って再建や清算手続きが進められます。

私的整理とは、債権者と債務者との協議により倒産処理を図る手続きです。

法的整理は、時間がかかりすぎるため再建の機を逸し、信用悪化によって事業価値を毀損する等、再建をかえって妨げてしまいます。

私的整理はそのデメリットをある程度、緩和できます。面倒な裁判所の手続きを経なくても大丈夫です。

ただ、私的整理は特別な法律に基づく訳ではありません。あくまで債権者と債務者が任意の協議によって関係を整理するため、もし再建案に反対する債権者がいても調整も強制もできません。

また反対する債権者以外が債権カットなど、何らかの不利益を被ってくれるかと言うと、それも非常に難しい話です。

いわゆる「ごね得」がまかり通るような整理案には賛成できないからです。

よって私的整理への多数決が議論されています。
ただし、実現にはまだ多くの障壁があるとされています。

国策により生まれたゾンビ企業

「国策」として私的整理の環境整備が進められている以上、いずれその手続きに一般債権者も巻き込まれる時が来るかもしれません。

多数決原理が導入されれば、私的整理のハードルが引き下げられ、迅速な手続きが可能になると期待されます。

ただし、債権者サイドには手続き参加が任意なのか、離脱が自由なのかなどの問題が残ります。

これらの問題を解決するために細部を詰めていくと、法的整理と同様の煩雑さになるというジレンマも存在します。

そして、私的整理による企業再建が増加していくにつれて、ゾンビ企業も着実に増えていくことになるでしょう。

今後、政府や関係機関は、ゾンビ企業問題と私的整理の適切なバランスを見つけながら、持続可能な経済成長と企業の健全な再建を促す施策を進めていく必要があります。

ゾンビ企業と一緒に銀行も潰れるべきか

結論として、日本のゾンビ企業増加傾向は、私的整理の導入や多数決原理に関する議論に影響を受けることが予想されます。

今後の経済状況や政策の動向によって、ゾンビ企業の数やその影響が変わっていくことが予想されるため、引き続き注視が必要です。

個人的には、ゾンビ企業は市場から撤退すべきと考えます。

同様に銀行の数も減った方が、人材の流動化が起きてイノベーションは起きやすいと思います。

皆さんはどう考えるでしょうか。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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