敬老の日に考えた:高齢者への人的投資は回収可能か?
本日は敬老の日です。
今年、日本の65歳以上の高齢者人口は3,625万人と過去最多を記録しました。
また、働く高齢者も914万人に達し、こちらも過去最多です。
総人口の約29.3%を占める高齢者の中で、4人に1人が就業しており、特に65歳から69歳では就業率が52%に上ります。
少子高齢化や労働力不足の影響で、今後も高齢者の就業機会はさらに拡大していく見通しです。
本記事では、敬老の日をきっかけに、日本の高齢者が何歳まで働けるのか、その現状と可能性について探っていきます。
高齢者の定義
日本では、一般的に65歳以上の人を「高齢者」と定義しています。
この定義は、国際的な基準や日本の社会保障制度の影響を受けています。
特に、65歳を迎えると公的年金の受給が開始されることから、65歳が一つの区切りとなっています。
加えて、健康寿命の延伸や社会の高齢化が進む中で、「何歳までを高齢者とするか」についての議論も活発化しています。
例えば、近年では「アクティブシニア」という言葉が広まり、65歳以上でも元気に活動している人々が増えています。
このように、一概に「高齢者」と言っても、その定義や範囲は時代とともに変わりつつあります。
高齢者人口の推移と予測
日本の高齢者人口は急速に増加しており、総務省の統計によれば、2020年には65歳以上の人口が約3,600万人に達しました。これは総人口の約28%にあたります。
さらに、少子高齢化の影響により、2060年には高齢者人口が全体の約40%に達すると予測されています。
これにより、労働力人口が減少し、社会保障の負担が増加することが懸念されています。
一方で、健康寿命が延びていることから、高齢者が労働市場に積極的に参加することが、近年求められています。
このような人口動態の変化は、日本社会全体に大きな影響を与えており、今後のライフスタイルは変革が予想されています。
世界各国の高齢者の定義
高齢者の定義は国によって異なります。
例えば、アメリカやイギリスでは65歳を高齢者の基準とする一方、フランスやドイツでは67歳が年金受給の開始年齢となっています。
また、アジアの国々では、日本と同様に65歳を高齢者の基準とするのが一般的ですが、一部の国では60歳を基準としている場合もあります。
これらの違いは、各国の社会保障制度や経済状況、平均寿命などに依存しており、どの年齢を高齢者と考えるかは一概に決まるものではありません。
高齢者の現状と働く意義
日本の高齢者は、経験豊富で幅広い知識を持っていると考えられており、職場で重要な役割を果たすことができると言われています。
特に、専門知識や長年培った人脈を活かして、若手社員の指導役やアドバイザーとしての役割が期待されているようです。
また、職場の多様性を高める観点からも、高齢者が職場にいることで、異なる世代間のコミュニケーションが活発になり、組織全体のパフォーマンス向上につながる可能性があるとも言われています。
高齢者が働くことは、企業や社会全体にとって大きな価値を持つかもしれません。
若者との共存は可能か
一方で、「若い人の職を奪うのではないか?」という懸念もあります。
この視点は、労働市場が限定されている場合、若い人材が経験豊富な高齢者と競争せざるを得ない状況を指摘するものです。
高齢者が安定した仕事に就き続ければ、若い世代が新しい役割を得る機会が減少する可能性があります。
しかし、実際には高齢者の就業が必ずしも若い世代の職を奪うとは限りません。
高齢者が持つ知識や経験は、若手社員の育成などに有用な可能性があり、適切な役割を与えれば効率化や収益性の向上に役立ちます。
また、少子化による労働力不足が深刻化している現代の日本では、高齢者の労働参加は必要不可欠となっています。
高齢者のリスキリング
ただし、経験豊富というだけでは、急速に発展するテクノロジーやITスキルが求められる環境では、高齢者の貢献は制限されるかもしれません。
高齢者にも、ITスキルやデジタルリテラシーが不可欠でしょう。
そのため、高齢者の労働力を最大限に活用するためには、研修やリスキリングが必要かもしれません。
しかし、ITスキルなどは高齢者に限らず、どの世代でも必須です。
高齢者=ITスキルがない、と決めつけるのではなく、柔軟に対応できる職場環境の整備が求められるでしょう。
また、高齢者も新しいことを覚える意欲を持つことが必要です。
「昔は…」と昔話ばかりする高齢者は役に立たない可能性が高いでしょう。
高齢者への人的投資は回収可能か?
企業にとって高齢者に投資するのはリスクと捉えられることがあります。
特に、高齢者のように長期間働き続ける保証がない場合、スキルアップや研修にかかるコストを懸念する企業も少なくありません。
高齢者への人的投資を躊躇する理由は、以下のようなことを心配するからでしょう。
投資回収の難しさ
新しいスキルやテクノロジーの研修には時間と費用がかかりますが、高齢者が退職するまでの期間が短い場合、企業はその投資を回収できないと考えることがあります。特に、数年で定年退職を迎える可能性がある高齢者に対しては、教育への投資が負担と感じるでしょう。健康の不確実性
高齢者は若年層に比べて健康リスクが高いとされており、これが突然の休職や退職につながる可能性があります。健康面の懸念は、人材に投資する上で慎重になる一因でしょう。
しかし、上記については、必ずしも高齢者のみがリスクというわけではありません。
世代や性別関係なく、基本的に全従業員が長期的に働く保証があるわけではないことを考えると、人への投資は全てリスクです。
まとめ
労働力不足が続く現在の日本では、高齢者を雇用することは企業にとって避けられない選択肢となっています。
高齢者への投資は確かに企業にとってのリスク要素となり得ますが、適切な役割や働き方を提供すれば、そのリスクを最小限に抑えながら高齢者の経験や知識を活用できる可能性があります。
また、少子高齢化が進む社会において、企業が高齢者を積極的に活用するのは、長期的な企業戦略としても有効です。
近い将来、組織に所属する人材の半分が高齢者ということもあり得ます。
そんな時代までに、柔軟な働き方ができる世の中になっていれば良いと思います。
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