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「小論文」「レポート」「論文」はそれぞれ別物です

大学に入ると、突然「レポートを書いて提出してください」と指示されたり、卒業年度には「論文」を求められたりします。

「小論文」は受験で経験した人も多いかもしれません。

しかし大学で求められる「レポート」や「論文」と混同していないでしょうか。

本記事では、「小論文」「レポート」「論文」の3つを比較し、それぞれの特徴や求められるレベルの違いを整理します。

最後まで読めば、学術的な文章を書くうえで欠かせない基本的なプロセスや思考がはっきりと見えてくるはずです。

大学・大学院は「書く力」が求められる

大学は「知識」を得る場であると同時に、自分の考えを「学術的」に表現する場だと思います。

高校までとは違い、先生が一から手取り足取り指導してくれるわけではありません。

そのため、講義の理解度は自分自身で確認し、整理する必要があります。

そして、学期末には「レポート提出」、卒業間近には「卒業論文」、大学院進学後には「学術論文」と、どんどん高度な文章作成が求められていきます。

ところが、その「書き方」を体系的に教わる機会はほとんどありません。

私もMBA(経営学修士)を修得する際、修士論文を書きましたが、最初は「どう書けばいいのか分からない」という不安や戸惑いがありました。

しかし、指導教授から論文を書くためのアドバイスを頂き執筆できました。

そのエッセンスを次章から簡略化してお伝えします。


小論文・レポート・論文の違い

「小論文」「レポート」「論文」はいずれも「問いに答える」という基本構造は共通です。

その違いについて、以下に簡単にまとめました。

【小論文】
与えられた問いに対して、限られた時間と資料なしで書く試験用文章

【レポート】
講義の受講後、その理解度を踏まえて調査などをまとめる報告書

【論文】
新規性・独創性を伴い、先行研究を踏まえたうえで新しい知見を示す学術的な成果

このように、3つは「レベル」と「目的」が異なります。

小論文は大学入学前、レポートは大学在学中、そして論文は大学院や卒業研究など、より専門的な段階で求められる文章といえます。


小論文とは表現力重視の「受験用文章」

小論文は、主に大学受験や就職試験で使われる「短期決戦型」の文章です。

特徴
• 試験場で短時間で書くため、深い調査は不要
• アイデアや論理的な展開はその場で思いついたものでOK
• 厳密なオリジナリティは求められず、多少の曖昧さも許容される

小論文を書かせる目的
• 文章表現力や論理的思考の基礎力の確認

小論文は「文章を書く練習」としては有益だと思います。

ただ、大学や大学院で求められるアカデミック(学術的)な水準に達する必要はありません。

あくまでも、文章構成が論理的かどうか、相手に伝わりやすい内容か、などが重視されていると思います。


レポートは理解度チェックの「学習報告」

レポートは大学の講義や演習で、課題として提出を求められることが多いです。

特徴
• 与えられたテーマに対し、内容を理解しているかチェックされる
• 調査が必要で、根拠のない主張は認められない
• オリジナリティはあれば良いが、必須ではない

レポートを書かせる目的
• 講義内容をどれだけ理解しているかを確認する
• 基礎的な調査スキルと客観的な記述力を身につけさせる

レポートは小論文より一歩進んだ「学術的な文章」といえます。

講義の内容がどのくらいわかっているかという理解を報告する形式のため、「~について論じなさい」という形で先生から指定されるのが一般的です。

よって、根拠のない報告や主張、ウソなどは認められません。


論文は独自性が求められる「学術成果」

論文は大学院生や、大学4年生が取り組む、学術世界で評価される最高峰の文章になります。

そのため、簡単に書けないと思うのは当然かもしれません。

特徴
• 自ら問い(研究テーマ)を立て、その問いに答えるために先行研究を徹底的に調査
• 新規性や独創性(オリジナリティ)が必要
• 客観的な根拠やデータをもとに、厳密なロジックで主張を構築
• ウソや曖昧な主張は許されず、学術的価値が求められる

論文を書かせる目的
• 学術コミュニティへの貢献
• 独自の研究成果を世に問う

このように、論文は「研究者の卵」としての力を示すための最終到達点といえます。

当然、誰かの論文を模倣したり、根拠のないデータを元にしたものは評価されないだけでなく、罰せられることもあります。


なぜ小論文やレポートを求められるのか?

大学は高度な知識人を養成する機関であると同時に、研究者の卵を育てる「研究者養成機関」としての役割も持っています。

研究者が評価されるのは「優れた論文」を書き、それによって新たな知見を示したときです。

大学入試で小論文が課されるのは、まず基本的な文章力・論理力を確認するためといえます。

大学の授業でレポートを課されるのは、より学術的なリサーチ力や正確性を身につけるステップとして必要だからでしょう。

最終的なゴールは「学術的な価値を持つ論文」を書く力の習得です。

そのため、「小論文→レポート→論文」と段階を踏んでいくようになっているのだと考えます。

<論文を書くまでの3ステップ>
1.  小論文:思考力・論理的表現力の基礎トレーニング
2. レポート:学術的な調査・報告スキルの習得
3. 論文:独創的な研究を通じた新しい知見の創出


まとめ

小論文・レポート・論文は、それぞれ目的も要求される水準もまったく異なります。

小論文は表現力の基本訓練、レポートは学術的な調査報告、そして論文は自身の独創的な発見を示す学術的成果です。

この流れを理解すれば、大学生活や大学院で求められる「書く力」の本質が見えてくると思います。

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Kei | MBA| 元銀行員
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