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◆三田文學編集部のお仕事◆ 編集作業ってなにするの? その2 原稿整理
こんにちは! 編集部員Oです。前回のこのコーナーでは「見本紙作成」についてご説明いたしました。
原稿到着後の最初の作業が、見本紙作成+原稿整理のセットになります。今回は、「原稿整理」はどういう作業なのかをご紹介いたします。
まずは、原稿整理後の原稿をご覧ください。
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ワードデータで原稿が届くことが多いのですが、ワードに保存されている改行・ルビ(ふりがな)などの情報をそのまま反映させることはできません。
印刷所で適切に著者の方の意図通りの形に組んでいただくため、事前に指示が必要な箇所には、私たちが赤字で書き入れておく必要があります。
その作業が、原稿整理です。
それぞれの赤字の意味を確認していきましょう。
「タイトルまわりは見本紙参照」とあるのは、「タイトル周辺は、前回のnoteで作成した「見本紙」通りの文字の大きさ・書体・位置でお願いします」という意味です。
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・改行
段落の最初、階段のようなマークは改行を意味します。
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・文字の大きさ、書体を変更するところ
冒頭、引用の初出にあたる部分に「1Q下げる」と青字で記入しています。
Qは前回にも触れましたが、「級数」の「級」、つまり文字の大きさのことです。少し文字を小さくしたい、ということですね。
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他にも、イタリック体やゴシック体にしたい箇所などについて、指示を書き入れたりすることもあります。
・行アキ
小説や評論など、ある文章のまとまりと、続く文章のまとまりのあいだで1行、2行(~数行)空くことがあります。そうした時は何行(line)空けるべきなのかを記しておきます。
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・変な部分は修正
横組み用のクオーテーションマーク(“”)は、縦組み用のダブルミニュート(〝〟)に修正しておきます。
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他にも、算用数字が
1
2
4
というような表記になっていて、縦中横(縦書きの中に横書きを入れる)にしたい時は
124
に赤字で書き換えておくなどの作業もあります。
著者の方と相談の後、算用数字(1,2,3)を漢数字(一、二、三)に変更しておく場合もあります。
・3点リーダ(…)やダーシ(―)の数
3点リーダやダーシは2つ連続することが多い(……/――)のですが、何個連続しているのかを伝えるため、その隣に□を個数分書いておきます。
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・字のアキ
アキとは空白の部分のことです。
この原稿では「?」のあとで1字空いていますので、空いている個数分、□を書きます。
もう少し小さなアキ(半角アキ=二分アキ)の場合、△を書きます。
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・ナカグロ(・)
ナカグロは三田文學では1字分のスペースを使って配置するので、□で囲います。
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・下ツキ
文字を一番下に移動してほしい時に記入いたします。逆に一番上に移動したい時は「天ツキ」と指示します。
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以下はこの原稿にはなかったものですが、他に書き入れることも多いものです。
・ルビ
ルビはグループルビとモノルビがあります。
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(なぜか夏を先取りしてしまいました…)
浴衣(ゆかた)、運命(さだめ)のような、まとまったひとつのかたまりで特別な読み方があるものは、写真の左の書き方で、グループルビとして配置いたします。
花-火(はな-び)のように読みと漢字が一致するものは、それぞれの漢字に対応するように写真の右の書き方で、モノルビで配置いたします。
※ルビをどう配置するかはそれぞれの書籍・編集部によってさまざまな方針があります
・見出し
小見出しとなる部分などは、本文と違う形になることが多いです。そうした部分には印をつけておき、どう組むべきか指示を書き入れておきます。
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他にもいろいろと指示を書き込むべきものたちはあるのですが、ひとまずはここまで……。
ワードデータがそのまま自動的にゲラ(校正を行うために、実際の雑誌に載るレイアウトで文章を出力したもの)の形になってくれるわけではなく、実は、結構、アナログなのです。
さて、ここまでの作業をして、印刷所へ無事入稿できることになります。
印刷所で作業してくださるオペレーターの方が、パソコンに向かって、この指示をひとつひとつ確認して反映してくださります。
(『三田文學』は歴史ある精興社さんに印刷をお願いしております。「精興社書体」は美しいことで有名で、出版社さんや作家さんの人気を集めています。)
数日後ようやくゲラの形になるのですが、そのまますぐに著者の方へお送りできるわけではなく……。
さて、続きはまた次回に。
次回は編集作業の花形、校正についてです。お楽しみに!
今回もご覧いただきありがとうございました!
※このコーナーで利用する画像は著者の許可をいただいています
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