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『克己』 田島 公太郎
「克己」って読めますか?
"カツキ"君や"カツミ"君ではありません、"コッキ"です。 読んで字の如く、己に克つという意味を持ちます。 これは中学の恩師が僕らに与えてくれた言葉です。
その頃は意味など知らず、皆でチームの変な合言葉としてしか使っていませんでした。実際先生も「今は分からんかもしれんばってん、そのうちしっくり来る時が来るけん。そん時まで頭の片隅に置いときなっせ。」と言っていました。
1. Trombone
どうも、ご機嫌いかがでしょうか。田島です。
106代に続き107代の長距離ブロック長を務めます。
全体集合でもちょっと触れましたが、僕は元々文化系の人間でした。 吹奏楽の出だった両親の影響で、小中と吹奏楽部に属してトロンボーンを吹いてたんですね。
実は中学時には学生吹奏楽団に選抜され、監督ゆかりの地シンガポールへ演奏旅行に行ったりしてました。
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(画質悪くて見えるかビミョいけど)
では今日という日、何故こんなアホみたいに長い距離を毎日走ってるんでしょう。 得意だったから?うん、確かに部分的にはそうかもしれません。でもそれは始めたきっかけに限った話。
何故ここまで続けられているのか、を考えると得意だけでは片付けられない気がします。 僕は運動が心の底から大嫌いなので「好きだから」も当てはまりません。
因みに本当に嫌いです。「ちゃんと外遊びするならDS買ってあげる」という親からの提案に「じゃあ要らん」と即答する程度には。
逸れましたが、ここまで競技を続ける理由の一つには「克己」という言葉があります、という話です。
2. 止まりたい。
僕が陸上を本格的に始めたのは高校から。
外遊びが嫌いな筋金入りのインドア派吹奏楽部長が、県内ではそこそこ知られた強豪校 九州学院での競技へと転向するということは即ち、怪我しに行くということです。走る上で耳にする脚の怪我は骨系筋肉系問わず大体全部やりました。まぁその間になんとか過去15年分の体づくりをして2年生終わりからやっと走り出せるようになったわけですね。一年半を走らずに過ごしたんですから、残り半分は死に物狂いで走りました。
そんなこんなで時は過ぎ、3年生の都大路です。
高校生活全てを出し切る集大成、任されたのは留学生やエースが集う8km区間の3区でした。チームが目指すは日本一、なんと1区は区間賞、2区もトップで迫り来る。当然田島はテンパります。
直前まで考えていた戦略パターンは全て飛び、いいペースで行ってるはずなのに秒で留学生に抜かれ、3,4位のチームが背中にぴたりと付いてきて、とまさに悪夢のようでした。その時陸上を続けてきて初めてある言葉が浮かんできます。
「止まりたい。」
結果5人に抜かれ、6位で襷を繋ぎました。区間順位も16位、チーム総合もそのまま6位、田島、紛れもなく圧倒的大戦犯です。
怖すぎて監督の元まで帰るのに15分以上かかりました。んでしっかり怒られました。
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しかしこのとき同時に、克己の意味をやっと理解できました。
まぁ結果は言わずもがな悪かったんですが、重要なのはそこではありません。先ほども記しました「止まりたい」という思い、これに全てが詰まっています。
それまでどんなに重い怪我をしても、吐くほど苦しい練習で垂れても、監督からものすんごい愛の鞭を頂いても、嫌だなとは思えど決して逃げたいとは思いませんでした。
それが当時の陸上人生のまとめとなる舞台で、出てきちゃったんです。ましてやこれは駅伝、襷を繋がないなど話になりません。当時の自分をこうして思い出すとぶん殴りたくなります。
要するに、克己のポイントとは恐らくここにあります。競技をしていく上で試合中に辞めたいといった気持ちを抱く時点で、もう自分にボロ負けっちゅうことです。例えそれに何時間、何年間と費やしてきたところで、この最後のところに隙があれば全て無駄なんです。
自分に負けたことで自分に克つ意味を見出したなんてなかなか情けない話ですが、この経験がなければ今の僕はありません。
3. 克己
今後も陸上競技を続けていき納得できる時が来るとすれば、それは高3の都大路への未練を断ち切る走りができた時でしょう。僕は恐らくその日まで走り続けます。大学4年間で成仏できるかは分かりません。それでも、あの時とてつもない絶望に襲われていた可哀想な自分のために、全力でやり切ろうと思っています。
これがインドア派日本代表の僕がここまで陸上を続けて来れている理由、そしてこれからも続けていく理由です。
克己の意味は理解できても、まだそこには辿り着いてないわけですからね。
陸上って走ったり、跳んだり、投げたり単純動作の繰り返しじゃないですか。
どうしても気を抜くと惰性でこなしちゃう時とかあると思うんです。実際それができちゃうし。
でもせっかく限られた時間の中で思いっきり限界に挑戦しにきてるのに、それでは勿体ないですよね。
そんな時に自分にブレない軸を与えてくれる、それぞれが陸上を続ける自分なりの理由を持って欲しいなと思っています。
モテたいから、マッチョになりたいから、いいでしょう。あの記録破りたいから、あの人にPB報告したいから、素晴らしいじゃないですか。
そこさえ揺るぎないものにできれば必ず結果はついてきます。
僕の場合、それが克己だったなっていう拙すぎるブログでした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
4. さて、
長いようで短い一年が始まりました。六大、関カレ、全カレ、箱根と試合も目白押しです。誰1人欠けても、勝利は掴めません。僕はこのチームの皆んなと全力で戦い、全力で悩み、全力で喜び合いたいです。
We Over Me、勝ちすゝんで参りましょう。
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もっとどんな人間か聞かせてくれ、トロンボーン教えてくれ、音楽語らせてくれ、広報に物申させてくれといった方がいれば大歓迎です、話しかけてください。ご飯行きましょう。では、よろしゅう。