「イシューから始めよう」 安宅和人
本書の整理
1.生産性の定義
生産性は「アウトプット/インプット = 成果 / 投下した時間・労力」 と定義される。
生産性を高めるためには、
「解の質 = イシューに対してどこまで明確な答えを出せているかの度合い」を高めることが重要である。
2.イシューの定義
イシューとは『自分の今の立場で出すべき問題』を指す。
3.イシュー発見のプロセス
イシュー発見のプロセスは、
「何に答えを出す必要があるのか」という議論から始まり
「そのために何を明らかにする必要があるのか」という流れで進める。
このとき、本当に今答えを出すイシューなのか確認することが重要である。
1.情報収集
明らかにする必要のあるテーマに関連する論文を読み、研究している専門家に相談したり、研究会などに参加して直接することで情報を集める。特に、数字・これまでの問題意識・領域内のフレームワークに着目する。
2.仮説を組み立てる
YES / NOで答えを出せる具体的な仮説を立てる。このとき、主語と動詞を含む文章で表現し、必要な情報や分析すべき情報を明確にしていく。
3.ストーリーラインを組み立てる
まず、前提となる知識と必要な問題意識を共有する。主要なイシューを答えの出せるサイズにまで分解する(以下、サブイシューと呼ぶ)。
次に、サブイシューごとに仮説を立て、検討結果を整理していく。
最後に、これらを総合し全体の意味合いを整理する。
ストーリーラインの型
・whyの並び立て
理由や具体的なやり方を並列的に立てることでメッセージをサポートする。
・空・雨・傘
問題の確認(空)、問題の深掘り(雨)、結論と対策(傘)の順でストーリーを構成していく。
4.良いイシューの条件
・本質的な質問であること
主語が「誰にとっても」に変わらない質問である。
・深い仮説があること
常識を異なる視点で見て「共通性」「関係性」「グルーピング」を通じて、新しい構造を見つける。
・答えが出せること
既存の手法やアプローチを工夫することで、答えを見つけることができる。
まとめ
今の自分が考えている問題は「特別支援教育現場での実践が社会とつながる力となっているのか」ということである。この問いに対して、主語を「子どもたち」と考えると、社会とつながる様々な実践が紹介されている。一方で、主語を「社会」とすると、ICFの考え方の広がりや法環境での整備も進んでいる。しかし、このような問いが生まれる背景として、学校が子どもたちにとって社会と閉ざされた空間になってしまっている現状があるのではないかと考えている。まだ主語が大きいと感じているため「社会とつながる学校づくり」というテーマで良いイシューを見つけていきたい。