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「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」  山口周

本書の整理

経営の意識決定における3つの重要な視点

経営の意思決定において「サイエンス」「クラフト」「アート」という3つの視点が重要である。
1.サイエンスは、物事を論理的に筋道立てて考える能力を指す。原因と結果をシンプルに整理し、分析することが求められる。
2.クラフトは、経験や知識を活かした技術や技能、そして実践的な判断力のこと。
3.アートは、感性や直感に基づく判断で、非論理的な側面に重点をおく直感的な判断力のこと。

サイエンス頼りの意思決定が危険な時代

 現代は、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代である。このような世界では、論理的な情報処理だけでは限界が訪れる。社会の変化が急速で、既存のシステムが追いつかない場面も増えてくる。また、物事の価値が自己実現や感情的価値にシフトしていくため、サイエンスだけに頼る決定はリスクを伴うことが多くなってくる。

美意識の重要性

 こうした時代において、「真(何が正しいか)」「善(何が良いか)」「美(何が美しいか)」の3つで判断する美意識が特に重要となる。この美意識を鍛えるためには、芸術や哲学の鑑賞が効果的である。例えば、絵画を見ることで固定観念から解放され、哲学を学ぶことで支配的な考え方を乗り越える力を養う。さらに、文学に触れることで自己と共鳴する価値観を見つけ、詩を通じて、限られた情報から豊かなイメージを伝えるスキルを磨くことができる。

まとめ

 教育の現場では、これまでの成功例や経験に基づく指導が多く行われてきた。しかし、理論と実践を融合した知識の応用が求められる現代では、感性や直感を活かしたアート思考も必要となってくる。論理的に考えて正しい判断を下す(真)、倫理観な行動を選ぶ(善)、そして美しいものを心で感じとれる(美)。これら3つの視点を持つ美意識は、これからの社会に必要な人材育成において重要となってくる。未来の子どもたちが、このような価値観を持てるような教育に取り組んでいきたい。

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