Legacy2 : ディフェンス
1.ディフェンスとは
ディフェンスとは反撃のことである
ディフェンスとは何だろうか、一般的には防御と呼ばれ辞書的には、”敵の攻撃を防ぎ守ること、打撃を受けないよう防ぐこと”とある。しかし、ボクシングにおいてはこの定義では不十分である。なぜなら、相手の攻撃を防ぎ切ったと評価されるには、反撃を行わなくてはならないためである。例えば、
ダウンやスパーリングで止められた場面を思い出して欲しい。意識が飛んでしまった、膝が抜けた、ブロッキング以外何もできない、倒れた…様々なシーンが思い浮かんでくると思うが、共通事項は一瞬だろうが戦闘不可状態に陥った=もう取れるアクションがない状態に陥ったという点である。つまり、ボクシングにおいてディフェンスとはだた攻撃をやり過ごすだけではない、戦える態勢を保持し、常に二つ以上のオプションを持ち、反撃を用いて相手の攻撃を中断させることである。
ディフェンスの条件
ディフェンスは以下の3点を持って成立される。
1.パンチをもらわない
2.体勢を崩さない
3.下げられない
1.パンチをもらわない
パンチをもらわなければ、格段に態勢を崩し、下げられる可能性を削ることができる。その他にも、ボクシングの勝利因子はどれだけパンチを当てたかによるものであるからだ。
2.体勢を崩さない
体勢を崩すと、反撃ができない姿勢となるためであり、特にボクシングいおいて隙と呼ばれるのは、この崩れた体勢から次のアクションが取れる体勢まで戻す何もできない無意識の間隙のことを言う。ボクシングにおいては、アクションを取りたいと思ったらすぐにアクションを取るが求められる。
3.下げられない
下げられると言うことは、体全体のモーメントが相手と逆方向に向いているため、反撃することができなくなる。また、距離感を支配されてしまい、相手の攻撃オプション、回避オプションを増やすこととなる。
これらの条件は相互的であり、それぞれの要素は次のアクションを作るという点で非常に密接な関係である。そのため、無理に同時に成立させる必要はない。例えば、パンチをもらわず、体勢を崩さないためにあえて、大きくバックスステップを取る選択も、素早くカウンターを打つために首を固めて体勢を保持しながら被弾と同時にパンチを打つ選択も正解である。
2.グローブディフェンス
各ディフェンスの特徴
上記の条件からボクシングの各ディフェンスを
体勢の崩れやすさ(体勢に受けるパワーの大きさ)、次の動きへの移行しやすさ(動作の大きさ)で評価した。上記の2つはトレードオフであり、二つ同時に得ることは基本的には難しい。そのため、ぜひピンク色の部分で示した理想的な状態を目指して努力をしてほしい。
グローブによるディフェンス
アマチュアボクシングにおいて、試合で使用されるグローブは主にアディダス製とウイニング製の2つである。パーリングやブロッキングは基本的にボクシング以外の格闘技では見られないため、グローブの薄さや大きさによって、ディフェンスのやりやすさが変化する事を認識して欲しい。
アディダス製:体積が大きくクッション性が高い
衝撃吸収性が高く、強打及びパーリングがやりにくい。要するに動きを用いたディフェンスが苦手。ブロッキングで相手のパンチを弾くのに向いている。
ウイニング製:体積が小さくクッション性が低い
衝撃吸収性が低いため、強打がしやすい。一方で、ブロッキングなどは衝撃を直に受けやすいため苦手。パーリングなど相手のパンチを動かすのに向いている。
3.ディフェンス戦術
ディフェンス展開
ここまでディフェンスとは回避行動プラス反撃だと伝えて来たが、具体的にディフェンスをどのように行うべきか。それらは状況によるため、根源的な考え方を伝える。ぜひ根源的な考えと眼の前の状況を組合せて、その状況での自分なりの最適解を見つけて欲しい。
ここで注意して欲しいのは、回避行動は相手のパンチと距離感によって決定するため、ディフェンスを一つに絞らずコンビネーション的に行うということである。流動的にバランスを持って回避しなければ、体幹が限界を迎え、体勢を崩し、下げられることに繋がる。
反撃被弾を減らすために
ボクシング中にカウンターを被弾する最も多い場面は何か。それは、見えていないとき、つまり、動きと動きの間にある無意識の間隙である。
そのため、無意識の間隙を無くすためには、パンチを打った後は必ずディフェンスをする。攻める時のコンビネーションを回避行動ありきで組み立てる。
意識内被弾を減らすために(田中亮明理論)
ボクシング中のディフェンス場面として、相手からの仕掛けに対応する場面について、相手の行動を自分の動きによって定めることが出来る。
例えば、相手のガードがL字ガードであったとするならば、恐らく自分の戦略として顔へのパンチを使うだろう。しかしこの行動は、逆説的に相手は自分の顔へのパンチを引き出したとも言える。相手は自分の顔へのパンチのみ警戒すれば良くなる。
このように自分の動きをメタ認知し、逆説的に相手からどう見えるかを考えれば、相手のパンチを引き出す事ができる。そして、自分の構え方から導かれる相手の動きを知ることが出来れば、相手は打つ所がなくなり有利に攻めることができる。
4.総論
ディフェンスは、
1.構え 2.反撃体制での回避行動 3.反撃
である。
今回は反撃についてではなく、構え〜反撃体制の作り方まで論じた。
カウンターについてはまた別途記載する。
5.Appendix
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