12/27 2020有馬記念見解 特別版

秋天以来久しぶりのTwitter以外での予想投稿となります。あまりにも自分の予想と馬券が外れまくっていたために自信を失いかけしばらくお休みしていましたが、今年のオーラスということで有馬記念くらいはしっかり広く予想を公開したいと思います。

・クロノジェネシス(想定1番人気)

今年の宝塚記念勝ち馬であり、昨年宝塚記念、有馬記念を双方制したリスグラシューに続いて春秋グランプリ制覇を期待されており、宝塚記念の1秒差の圧勝、続く秋天の僅差3着という内容より、この有馬記念でも最も人気を集めそうな馬ではありますが、私は世間の評判ほど今回に向けて盤石な信頼を置けるとは考えていません。その理由として、この馬は屈指の道悪巧者であり、宝塚記念の勝ち振りはその適性が稍重発表となったと当時の阪神の馬場に完璧に合致した故の結果と捉えているからです。宝塚記念は勝ちタイム2:13.5と決して時計がかかった決着ではありませんが、3~4角で各馬の通過順が大きく変わり、上位5頭の3角通過順がそれぞれ、7,14,12,10,16番手という完全後方有利のバイアスがかかっており、その中でクロノは7番手→1番手へと4角に押し上げるという完全に馬場への適性の問われる展開となりました。今月に入り中山は2週間以上まとまった降雨がなく完全に乾燥した馬場であり、宝塚記念が行われた阪神のコンディションとは正反対。そして前残り傾向がかかっている現状も差し馬であるこの馬にとっては決して良くない。単純な実力の比較で昨年のリスグラシューとよく対比させられることが多いのですが、直線の短いコックスプレートで最後方から一気に差し切ったリスグラシューと秋華賞、宝塚記念を好位から押し上げて勝ったクロノジェネシスを同じように考えてはいけません。今振り返ると、リスグラシューはあのコックスプレートで勝ち切った経験があったことでラストランの有馬記念で覚醒したのであって、まだクロノジェネシスにはそういったレベルでの完勝経験はありません。そしてもう一つの懸念要素が鞍上で、関西所属の北村友Jの関東圏G1での成績は一度も連対経験がなく、特に中山での成績も近3年間の通算が勝率4.4%、複勝率17.8%と最も苦手にしている状況であります。有馬記念初騎乗という点も非常に気がかりで、そういった状態で1番人気の重圧に屈せず完璧に乗れるかどうかは怪しい点があります。    

・フィエールマン(想定2番人気)

前走秋天2着以来の出走で、何度もコンビを組んだルメールJが今回も選択したということもあり非常に有力視されている馬です。今年は秋天2着の前に、春天を連覇で決めるなど牝馬大活躍の年の中、牡馬として最前線として気を吐いてきた印象ですが、年内3戦目となる有馬記念では秋天以上のパフォーマンスを見せるのはどうか。何よりフィエールマンにとって非常に痛手なのは今の中山の馬場傾向。先週は日曜メインでトーラスジェミニがマイペース逃げ切り勝ち、土曜のターコイズSも3番手で進めた先行馬スマイルカナが制するなど完全な前残り馬場であり、ラスト3Fのタイムを比較しても標準的な傾向よりも1秒程度余計にかかる状況になっています。これまで全てのレースで直線の弾ける末脚で差し切っていたこの馬にとってその末脚を削がれるような今の馬場バイアスはかなり不利に働くと思われます。また、昨年の有馬記念の内容(4着)ですが、上位後方勢で独占した本レースで唯一といっていいほど先手取った馬で上位に残りましたが、最後坂で脚が止まってワールドプレミアに差された様子を見ると中山が向くかどうかは疑問です。とにかくこの馬は出走回数が少なく、判断材料に乏しいので明確な適性を掴むのが難しい。春天を連覇していますが、どちらかといえばステイヤー型ではなく秋天のような2000m前後が1番向く距離だと思います。

・ラッキーライラック(想定3番人気)

今回がラストランとなるG14勝馬。有馬記念は初出走で、2500m以上の距離も今回初めてとなりますが、昨年、今年と連続2着となった中山記念の内容から、ステイゴールド系の産駒らしく中山の舞台は全競馬場の中で一番向くと考えられ、長距離の未経験というビハインドを適性だけでカバーできる可能性があります。昨年のエリザベス女王杯の内容がこの馬のベストパフォーマンスですが、これはスミヨンJが非常に上手く乗ったものですが、ラチ沿いに潜り込んで鋭く伸びたことから馬群や道中の不利に対しての不安はかなり関係ないタイプと見て間違い無いと思います。鞍上は福永Jが初騎乗となりますが、有馬記念の結果がいまひとつの福永Jが力を引き出せるかどうかがカギです。本人はじっくり構えるとのコメントを残していますが、個人的には先手を取った方が好結果につながると思います。

・カレンブーケドール(想定4番人気)

前走JCは4着だったものの、3着デアリングタクトとの着差がハナ差というかなり強い内容であり、勝ちきれない競馬が続くもののこれでG1での2着が4回目という実力ではG1級といってもいい存在。ただ有馬記念への適性がどうかというとJCで昨年2着今年4着という結果を残していることから、おそらく中山より府中向きの馬であり、これ以上の内容を残せるかはどうかはあまり期待できないと思います。ただ距離に関しては確実に長距離向きなので、当日の馬場が少しでも高速時計気味になりパワーをそこまで問われないようになるのなら、出番はありそうです。但しスイートピーSから前走のJCを除いて全て馬券圏内に結果を残してきた津村Jを降ろしてまでのこのタイミングでの乗り替わりは決してプラスにはならないと考えます。

・ワールドプレミア(想定5番人気)

前走JCがほぼ1年ぶりの出走となり、長期休養明け2戦目となることから更なる上昇気運が期待されますが、昨年同じく長期休養明けとなった神戸新聞杯を消化して叩き2戦目の菊花賞で優勝したパターンと同じローテでありその再現となるか注目。ただ適性としては、中山コースよりも府中コースの方が向いているように見えます。末脚の引き出し方が神戸新聞杯や菊花賞の内容から長く持続して繰り出していることから、直線は長ければ長い方がいい。昨年の有馬記念3着はかなり展開によって助けられた面があるので、あの内容から有馬記念向きだと判断してはいけません。今回の強調ポイントは昨年の菊花賞と同じ臨戦過程と距離適性の2点で、その長所をどこまで引き出せるかがカギです。

・キセキ(想定6番人気)

前走のJCの1000m57.9秒の大逃げはあわや大金星かと思わせる瞬間もあり、今年は差し競馬に徹した時期もあるものの、かつてのスタイルを取り戻した感があります。今回も逃げがハマればかなり面白い存在となりますが、さすがに前走のは若干暴走気味であったこと、それ以外でも今年は大出遅れや折り合いがつかなくなった場面を見せたりすることが目立つだけに、想定通りの競馬をしてくれるかどうかという部分でかなり不安、それゆえ逃げるのか控えるのか展開を予想する上でもかなり難しい存在になってしまっています。あとは6歳という年齢、6歳以上になるとデータ上かなり不利な数字になる以上、今年の宝塚記念で2着と復調気配は見せたものの、ここでもというようには考えにくいかもしれません。                 

・オーソリティ(想定7番人気)

3歳時にアルゼンチン共和国杯を勝ち、有馬記念に臨むというローテはスワーヴリチャードと同じであり、オーソリティをスワーヴリチャードと比較した場合どの程度なのかが見えてくれば、今回どれくらいやれるのかがわかります。今年のア共杯の勝ち時計は2:31.6、着差0.2秒、一方スワーヴRが勝った17年のア共杯は勝ち時計2:30.0、着差0.4秒とスワーヴRの残した内容の方が濃い。さらにスワーヴRはダービーで2着という実績を残しており、それを考えると今のオーソリティよりは1枚上でしょう。そのスワーヴリチャードでも有馬記念で4着ということを考えると相当な適性を持ってしてないと厳しいと思います。オルフェーヴル産駒という点を考慮すれば少しは有馬記念への適性はあるのかもしれませんが、府中のG2を2勝に比べ中山ではホープフル着外、弥生賞3着と奮わない現状なので、中山での今回は苦戦すると思います。

・ブラストワンピース(想定8番人気)   

一昨年の有馬記念優勝馬。昨年、今年とG1では全て着外なのであまり気づかれていないかもしれませんが、優勝した有馬記念を含め中山では2戦2勝とパーフェクトであり、相当な中山巧者という可能性がある。特に今年は大阪杯、宝塚記念、秋天とG1では衰えと判断しても仕方ないような大敗を繰り返していますが、それでも今年の初戦のAJCCは1番人気で完勝の内容。更に昨年の札幌記念では1枠1番の利を活かし、インベタで進出し差し切り勝ち。札幌や雨が降っていた一昨年の有馬記念の中山のような馬場で結果を残しているように、力のいる馬場での適性は抜群。現在の中山は前残り傾向があまりにも強いため、そこまでこの馬の適性が合致するかどうかは微妙だが、先週以上にパワーを求められ前が止まるようになるとこの馬のための馬場となる。枠順も1枠2番と完璧な枠順を引いたので復活の激走が大いに期待できます。

・バビット(想定9番人気)

菊花賞は-12キロという調整の失敗に加えノースヒルズ陣営のマークに合い、2番手で進めるも直線で力尽き10着に大敗。だが、この菊花賞を除けばほとんど完璧な内容の成績で、中山舞台のセントライト記念を0.3差と完勝と舞台適性についても問題無いことを既に証明しております。この馬の強さがよくわかるレースがその前となるラジオNIKKEI賞であり、メンバー構成はともかく、差しが決まりやすく、そして直線が短いことから着差がつきにくい福島コースで逃げ切って0.8秒差をつける圧勝劇を見せており、とにかく自分のペースで逃げればかなり強い内容の競馬をしています。その強さのカギがコーナーの上手さ。他の馬が曲がる際に失速したり、外に膨れたりするところ、この馬はラチ沿いを取れれば全くそういったロスがない。このタイプに取ってコーナー6回の有馬記念は最高の舞台になるはず。距離適性についても菊花賞で4角入り口までは加速して先頭に立つ場面があったように2500までは問題はない。有馬記念は斤量面などの点から3歳馬が有利というデータがありますが今年はバビットとオーソリティの2頭であり今回戦う古馬勢とも一切当たってないことから、底については未知数。1枠1番というこのタイプにとっては願ってもない最高の枠順を引き、またキセキやオセアグレイトなど他に先手を取りそうな馬と離れて競馬を進められることから、セントライト記念やラジオNIKKEI賞で見せた得意のインベタ逃げを容易に打つことができます。現状の馬場、展開含めたメンバー構成を考慮すれば勝機は一番あります。

ラヴズオンリーユー(想定10番人気) 

無敗でオークスを制して以来勝ち星に恵まれていませんが、そもそもの出走回数が少ないからその辺りの部分はあまり気にならない。むしろエリザベス女王杯で2年連続3着、一方ヴィクトリアマイルではかみ合わず着外ということから、距離が伸びる今回はプラスに作用します。あとは中山コースへの適性がどうでるか。血統面ではディープ×ストームキャット系と高速決着の軽い馬場を適性にするタイプなので、先週よりずっと馬場が軽くなってくれれば出番は向いてくると思います。枠は4番といいところを引いているので、ノーチャンスということはないでしょう。ある程度先手取れれば。     

・ユーキャンスマイル(想定11番人気)

 アルゼンチン共和国は1番人気で4着と敗れましたが、それでも昨年の秋天(4着)の内容などから府中得意という見立てには変わりなく、それは裏を返せば中山でのG1級ではかなり苦しいと見ています。距離適性は2000m前後か3000mであり、その間の2400前後ではかなり成績を悪くしています。この馬は末脚に特化したキンカメ産駒であり、偶然3000mの菊花賞、阪神大賞典が軽い切れ味勝負になりやすいという点から結果を残しているのであって、キンカメ産駒という点で春天は無理、スタミナ適性が足りないので2400や2500だと凡走してしまうという理屈となります。尚更スタミナの問われる今の中山の馬場だと余計に苦しく、枠順も最悪な16番枠を引いてしまいました。

・サラキア(想定12番人気)

府中牝馬勝ち、エリザベス女王杯2着と5歳になってG1級でも通用するようになり、弟にサリオスがいる良血の一頭ですが、基本ディープ産駒が5歳からG1で勝ち負けするレベルまで成長するということ自体が稀であり、エリザベス女王杯からメンバーレベルがグンと上がる今回ではかなり苦しいと思います。

・モズベッロ(想定13番人気)

今年不甲斐なかった4歳牡馬勢の中で、芝中距離G1で馬券圏内に入着したのが大阪杯3着ダノンキングリーと宝塚記念3着のこの馬であり、クラシック勢が衰退する中、この馬は年明け日経新春杯を勝ち、日経賞2着、春天7着とG2勝ちもクリアし、前走で宝塚記念でクロノジェネシスに離されたものの3着に入着しました。少なくとも同世代のクラシック組よりは成長力で上回っており、春の勢いもこのまま維持できていれば有馬でも勝負になる可能性はあります。今秋は故障の影響もあり、ここが半年明けの一戦となってしまいましたが、まともに調整できていたとしたら馬券圏内濃厚の一頭です。

ペルシアンナイト(想定14番人気) 

宝塚記念で中長距離戦にチャレンジしていますが全く奮わず大敗し、その後札幌記念では2着がありますが、ハービンジャー産駒らしく洋芝適性でこなしたものであり、距離が伸びると基本的には苦しいです。2500だとかなり厳しい競馬を強いられると考えられます。

・クレッシェンドラヴ(想定15番人気)

ミッキースワローの回避により繰り上がり出走を果たしましたが、今年は中山金杯、オールカマーともに中山のG2,3で着外に敗れるなど、G2勝ちもない現状では有馬記念は敷居が高いか。但し、適性と血統背景、枠順に関しては全て悪くはないです。

・オセアグレイト(想定16番人気)

ステイヤーズSを勝って有馬記念に臨むことになりますが、いくら有馬記念がスタミナ適性を問われるレースだとしても3000mを超えるダイヤモンドSやステイヤーズSで求められるモノとは全く違う訳で、これまでになアルバートやリッジマンなどステイヤーズSをステップとして有馬記念に出走してきた馬は何頭かいますが、全て着外に敗れています。

現時点での結論

◎1.バビット

〇7.ラッキーライラック

▲2.ブラストワンピース

△(2)10. カレンブーケドール

△(3)9.クロノジェネシス

△(4)4.ラヴズオンリーユー

☆11.モズベッロ

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