ある通院日
二か月ぶりの循環器内科の通院日。
朝から小雨模様。
こんな日の通院なんて億劫でしか無い。
とは言え、順調に良くなって来ている糖尿だの高血圧だの、諸々成人病の成績が分かる日だ。
齢50近くにもなると、当たり前に成人病が顔を出す。
身体に言わせれば、50近くにもなってるのに、若い頃と食べる量が変わらないと来てるから、文句もあるのだろう。
一応は食べる量は控えめにはしている。
けれど、そんなささやかな努力も虚しく、運動量は減っているし、相変わらず燃費が悪い身体である。
体重は一年前より17kgも落とす事に成功した。
特に何かを頑張った訳ではなく、単に前述の通り燃費が悪いから、食べる量を気持〜ち減らす程度でも体重は減ってくれるから、中性脂肪やコレステロール値も勝手に下がってくれる。
しかし今日は少し違った。
前回より微妙に数値が悪い。
そりゃそうである。
男の1人寡が、まともな料理を作り続けるには、なかなかしんどい物がある。
先ずは野菜。
正直、嫌いです。
仕方ない…。
気持ちを切り替えて家路につく。
雨天の為、バスが延着。
そりゃ仕方ない。
のんびり帰ろう。
今日のバスの運転士さんは、なかなかお茶目な方のようだ。
停留所に着く度に丁寧に延着のお詫びをなさる。
良くも悪くも、日本の交通機関の丁寧さだろう。
雨天の延着なんて、どうにもできる物では無い。
…ご苦労様です。
そんな中、途中で上り線のバスとの都合で少しだけ待つ時間があった。
バスの道程からすると、ちょうど半ばくらい。
席もそこそこ空いて来ていた。
運転士さんのお茶目さは、ここで出た。
「お席が空いておりますので、お立ちのお客様は席にお掛け下さい」
こういう事を言う運転士さんは初めてだ。
バスが発車した時から私が座る席の前側に、スーツ姿の若い女の子が立っている。
多分、この子に言ったのだろう。
だが、座らない。
すると続けて、「安全上、お座り頂けると嬉しいです」と。
女の子は苦笑い。
しかし、頑として座らない。
私は吹き出しそうなのを顔に出さないように、笑いを堪えた。
そんなこんなでまた出発。
3つ先の停留所で女の子下車。
いや、苦笑いしてまで立つ必要あった?
そんな言葉を飲み込みつつ、しばらくして私も下車。
億劫な通院が、運転士さんのおかげで少し楽しくもあった。