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深海魚を食べに出かける

今年は早々から気温が上昇し、記録的な酷暑ということで旅の回数が減りました。
担当医からも外出することはエネルギー補給ということで、11月の頭に計画していた岡山と四国の旅は、台風から変わった熱帯低気圧の大雨で中止。
予約していた寝台特急サンライズ瀬戸も運休になりました。

ついていない時はそういうものですが、気を取り直して今年最後の旅に出かけました。
今回出かけたのは沼津。
沼津市は静岡県の東部、伊豆半島の付け根部に位置して、富士山と駿河湾に囲まれるような格好でになっています。
東海道と狩野川、駿河湾の接点に町が造られ、伊豆半島への交通拠点として、あるいは商業や文化の拠点として、古くから栄えてきました。
鉄道の東海道線や幹線道路の国道1号線、東名高速道路などが通っていることに加え、新幹線の停車する三島市からも近く、首都圏や中京圏からのアクセスも比較的よい環境です。但し、三島駅の新幹線はこだま号がメインで、ひかり号の停車はごく一部、のぞみ号は一切停まらないので注意が必要です。
かつては小田急新宿からJR御殿場間を約1時間40分で結ぶ特急「ふじさん」があったのだが、現在は全て御殿場止まりです。


年間の平均気温が約17℃かつ夏冬を通じて気温差が小さいことから、1年を通して比較的温暖で過ごしやすいことでも知られています。
この辺りは私が住む房総半島にも似ているかな。
確かに沼津駅に降りた時も街に妙な親近感を覚えました。

この沼津駅に降り立つとまず目にするのはアニメキャラクターの姿。
2016年に放送されたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台となったことから、作品に登場するアニメキャラクターを用いた町おこしも盛んに行われています。


沼津市内を歩くと、街を挙げて「ラブライブ!」での町おこしに力を入れているのがよく分かります。まずJR沼津駅そのものが「ラブライブ!」だし、、路線バスや、タクシーなどの公共交通機関にラブライブのラッピングを施されています。

商店街にもラブライブ関連のポスターなどもあちこちで目にするし、商店街のマンホールも「ラブライブ!」なのです。
この「ラブライブ!」の経済効果は50億から60億という試算も出ていて、ラブライブの経済効果はそれなりなのでしょうが、今後はその役目も徐々に衰えるのではないかとも心配されています。それでも沼津市の認知度を全国区にまで押し上げたこともまさに特筆すべきことではないでしょうか。
アニメの聖地としての今後の活動にも期待したいですね。

さて、沼津の紹介が長くなりましたが、今回の目当ては鉄分補給もありますが、深海魚を食べること。
沼津と言えば深海魚というぐらいに、あのグロテスクで美味な魚を食べることができます。実は7年前と4年前に一度沼津港に来ているのですが、当時はアニメの聖地ということで観光客が多く、深海魚に在りつけることができませんでした。
今回は一泊して朝から沼津港へ行くので確実に食べることができます。

JR沼津駅から沼津港は約2.2㎞ほどあります。
沼津港から千本松公園も2.5kmほど離れていて、沼津御用邸までは駅から5㎞ほどあります。観光地間を徒歩(車椅子)だけで移動するにはかなり無理があります。

あわしまマリンパークまでは沼津駅から11.6kmもあり、戸田などの観光地へは伊豆箱根鉄道の修善寺駅からバスで行くことになります。
沼津観光は公共交通機関よりもマイカー、レンタカーの移動が楽のようです。

今回は深海魚を食べることに特化しているので、沼津港周辺だけということで移動も駅からの循環バスで問題なし。
所用時間も10分、もちろん静鉄バス、遠州バス共に車椅子対応のバリアフリーです。

沼津港は新潟県の寺泊や房総の勝浦に似た魚介類の市場があります。
かつては干物の街としても全国に有名だったこともあり、脂ののった干物がたくさん並んでいます。

そんな中に深海魚を使った丼を出す「海鮮丼佐政」があります。
「海鮮丼佐政」を運営する「佐政水産」は創業100年を超える老舗の水産会社です。

開放感があって落ち着ける店内は清潔感もあり好印象。
車椅子でも丁寧に対応してくれます。

海鮮丼中心のメニューの中で、今回目的の深海魚の丼「深海丼」を注文します。メニューで気になったのは出汁が200円でトッピングできること。
注文時に白飯と酢飯が選べるのは、出汁を使った海鮮出汁茶漬けができるからです。

ウツボ丼は房総でも食べられますが、深海魚はなかなか食べることができません。
日本一深いといわれる駿河湾の漁場だけに、沼津では深海魚のメニューを味わうことができます。

駿河湾の深海魚をたっぷり味わえる「深海丼」です。

丼に味噌汁(あおさ、アラ汁、蟹汁)とあじの干物もついて、なんと値段は2,838円。
思っていたよりもリーズナブルです。

ちなみに海鮮丼の値段は1,408円でした。

深海丼の上にのっているのは、キンメダイ、本エビ、桜エビ、デン、メギス、お頭付きのユメカサゴ。
このユメカサゴよく見るとノドグロにも見た目が似ています。
水深150~500メートルの海底に棲む魚なのだとか。
口の中に入れると淡泊ながらもしっかりと旨味が感じられ、適度な歯ごたえもあってとっても美味しい。

次はデンです。
デンはオオメハタと呼ばれ深海魚の獲れる地域でしか食べられません。
これもまた白身でもちもちとした触感で脂がのってウマイこと。
沼津ではデンデンとも呼ばれています。

メヒカリは水深200~600mの海底に生息する深海魚。
白身で脂がのって、これまたウマイ。
実は深海魚が食べたくなったのは7年前に、沼津で入った寿司屋で「とろぼっち」と呼ばれるから揚げを食べて、そのとろけるような美味しさに感動したからです。
今回もしっかりと、から揚げをオーダーしました。

本エビはヒゲナガエビと呼ばれ深海に生息しています。
非常に足が早く鮮度が命と呼ばれ地元で消費されるエビでした。
深海魚ブームもあり鮮度を保ちつつ沼津近郊でも食べられるようになっています。
口に入れた瞬間にとろっとした食感、コクと甘みが口の中に広がります
甘エビよりも甘いというのは衝撃的でした。

そして殿に登場するのは深海魚の王様アブラボウズ。
伝説の美味しさと身のすべてが大トロと聞いたこともある深海魚。
もう一つの伝説が食べ過ぎると消化不良により下痢を起こすという話。
これは似たようなアブラソコムツとバラムツのことで、ワックスエステルのが脂肪の魚と混同されていたからです
アブラボウズは普通の魚と同じ脂肪ですが、脂の塊のようなものなので食べすぎには注意が必要です。。

脂の乗りは噂とおり大トロにも引けを取りません。
でも、口の中でとろける感覚はなくて、繊維質でサクッとした歯ごたえが楽しめます。
噛めば噛むほど上質な魚の甘みを味わえます。
マグロの大トロよりもカマトロに近いかも。
上品なのに脂がたっぷりという不思議ですが大変美味しい深海魚です。

最後にサクラエビ
これは相模湾でしか獲れないエビで、昼間は水深300mほどにいるそうです。
軽く茹でられたサクラエビは風味も強くご飯が進みます。
サクラエビは漁獲量が年々減っているので、新鮮なものを食べられるのは幸せなことです。
これだけの深海魚を食べられるのですから、深海丼は食べる価値が大いにあります。益々いろいろな深海魚を食べたくなりました。

最後に店員さんがユメカサゴを高温で骨揚げにしてくれます。
揚げたてのユメカサゴの唐揚げは、サクサク食感で香ばしく、尾から頭まで美味しく食べられました。

深海魚がメインですが、セットに付いてきたアジの干物も脂がのって最高です。蟹汁も蟹の風味が味わえて深海丼にピッタリ。
全て完食して大満足でした。

アジの開きは半身サイズではありますが、ふっくらした食感にうま味がギュッと凝縮してこれまためちゃウマでした!

アジの干物はふっくらしてうま味が凝縮
というわけで今回は沼津港「海鮮丼佐政」さんでランチ、「深海丼」を味わってきました!

深海魚や深海エビが豪華に盛り付けられた丼は、駿河湾が近いここ沼津ならでは、他ではなかなか味わえない美味しさです!
今回も、ごちそうさまでした!

■海鮮丼 佐政
■静岡県沼津市千本港町83 港八十三番地内
■営業時間:9:30~17:00(LO16:00)※土・日・祝日・繁忙期は9:30~20:00(LO19:00)■定休日:木曜日※繁忙期は除く(8月は無休、GWなど)・1月メンテナンス休業あり

ついでに隣にある「沼津港深海水族館」も散策。
ここは深海をテーマにした水族館。
水深2,500mと日本一の深さを誇り、世界的にも生物の宝庫として知られる駿河湾に生息する深海生物や世界各地の深海生物の希少種、シーラカンスに関する様々な情報や標本の展示などがあります。

シーラカンスの展示もあり、特に捕獲時のままの姿を留めた冷凍標本が見られるのは世界でもここだけとなっています。深海生物を目の当たりに出来る水族館なので、入場料は少々高めですが一見の価値があります。

■沼津港深海水族館
■静岡県沼津市千本港町83番地
■開場時間:10:00~18:00
■料金:入場料金 大人(高校生以上)¥1,800
※障害者割は介助者の適応

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