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タイラーの父親像、母のことば。
アルバムを何度聴いても、「Like Him」で立ち止まる。
今まではずっと不在だった父への怒りを露わにしたり、強がってきたタイラーだけど、今作『CHROMAKOPIA』では、おかんが意外な真実を打ち明けて、聴き手を驚かせる。
タイラーを見捨てて家族の元を去ったと思われていた父は、実はタイラーの父親として、いつも息子の側にいたがっていたこと。
彼は実はいい人であったこと。
母は若さゆえの決断で、タイラーから父を切り離したこと。
父親が去ったのは、母の責任であったこと。
だから彼を恨まないで、私が悪かったの。許して欲しい。
そして、タイラーの体のパーツから姿勢から表現まで、すべてが父にそっくりであること。
せつせつと語り、ひたすら謝る母。
父親がいなかった分、父と母の両方の役割を全力で全うしてきたおかん。
父親像を知らないタイラーからは、怒りは感じられないが、それでも父の不在がもたらしてきた感情、雲をもつかむような表現が、なんとも切ない。
ピアノの鍵盤がひずむ音が響く。
Mama, I am chasing a ghost,
I don't know who he is,
do I look like him?
ママ、幽霊を追いかけているようだよ、彼がどんな人が知らないんだ、
俺は彼に似ているの?
You gave me love and affection
Attention (Go), protection
How could I ever miss somethin' (Go)
That I'd never had?
あなた(母)は俺にたっぷり愛情をかけて
気を配り、守ってくれた
味わったこともない父親を
いなくて寂しいなんて思いようがないんだよ
I decided to
Anything that lives inside of you
I would never ever lie to you (Yeah)
You ain't ever gotta lie to me
I'm everything that I've strived to be
So do I look like him?
自分の中にある気持ちには
絶対に嘘はつかないと決めたんだ
だからあなたも俺に嘘をつかなくていい
俺がずっと目指してきたものはすべて手に入れたのだから
で、俺は彼に似ているの?
「Like Him」
大人になったんだなぁ、タイラーも。と、しみじみ。(別の曲では、「早く孫の顔を見せて」とせがむ母。バイセクシュアル?を公言するタイラー)
そして、「Like Him」から次の「Balloon」に抜けていく感じが、ケンドリックの『Mr. Morale & the Big Steppers』の「Mother I Sober」から「Mirror」への流れを思わせる。低空飛行から、やっと空に飛びたっていくような、軽やかさと爽快感。
Me and Lionel Boyce in drama class, my boy can act now (Mm)
Was really Odd Future, all them other niggas whacked out
The biggest out the city after Kenny, that's a fact now
演劇の授業を取ってた俺とライオネル・ボイス、ヤツは今じゃ俳優
すべてはオッド・フューチャーから始まった、
他のヤツらはみんなヤク中(?)
今じゃLAでケニー(ケンドリック)の次にビッグな俺、事実さ
「Rah Tah Tah」
あさってのキャンプ・フログ・ノーが待ち遠しい!