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2018.8 都留第二中学校福祉委員 講話原稿

都留社会福祉協議会から「共に生きる」というテーマで母親に講話の依頼があり、浩太朗も伝えたいことがあると語った。

生きてることの意味とか。もし生きていることが苦しいと思っている人がいたら生きている意味を伝えたい。僕を見てどう思うのかまず聞いてみたい。そして僕は生きている意味があると思うのかを問いてみたい。そしてそのことから話をしてみたい。きっと僕が幼稚で何もできない寝たきりの人だと思うと思うのでこんな僕は生きている意味があると思うのかを問いてみたい。きっと意味がないと言う人が多いと思う。その中で僕の考えている事を話してみたい。生きている意味と今の君たちが生きている事、何が大切で人間として大切なことを僕の事から話してみたい。きっと説得力があります。自信がある。(2018.7.29 指談)

2018.8.1 原稿作成

【都留第二中学校福祉委員講話 テーマ「共に生きる」】

皆さんこんにちは。僕は小林浩太朗といいます。
僕のことを見て、まずはどんな風に思いましたか。僕はいくつに見えますか。僕は実はもう大人なのですが、皆さんは僕のことを自分たちよりも年下だと思いましたか。僕はよくそんなふうに言われてしまいますが僕はもう20歳を過ぎた大人なんですよ。

僕の体のおかげで、僕はいつもとても幼く見られて、そして幼い扱いを受けてきました。皆さんはそんな体験は無いですよね。少しくらい歳が若く見られたとしても赤ちゃんのように扱われる事はないでしょう。僕はもう大人ですがまるで赤ちゃんのように扱われてしまうことがあるのです。僕はそんな扱いを受けてたくさん傷ついてきましたが、今はちょっと違う考えを持つようになりました。

僕のこれまでのことをちょっと話します。

皆さんはこれまで普通に小学校に通い中学校に入って今の生活がありますね。僕は皆さんとはちょっと違って特別支援学校に通うことになりました。
僕も本当は家の近くの小学校や中学校に通いたかったのですが、それは出来ませんでした。僕の体を見てもらうとわかるように、自分では自由に動いたり話したりすることが出来ないので、普通の小学校や中学校に行くことは出来なかったのです。

でも僕は今は誰かに手を取ってもらえれば話すことが出来ます。でも逆に言うと誰かに手を取ってもらわなければ話が出来ないということになります。話をすることだけではありません。どこかに出かけようと思ったらやはり誰かの手を借りなければなりません。僕がこんなことがしたいなと思っても、まずは手伝ってくれる人を探すことから始めるのです。

僕は最初は、こういう体に生まれて来たのだからそんなことは思わないでおこう、思ってはいけない、という風に考えていました。

でもそれは間違いだとわかってきました。

僕が何もしなければ僕の存在は誰にも知られずに、ただ家族の中や僕を初めから知ってくれている人たちにしか知られずに、ひっそりと生きていくことになります。でも僕にもみんなと同じように生きる権利があると思ったのです。僕だっていろいろなことに挑戦してみたいし、いろいろな人に会いたいし、いろいろなことを知りたいし、いろいろなことでいろいろな人と話し合いたいと思っているのです。

だから僕は、誰かに手伝ってもらうことを避けることをやめようと思いました。誰かに手伝ってもらうことが駄目なことではない、と考えることにしたのです。誰かに手伝ってもらうことが、その誰かと一緒にいろんなことを共有していろんなことを体験することで僕も成長するし、その誰かもきっと何かを掴んでくれると思うからです。その誰かがまた他の誰かと繋がることで僕もその他の誰かと繋がることができるんだと思っています。

僕達のことは皆さんにとってどんな存在になるのでしょうか。それは僕のこれからの努力と皆さんのこれからの生き方とが、どこかで何かの形で交わることがあった時にきっと何かを生みだしてくれるのではないかと思います。

まずは僕のことを心のどこかに留めておいてください。
いつか何かの時に、『あ、そうだ』と思い出して、何かの形で僕や僕の仲間たちのことを手伝ってくれたり、一緒に話をしてくれることがあったらいいなと思います。

皆さんが今日感じたことはきっといろいろだと思います。『変だな』とか、『わからないな』、とかと思う人もいるかもしれませんね。でも いつか もしかしたらこんなこと、つまり僕達のような体の人達が普通に世の中のいろいろな場面に登場して来てそれがごく当たり前のことになる日が来てくれると願っているので、皆さんが将来大人になった時に、『あー、中学の時にそんな話を聞いたことがあるな』と思ってくれるといいなと思っています。僕のことをぜひ心に留めておいてください。そしていつかそんな日が来たら僕達といろいろなことを話したり一緒に体験したりしてみてください。

今日は話を聞いてくれて本当にありがとうございます。僕の話はこれで終わりです。


【小林浩太朗にとって「ともに生きる」とは?】

「ともに生きる」ということは、障害者と健常者のことではなくて、みんなも僕も実は何も変わらない、みんなおんなじなんだよ、ということだと思います。
特別なことではなく、みんな同じだよ、というメッセージだと思います。

この講話は台風接近のため中止になったが、浩太朗のこの原稿は先生を通して福祉委員のみなさんに読んでいただいた。

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