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イギリス就活体験談

こんにちは。イギリス(スコットランド)にある大学、The Glasgow School of Artでサービスデザインを勉強し、卒業した大倉です。

卒業してから約5ヶ月間、就職活動をしておりました。2月上旬にようやくロンドンで仕事を見つけることができたため、忘れないうちに就活の体験談を記事にすることにしました。
今回の記事は、就活の流れ、就活のポイント、私が苦労したことと改善した点などについてお伝えできたらと思います。

デザインリサーチや、サービスデザイン、イギリスやヨーロッパでの就職に興味がある方のお役に立てば幸いです。

就活の流れ

1. 書類選考

リクルーターやTalent Acquaisitionチームによる、CV、カバーレターのチェックが行われます。

リクルーターやTA(Talent Acquaisition)は何を見ているか

主に見られているポイントは以下だったと思います。

  • Job Descriptionに書いてある経験・スキルを持っているかどうか

  • ビザを保有していること(Right to Work、スポンサーできない企業の場合)

  • その分野の学歴を持っていること(できれば英語圏)

  • 英語で仕事をした経験 - できればその職種で2〜3年ほど

  • 英語圏での仕事経験がない場合、似た経験、もしくはTransferrableなスキルがあるかどうか。

  • ビザを持っている場合、経験が少なくても取ってくれる可能性がある。

私の場合、英語での職務経験がなく、デザイナー歴も浅く、永住権を有していないため最初の段階でかなり苦労しました。長期のビザがないだけで半分ぐらい断られていたのではと思います。ただ、Graduate Visaがあり、現地の大学院をでたこと、そして職務経験が少しでもあったことはプラスとなりました。

このフェーズでのポイント

CV
JD(Job Description)に頻出のキーワードを盛り込むと良いです。
機械でCVを読み込み、スキルやマッチ率を検出している企業が多いです。リクルーターはその仕事を深く知っているわけではないので、キーワードで判断します。私はJDの文章をワードにコピーして、大切なキーワードにマーカーを引き、CVに盛り込むようにしていました。

Cover Letter
カバーレターにはCVにない情報、そして使い回しではなく、その会社ごとに書いてることがわかるように書くと良いです。具体的には、

  • どの職種に応募していて、どんな会社/仕事を探しているのか

  • どんな経験、スキルを持っているのか(JDにあるキーワードを盛り込む+実際の例をいくつか書く) - 仕事、大学でのプロジェクトなど

  • 企業のバリューと自分の経験がマッチしていることを示す

  • CTA - 次のステップへ行きたい意志を示す

書類選考全体に言えること

  • Cover Letter, CV共に最初の一文でいかにリクルーターを惹きつけるかがポイントです。スキル、経験、年数、バリューにフォーカスすると良いです。

  • Confidenceが伝わる文章を書くこと。 ネイティブの人に見てもらい、クリアな文章で自信が伝わる文になっているか添削してもらうと良いです。

  • 大事な情報ほど上に書くこと。 バリューよりスキル、経験年数、仕事経験などの情報を上の方に書くと良いです。


2. 1次選考 - スクリーニング

  • リクルーター/Talent Acquisitionチームによるスクリーニングインタビュー(電話が多い。15-20分ぐらいです。)

  • CVに書いてあることの確認。経験の確認。JDにあるがCVにないスキルなどについて、似たような経験があることを伝える

  • 経験が少ない場合、ここまで辿り着けないことも多いです。ただ、社内に知っている人がいると、ここまで辿り着きやすくなることもあります。日頃からネットワーキングをすることが大切です。(Slack group, LinkedIn, イベント, Twitterなど)

  • ビザがある場合は働く権利があることを伝えると良いです。ビザがないせいで通らないこともかなり多いです。ビザがあっても期間が短い場合、通らないこともありました。

3. 2次選考 - カルチャーフィットのチェック

  • 会社とのカルチャーフィットのチェック。

  • 自分の仕事経験とその会社で求められることが似ていることを伝える。

    • e.g. どのようなデザインプロセスでデザインするか、どのようなチームで働いてきたか、どのようなリサーチを行なってきたか、など

  • 仕事、カルチャー、求められるスキルなどをしっかり確認する。

  • 一緒に働く可能性のある人達が面接官として出てくることが多い。

4. 最終選考 - ケース問題とコンピテンシー面接

  • スキルチェック、コンピテンシー面接  - 経営陣、上層部の人との面接

  • サービスデザイナーやリサーチャーの場合、ケース問題が出されることが多いです。その場で出される場合と、1週間ほど準備期間がある場合などがあります。

  • ケース問題のシナリオから急遽変更があったり、うまくいかなかった場合どうするか、は聞かれる可能性が高いです。

  • わからないこと、持っていないスキルについては、どのようにしてカバーするのかを伝える。 チームの誰に聞いてカバーする、ここは詳しくないけど、こんな感じなのではないかと予想した、など。

※企業によっては、スクリーニングインタビューがない場合や、カルチャーフィットとコンピテンシー面接が一緒の場合などがあります。

お給料の交渉について

  • イギリスでは男女でのお給料の差について政府が働きかけたこともあり、一定数以上の社員がいる会社に対しては、男女別の給料差のレポートを出すように義務付けています。そのため、最近は給料差が改善されてきていることも。ただし、不況のせいでお給料が上がりにくくなっている場合もあるため、一応交渉可能なのか聞いてみる方が良いようです。

その後のプロセスについては、書類へのサイン、セキュリティーの観点からの身元調査、Right to Workや住所の確認などでした。試用期間などについても確認しておくと良いと思います。

苦労したところと何を改善したか

1. 書類選考の通過率

私の場合、最初の書類選考がなかなか通らず苦労しました。私の応募社数は以下の通りです。

  • 応募件数 - 116社

  • Informal Interview - 9社

  • 1次面接 - 10社(内2社辞退)

  • 最終面接 - 3社

  • 内定 - 1社、企業のフリーランスネットワークに登録 - 1社

9月〜12月の期間では82社応募したうち、Informal Interview 7社、面接は4社のみ、最終面接2社でした。(書類通過率4.8%…)
最終面接のうち1社はリクルーター経由での面接、もう1社は教授の紹介でした。

そこで、書類の見直しを年末に行いました。
具体的には、CVを無理やり1枚に納めていたものから2枚にして関連する学歴、職歴を全部書くようにし、文字も読みやすいサイズにし、レイアウトもWhite Spaceを増やしました。また、サマリーの部分もネイティブの人に表現を添削してもらいました。
カバーレターもCVと合ったレターヘッドをつけるなどの工夫の上、ネイティブの友人に添削をしてもらい、表現を直しました。

その結果、1月以降は33社応募したうち、Informal Interview 2社、面接は6社、うち2社ほど辞退し、最終面接1社となりました。(書類通過率18.2%!)
結果、フリーランス登録1社(ここはフリーランスだったので書類選考後に面接が1回だけでした)、内定1社を得ることができました。

就活の時期について
12月はホリデーシーズンなので、企業がなかなか採用をしないということも…1月以降は採用の動きが早まったように思えました。また3月と9月が決算期の企業が多いようなので、その前後で採用が増える傾向があるようでした。

2. 面接で意識したこと

書類選考以降の面接の通過率については、求めているスキルと持っているスキルのマッチ、カルチャーフィットを見ているので、スキルが足りない、もしくはスキルがあり過ぎる場合は通らないこともありました。(例えば5年程度の経験を要するシニアポジションに応募してもほぼ通らない)早いペースでの仕事に慣れているか、どのようなデザインプロセスを踏むのか、大手向きなのかスタートアップ向きなのか、チームでの仕事、複数の案件を一度にこなせるか、なども見られていたように思います。

面接準備のための自己分析
面接の前には、自己分析を行い、時系列でキャリア、スキルの棚卸しをし、よくある質問の回答の用意などを行いました。また、自分が次の仕事に何を求めているのかを明確にしました。準備した内容の一例は以下の通りです。

  • 自己紹介(経歴、職種、スキル、経験してきた業界などを伝える)

  • 具体的なエピソード。主に過去のプロジェクトの概要について説明できるように。それぞれ成功例と失敗から学んだ経験(3〜4つほど用意しました)

  • サービスデザインとは何か

  • 企業で活かせる自分の強み、スキル

  • 自分が次のキャリアで得たい経験、スキル(その経験と会社の仕事がマッチしているかどうかが大切)

  • ソフトスキルを使ってどうやって足りない部分を補うか

私の場合、
1. 社会へのインパクトがあるプロジェクトの経験ができること(Public Sector, Inclusive, Accessible and Equitable Designなど)
2. 多様な人と働く経験が得られること、
3. サービスデザイナー、もしくはリサーチャーとして英語を使って働けること
の3つが次のキャリアに求めていることでした。これを実現でき、かつ自分の過去の経験やスキルが活かせる企業を探して応募していました。

面接で主に聞かれたトピック
大学で何を学んだのか、卒論でなぜそのテーマを選んだのか、会社でどんなプロジェクトをやりたいのか、将来どうなりたいのか、なぜキャリアチェンジをしたのか、現職における仕事内容、プロジェクトの具体例、利用したことのあるツール、リサーチ手法、デザインプロセス、どのようなチームで働いていたのかなどについて聞かれました。

面接当日に意識していたこと
面接の際に私が意識していたのは以下4つです。

  • ストーリーテリング - 少し長くなっても相手に具体的に伝わるように例や数字を交えて自分の経験やスキルをストーリーで伝えられるか。簡潔に話すより、会話を意識しつつ、具体的にかつ少し長く話す方が意欲が伝わるようでした。具体例を話すときはSTARテクニックを使うことを意識していました。

  • その会社での仕事をどれぐらいイメージできているか。その仕事内容と自分の経験の共通点をいかに伝えるか。 JDを読み込んで求める人材像を理解することで自分がその会社で働く姿をイメージし、伝えられるようにする。

  • 何についての経験がないのか理解していることを伝える。そして、知らないこと、持っていないスキルについてどうカバーしていくかを伝える。(社内の誰かに聞く、どのように勉強する、似たような経験があるetcなど)

  • 質問を3つほど用意する - 意欲を伝えるためにも質問を用意していました。その職種のよくある1日、最も大切なスキル、今後注力していく分野、その会社の個性、他社との違い、好きなところ、文化などを聞いていました。


ケース面接について
ケース面接では、準備ができる場合は事前にプレゼンを誰かに見てもらい、質問などをしてもらうと良いです。私は何人かにプレゼンを見てもらいフィードバックをもらいました。誤解を生む表現や、想定質問の準備ができたことで自信につながりました。
プレゼンの構成についてお話しすると、面接時間内でのプレゼンの時間が限られており、出題者側はシナリオを頭に入れているので、シナリオの説明は不要です。どのようなタイムラインで、誰を巻き込んで、何をするのか。何故それをするのか、そしてどんな結果が得られることを期待しているのかをしっかり伝える。OutputとOutcomeの違いを理解して説明することがポイントだったと思います。

内定の決め手
英語が第二言語である分、現地の人が持っていない他のスキルが何なのかに焦点をあてました。私の場合、インクルーシブなシステムを作ることを求められるデザインにおけるエスニックマイノリティーとしての視点、他職種の経験などが強みになりました。具体的には以下がが強みになったと思います。

  1. 営業経験、デザイナー職以外の経験

    • ビジネスサイドの経験があるので、ビジネス感覚がわかる、そして、ステークホルダーマネジメントができる点が強みになりました。

  2. スタートアップでの仕事経験

    • スタートアップで働いている場合、複数の職種を一人が担うことがあります。私の場合、営業、リサーチ、PM、UX/UIデザイン、PRなどかなり幅広い仕事をしていたので、他の職種の動きがわかるという点が強みになりました。

  3. 日本語、アジアのバックグラウンド

    • 政府とのデザインやインターナショナルなプロジェクトな場合、多様性のあるチームメンバーでデザインをしていくことが不可欠です。そのようなプロジェクトがある企業においてエスニックマイノリティーであることはポジティブに働くこともあると感じました。

    • フリーランス登録をいただいた企業に関しては、デザインの経験、知識があって日本語ができる人があまりいないということで、登録頂けました。

弱みとなる部分を志望動機に繋げる
幅広い経験、マイノリティのバックグラウンドが強みになる一方で、一つの分野における深い専門性を持っていない点が弱みでもありました。そこで、次のキャリアでは他の経験を積みつつ、一つの分野のスペシャリストになっていくことを目指したいと伝えました。
また、行政とのデザイン経験や、大きなデザインチームでの経験、量的リサーチのが少ないため、その部分についてどうカバーしていくか、似た経験でどのようなものがあるかを伝えました。そして、次のキャリアでそれらの経験を得たいと思っていることを伝えました。

3. ネットワーキングについて

現地の人に聞くと、ほとんどが誰かのリファラルなどで仕事を得ているとのことでした。書類での直接応募は競争率が高く、通りにくかったと思います。私がネットワーキングのために行なったのは以下のことです。

  • LinkedInで卒業生や繋がりの誰かが求人をアップしていることがあるので、投稿者にコンタクトしInformal Interviewに繋げる。

  • デザイナーのSlack Groupに招待してもらう

    • jobチャンネルに非公開の求人がアップされることも多々あります。投稿者にコンタクトすることでInformal Interviewをすることができ、次の選考に繋がりやすくなります。

  • メンタリングを利用する

    • MegaMentor, ADPListなどのメンタリングサイトでミーティングをセットアップし、業界、就活のコツなどを聞きつつ、ネットワーキングをし、LinkedInで繋がっていくと良いです。彼らの会社の求人を紹介してもらえたり、おすすめの会社を教えてもらえたりします。

  • LinkedInで見つけてもらいやすくする

    • リクルーターや、LinkedInのネットワーク経由でメッセージが入ることも。私は求職中であることをポストしてからリクルーターや、今回入ることとなった会社の人からメッセージをもらうことができました。今回入社することとなった会社の人ともInformal Chatをする前に書類選考は通っていたのですが、その人と話したことで、選考に進みやすくなったのではと思います。

    • プロフィールにしっかりキーワードを入れ込む、仕事を探している旨を#OpenToWork #JobSearch などのハッシュタグと共にポストするのも効果的でした。

    • リクルーターへアプローチ、エージェントに登録する

      • 業界内でデザイナーに特化したエージェントなどのリクルーターに連絡し、求人情報を教えてもらっていました。リクルーター経由の方が、一般の応募より競争率は低かったように思えます。私の職種の場合、日系エージェントにはあまりマッチする案件がありませんでしたが、丁寧にご対応いただけましたし、かなり心強かったです。私はCentre Peopleに登録していました。

    • イベント、Twitter経由

      • TwitterではMidやJuniorレベルの求人やLinkedInにない求人が投稿されていることも多々あります。Twitter経由でInformal Interviewを行った会社もありました。私はイベントにはあまり行きませんでしたが、イベント経由で仕事が見つかったという話もよく聞きます。

今後について

次の目標はSkilled Worker VisaもしくはGlobal Talent Visaを得て更にUKやヨーロッパでのキャリアを積むことです。まずはUKでの仕事経験を得ることで、次のステップにも繋がりやすくなると思っています。

記録として残したいために駆け足で書いてしまったため、文章がまとまっておらず、読みづらいところもあるかと思いますが、この体験談が少しでも誰かのお役に立てば幸いです。


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