スーパーボウルにおける顧客コミュニケーション
第56回NFLスーパーボールは、ロサンゼルスのSoFiスタジアムで行われ、シンシナティ・ベンガルズを下してロサンゼルス・ラムズがchampionとなりました。試合開始時、Dwayne Johnsonがサプライズで登場し、彼のコールでスタジアムの7万人が熱狂した映像は、迫力がありました。ハーフタイムではHIP HOPの重鎮が集まり、今の音楽シーンがHIP HOPにけん引されていることがよくわかりました。もちろん試合も、75ヤードのタッチダウンパスがあったり、インターセプト後に登録外選手がフィールドに入って反則取られたり、最後に逆転したりで、面白い試合でした。
Superbowl広告の金額
マーケティングの観点から毎年話題になるのが、TVコマーシャルの金額。毎年上昇を続けており、今年の平均は30秒で650万ドル(7億5千万円くらい)。日本の企業では、トヨタ、日産、楽天が広告を出しています。日本ではスポーツチャンネルの日テレジータスで放映していましたが、放映の中でこれらのCMを観ることはできません。米国国内向けのCMとなるわけですが、投票が行われたり、海外からもYoutube等で見つけれらるため、全世界から注目を集めます。TVの視聴数にネットでの再生回数を加えると、億を超える人が見ることになるため、必ずしも費用対効果が悪いとは言えない、とされています。
今年気になったSuperbowl Ads
昨年はメルカリやIndeedも出していましたが、今年はいないようです。では、今年気になったポイントをみていきます。
・EV化をアピールする自動車メーカー
自動車メーカーのCMでは、BMW、Volvo、GM、Chevrolet、起亜(韓国)は、すべてEV(電気自動車)の映像になっています。起亜のCMはロボ犬が出てくるストーリーでほっこりできます。EVとロボ犬と人の関係が優しく描かれていて、印象に残りました。日産は、Nissan ZとNissan Ariya。AriyaはEVです。トヨタはピックアップトラックのTundra。海外のメーカーがEV推しなのに比べて、日本のメーカーはEVを強く打ち出していません。
でも、日産のCMは映画のような迫力のある映像だし、トヨタはJonesさんたち(出演者の一人は日本でも人気のTommy Lee Jones氏、音楽もTom Jonesの”It’s not unusual.")を集めて、最後はJonesならぬJonas BrothersのNick Jonas氏という落ちまである凝ったもの。なかなか面白かったです。
・メタバースとNFT
前回Miller LiteのメタバースにあるMeta Lite Barの話を書きましたが、Budweiserもメタバースを使い始めています。Budweiserは複数のCMを出していますが、Bud Light NextのCMでは、メタバース内にいるような映像になっています。Budweiserのサイトでは、新進気鋭のミュージシャンのカード発売されました。NFTで購入ができるものです(現在Sold Out)。
Meta Lite Barでは、昨日からCMを流していました。Bar内ではちょっとした仕掛けが17個、クエストになっていたので遊びましたが、正直もうちょっとメタバースのメリットが享受できるかと期待してたのですが、現状はこれが限度なのかな…。
仮想通貨のFTXのCMは、新しいものを否定し続ける人をシニカルに描いていて、自分は新しい挑戦を否定しないようにしようって改めて思いました。それから、どんぴしゃの、メタクエスト2のCMもありましたね。やっぱ買おうかな…。
・お元気そうでなにより
SkechersのCMにWillie Nelson氏(御年88歳!)、T-mobileのCMにDolly Parton氏(御年76歳!)が出演されていて、なんか嬉しくなりました。お元気そうでなによりです。
顧客コミュニケーション
とかく取り上げられがちなのは、CMの広告料ですが、スーパーボウルに広告を出すというのは窓口に過ぎないのだと思っています。広告を出せる企業は、今元気な企業であることはもちろんですし、そこから何かしら顧客とのコミュニケーションを増やしたいと考えています。ですので、広告の傾向について書きましたが、それぞれの企業が、その先で何をしているのかをみる必要があるかと思います。
その意味では、Budweiserがメタバースの世界をCMで見せて、そこから顧客をNFTに引きずり込んだのは、非常に興味深いです。顧客との接点を購買という「点」から、NFTを使った継続的な「関係性」に発展させています。
ビール業界は日本だけでなく世界でも激しい競争の世界。業界トップのAnheuser Busch(Budweiserはそのブランド)の試みは注目です。
動画はAdweekのサイトにまとまっていますので、興味がわいたら、見てみてください。
(了)