10章㉙食は薬なり
私は、文字を書く事や文章を
綴る事が小学生の頃からずっ
と好きなタイプ。
日本の低レベルなオーガニッ
ク市場をもっと広げ、オーガ
ニックなライフスタイルを社
会に広めようとする「INYOU」
(インユー)という会社で、ある
日「ライター募集」の求人広
告を見つけた。
短い期間だったがライターと
してデビューし、いくつかの
記事をシアトルから発信した
モノを掲載させてもらえて、
とっても嬉しかった。
☟
https://macrobiotic-daisuki.jp/koousogenmai-12983.html
その記事をたまたま見たニュ
ーヨークからガン治療の為に
家族でシアトルに引っ越して
きた30代のママSさんから、
そのINYOUの編集長を通じて
突然メールが届いた。
彼女の末期のガン治療の為、
料理作りのサポート依頼が突
然、私にやって来た。
彼女の回復をただただ願いな
がら養生ご飯を作り、痛みを
少しでも和らげられるように
出来る限りの事をした。
彼女は珍しいガンのかなり末
期状態で、驚くほど痩せこけ
ていたが、腹部に腹水が溜ま
っていてただ寝てるのも辛そ
うだった。
3歳の可愛い娘の為に、生き
る希望を強く持つ精神的に
とてもタフなSさんは壮絶な
過去を乗り越えてきた方。
毎日、常に辛い痛みが全身を
襲い、それをしばし忘れさせ
てくれるマッサージやお手当
が、彼女には必要だった。
最初は、私の作る玄米菜食の
養生ご飯を彼女は喜んで食べ
てくれたが、食事療法の効果
が出るにはどうしても時間が
かかるのが現実。
毎日起きてる間はずっと彼女
の肉体に絶え間なく痛みや辛
さが酷くつきまとい、お料理
よりも調理後に私がサービス
で行ったマッサージをより必
要とした。
彼女は絶え間なく苦しめられ
る痛みの辛さに打ちのめされ
て、だんだんメンタルが弱っ
てしまい、自宅で働くご主人
のケアだけでは物足りなかった。
食事療法の結果を急ぎつつも
好きなスナック類や甘みの強
いドライフルーツは止められ
ないが、それが彼女の日々の
歓びの瞬間なら私は何も言え
ない…。
カラダに続く痛みと辛さに耐
えられず、食事療法のサポー
トを数カ月で彼女はすぐに諦
め、私のサポートをほんの短
期間でギブアップしてしまった。
あんなに症状が酷い、末期の
癌患者さんと向き合った経験
は私には貴重でとても結果は
残念だったが、とにかくベス
トを尽くした。
一人の女性同士として互いに
様々な話をし、一時でも心が
通い合ったと感じた矢先も彼
女のギブアップ宣言だったの
で私は「やり残した感」が強
く残り悔しくて仕方なかった。
彼女の回復を最後まで見届け
られず、私のケアの不十分さ・
不甲斐なさに、中途半端な気
持ちがしばらくココロに残った。
彼女の苦悩や辛さをイメージ
するとギュッと切なく、溢れ
る涙が止まらなかった。
そして苦しく不条理な重篤な
病に、今も毎日苦しむ人々が
この世の中にかなり多くいる。
その現実をこのサポートの仕
事の経験を通して「お前はど
うする?」「佳子に何が出来る
のか?」と目の前にビシッと叩
きつけられたように感じた。
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