![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163021958/rectangle_large_type_2_f9a21a6ec7bcaf39c3802e73777388a6.jpg?width=1200)
マラソン大会
11月、我が街ではマラソン大会がある。
今年で34回目だそうだ。
以前 住んでいた場所では、マラソン大会を見ることも気にすることもなく生活していたが、父の家で生活するようになってからマラソン大会が11月の大きなイベントとなった。
というのも、交通規制で車は全く動けなくなるからだ。
20年前に引っ越してきた時は、前日までに買い物を全て終わらせ、マラソン大会のある日は家の中にこもり、ぞろぞろ走る走者たちを窓から眺めて過ごしていた。
10年ほど前に、
「沿道で応援しようよ」
父を誘い、外に出て見るようになった。
すると、近所の人たちもぞろぞろと出て来て一緒に応援をするようになった。
ご近所さんといっても、回覧板を届ける時以外はあまり接触がない。
走者が来るまでの間、笑顔で挨拶をして色々なことを話す。
「最近、目が悪くなってね、どこの眼科に行ったら良いと思う?」
「孫も就職したのよ!」
「ええっー!つい最近までランドセル背負っていたと思っていたのに!」
寒空の下でこんな会話で心を温めて、走者を待つ。
一年に一度、ご近所さんとの交流会のようだ。
私たちが住む場所は、スタートから4km地点。
【4km】の看板を持つおじちゃんに見覚えがあった。声をかけると、なんと、我が家に来ていた大工さんの内の一人だった!
ご近所さんとボランティアの大工さんと話が弾んでいると、時計車がやって来た。
ということは、先頭の選手たちがやってくる。
◇◆
やはりトップの選手たちは速い。
「がんばって〜!」
拍手と声援を送ると、手を振ってくれる選手もいる。
招待選手の『猫ひろし』さんも第2グループ集団にいた。
「猫ちゃ〜ん!がんばって〜!」
と声をかけると
「にゃー!」
と走りながらも答えてくれる。素晴らしい芸人魂だ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163024187/picture_pc_d6b239d9f52e0e3e98db018a7e69e1e0.jpg?width=1200)
その後、2000人の走者たちがぞろぞろと走っていく。
たくさんの拍手と声援を送って、手が痛くなった。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163024509/picture_pc_4be0333a46e70a3dee10bc39faed4e62.jpg?width=1200)
最後に救護車が通ると、もう走者はいない。
ご近所さんと
「また来年ね〜。」
ご挨拶していたら、ボランティアのおじちゃんが
「次、10kmの走者が来ますよ」
と言うので、冷たい風の中、再び待つことにした。
◆◇◆
ところでこのマラソン大会、全国的にも有名らしい。と言うのも、制限時間が4時間。
マラソンが趣味の友人に
「参加してみたら?」
と話したところ、
「無理だよ!厳しすぎるよ!」
即答されたことがあった。
完走することが難しいこの大会なのに、挑戦者は多いらしい。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/163025070/picture_pc_b2e2d77a31a721d25e4c328c93648a4e.jpg?width=1200)
『制限時間4H 自己への挑戦状!』
走者を見ていたら、4km地点ですでに汗をかいていて、とても苦しそうな人もいた。
〈人はなぜ走るのか〉
私も40歳までは朝のジョギングをしていた。「なぜ走るのか」と問われると、あの頃は生きることがとても苦しくて、もっと苦しくなりたくて走っていた。なのに走ると全てを忘れて汗をかき、スッキリしていた。
それぞれの走者がそれぞれの想いを抱えて走っている。我が街でスッキリしてくれたのなら、うれしいことだ。
また来年、走者をご近所さんたちと応援しようと思う。
★☆★
『スタートの雨が上がりランナーの熱気が上がり虹と化してく』