わたしたちはまだ…16だから♪
駅を降りて自宅へ向かうなだらかな坂には、40年近く続く洋菓子屋さんがあって、いつもやわらかな甘い香りで辺りをつつんでいる。
その日は雨で、でも傘をさすほどではなくて、わたしは折りたたみ傘を出さぬまま坂道をあるいていた。
ふと、耳にぽつぽつと音がひびいて雨がやんだ。
ふりむくと背の高いやせた女の人が、心配そうにわたしに傘をかたむけていた。
「あめですよ」
「ぬれてしまいますよ。おちかくですか?」
ちょっと驚いてだまっているわたしに、傘はないの?と話してくる。
見ると傘には駅