【読んでみたシリーズ#002】世界を変えた”箱”とは?『コンテナ物語』を読んでみた
こんにちは。
LOCAL LOGITEXの佐藤慶樹(けいき)です。
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最近、このようなご相談をいただくようになりました。
「寸法はこれくらいで、これくらいの重さの商品なんだけど、送料を安くする方法はないかなー?」
そのとき、私はいつも心の中でこう思うのです。
「商品開発の段階で相談してーーー!(ToT)」
国内のEC物流であれば、その製品がヤマト運輸の”ネコポス”や日本郵便の”ゆうパケット”で運べるサイズかどうかが送料を左右するポイントになります。
この場合、例えば製品のデザインや使いやすさを最優先にするか、送料を最優先にするかはトレードオフの関係にあるといえます。
読者の皆さんもその製品の戦略戦術によって判断されているのではないでしょうか。
これを海上輸送に当てはめると、「送りたい製品が海上コンテナ1本に収まるか」、「海上コンテナに効率よく積載できているか」がコストを左右するポイントになります。
今回は”20世紀最大の発明のひとつ”と称される海上コンテナについて、『コンテナ物語』という本を通じてご紹介します。
1.コンテナ物語
私が海貨業者(乙仲)として港湾で活動していたことは以前のブログにも書きましたが、当時は毎日のようにコンテナに触れていたので、この本に出てくる内容は非常に興味深いものでした。
この無機質な箱の登場によって輸送費は大幅に削減され、世界の経済を変えました。
コンテナ以前の輸送費が高かった時代は、消費地に近い場所に工場を構え製造販売することがメーカーの強みでしたが、コンテナが普及した後は地球の裏側にモノを届けることが普通になり、企業の競争力が立地条件に左右されにくくなりました。
例えば、中国が世界の工場になったことはコンテナ以前は想像もできないことだったのです。
本書の秀逸なところは、主人公 マルコム・マクリーンの成功のポイントを「海運業とは船を運航することではなく貨物を運ぶ作業と見抜いたこと」とまとめているところです。
どの業界のマーケティングにも通じる名言だと思います。
コンテナ自体はマクリーンが登場する以前から存在していましたが、それを活用する思考法や標準化・システム化して全世界に広めたビジネスセンスが素晴らしいと感じました。
2.海上コンテナの解説
主に利用される海上コンテナの種類に20フィート(約6m)と40フィート(約12m)の2種類があり、40フィートには高さ8.6フィートの通常タイプと高さ9.6フィートのハイキューブタイプがあります。
そのほかにも冷凍貨物を取り扱うリーファーコンテナや重量物が積みやすいフラットラックコンテナなど、用途に応じて幅広いラインナップから最適なコンテナを選択することができます。
日本発のグローバル船社であるオーシャンネットワークエクスプレスジャパン(ONEラインジャパン)のウェブサイトにコンテナの寸法や最大積載量の詳細が掲載されていますので、これからコンテナを活用するという方はぜひ参考にしてみてください。
https://jp.one-line.com/ja/standard-page/container-specifications
3.ビル・ゲイツ氏、ひろゆき氏、岡田斗司夫氏が絶賛
ビル・ゲイツ氏が本書を推薦する際、次のような言葉を残しています。
二〇世紀後半、あるイノベーションが誕生し、全世界でビジネスのやり方を変えた。ソフトウェア産業の話ではない。それが起きたのは、海運業だ。
コンテナは、この夏私が読んだ最高におもしろい本『コンテナ物語』の主役を務めている。
コンテナが世界を変えていく物語はじつに魅力的で、それだけでもこの本を読む十分な理由になる。そのうえこの本は、それと気づかないうちに、事業経営やイノベーションの役割についての固定観念に活を入れてくれるのである。
また、ひろゆき氏はダイヤモンドオンラインの記事で、「人生を変えた本・ベスト3」の第2位に本書を挙げています。
岡田斗司夫さんもYouTubeで紹介しています。コンテナのイノベーションをうまく説明しているので、お時間があればぜひ見てみてください!
4.フィジカルインターネットとの親和性
以前のフィジカルインターネットのブログで「パレチゼーションやコンテナを活用したユニットロードシステムの標準化はフィジカルインターネットを成す重要なツールであり、いま話題の”物流の2024年問題”の解決策」と解説させて頂きました。
コンテナは20世紀最大の物流革命でありながら、今後起こる”21世紀の物流革命”の重要な要素であると言えます。
コンテナがなぜここまでイノベーションを起こしたか、その要因として私は次の3つを挙げます。
①シンプルであること
②標準化
③システム化
シンプルな”箱”ゆえに、ユーザーにとって自由度の高い使い方ができる点。更には船に限らずトレーラーや鉄道でも運べる点が、標準化に繋がったと思います。
現在では、世界中どの港に行ってもほぼ同じ能力・規格のクレーンが設置されていて、ほぼ同じ荷役方法が採られていることは、まさに革命といって過言ではないでしょう。
5.最後に
さて、今回は私がおすすめする書籍『コンテナ物語』をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
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