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対偶(→と∨の関係)
これまでの内容については、
電流が流れるか流れないか学(電流学)|カピ哲!|note
をご覧ください。
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命題論理を回路図から考える利点は、→と∨の関係が見えやすくなることかもしれない。下の図が示しているように、A→Bが¬A∨Bであることは一目瞭然である。もっとも、そうなるようにA→Bが設定されているからなのだが。
図13 A→B≡¬A∨B
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A→Bの対偶¬B→¬Aも同様に、B∨¬A(つまり¬A∨B)であることが一目瞭然となる。
図14 (¬B→¬A)≡B∨¬A
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これで(A→B)≡(¬B→¬A)≡(¬A∨B)であることが証明された。回路図なしで説明すると下のようになる。
¬B→¬A
¬(¬B)∨¬A
B∨¬A
¬A∨B
A→B
この証明は上から下の方向のみでなく、下から上の方向でも有効である。
前原昭二著『記号論理入門』(日本評論社、新装版、2005年)では背理法を用いた少々回りくどい証明がなされている。
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・・・もっとも、矛盾について説明する一つのサンプルとして引き合いに出されているので、意図的なものだとも考えられるが。あるいは(A∨B)≡(B∨A)や¬(¬A)≡Aという定理(何を公理とし何を定理とするかは公理系の設定次第であるが)を用いないで証明した場合はこうならざるをえないか。
再び念を押しておくが、(A→B)≡(¬B→¬A)が命題論理において証明されているとしても、私たちの日常的真偽判断においてA(命題)ならばB(命題)が「正しければ」Bでない(¬B)ならばAでない(¬A)も「正しい」のかどうかが証明されたことにはならない。
これは論理学によって証明されることではなく、具体的事実の積み重ねによって検証されることなのである。あるいは集合論のコンテクストにおいては包含関係という”事実関係”により示されるものであろう。
繰り返すが論理学における命題論理は事実認識における真偽判断を示す論理ではなく、あくまで論理と(回路における電流の)on/offあるいは1か0などの記号との対応関係を示すものなのである。