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“まさか”のお正月

 本来ならば前回の記事の続きで、『可愛くてごめん』『ひろがるスカイ!プリキュア ~Hero Girls~』について熱弁を振るう予定だったが、いつの間にか2023年が遠い彼方へ追いやられてしまい、戦意を喪失してしまったので、今回はギアチェンジの意を込めてお正月の話をしていきたい。

 幼き頃からお正月と言えばおせち・お年玉・ぐうたらの三点セットであり、三が日はインフィニティ・ダラダラが可能な天上の聖域だった。ところが昨年、お正月に“まさかの事態”が発生し、人生で初めてダラダラを一切禁じられた三が日に直面する事態に陥った。

 まさかのタイミングで新型コロナに感染してしまったのだ。

 幸いにも重症化はしなかったものの、聖域直撃の精神的ダメージは大きく、当時食べる予定だったすき焼きや寿司等のご馳走が全てキャンセルになったことの悔しさは今でも忘れない。食べ物への怨念ほど怖いものはない。

 なので、今年はそういったトラブルとは無縁でいたいと心から誓い、行動にも細心の注意を払った。「あたち」の主要感染源と思われる室内遊び場への立ち入りを完全に自粛し、好調を維持したまま幕が開けた2024年。小生は親戚への挨拶回りを終え、初詣に行くため仙台市内の某神社へ向かった。

 昨年は世界中で争い事が起こり、世の中も暗いニュースが多かったので、今年こそは幸福な社会になってほしい…との願いを込めて参拝し、心を無にして焚き火で暖を取っていた。すると、どこかで聞いたことのある“嫌な音”が一斉に境内に鳴り響いていく。

 えっ?今日は元日だよ?1月1日だよ?

 緊急地震速報の音だけは二度と聞きたくないと思っていたのに、何故今鳴るのだろうか。そんなに聖域を侵したいか。すぐさまスマホの画面に目を向けると「能登半島沖で地震発生。強い揺れに備えて下さい」との文字が映し出され、血の気が引いていった。

 冷静になって考えてみよう。ここは東北だ。能登半島といえばかなり離れた場所に位置し、ここが震源で東北にも緊急地震速報が流れるということは、とてつもなく大きな地震なのではないか…嫌な予感は的中してしまい、能登地方で震度7を記録し、仙台市でも震度3の揺れを観測した。

 科学的根拠は全くないものの、「年明けから大地震なんて起こるわけないだろう」と信じていた。なぜならば三が日は聖域なのだから。起こってほしくないという願望が無意識下で強く働いていたのかもしれないが、人間が紡ぎ出す文化に一切忖度せず、突如として牙を向ける自然災害に私たちはどう対峙していけばよいのだろう。

 その日の夕食はすき焼きだった。2年越しの悲願が叶ったものの、テレビに映し出されるのは息苦しい映像ばかりで、数十分おきに緊急地震速報のチャイムが団欒を遮断していく。せっかくのご馳走もあまり美味しく感じず、酒を飲んでも悪酔いしてしまいそうで、21時前には布団の中に入っていた。

 なぜお正月?自然よ、その答えを早く教えて。

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