半導体DCブレーカー
論文タイトル
Paralleled SiC MOSFETs Circuit Breaker With a SiC MPS Diode for Avalanche Voltage Clamping
書誌情報
IEEE Open Journal of Power Electronics, 2024, Vol. 5, pp. 392-401
著者氏名・所属
Taro Takamori, Keiji Wada, Wataru Saito, Shin-ichi Nishizawa
Tokyo Metropolitan University, Kyushu University
論文概要
本論文では、SiC MOSFETsを並列接続し、SiC MPSダイオードを用いたアバランシェ電圧クランプを実現する半導体DCブレーカを提案した。機械式ブレーカの遅い遮断速度や接触劣化といった問題を解決するため、半導体DCブレーカが提案されています。並列接続されたSiC MOSFETsは、オン抵抗の低減とアバランシェ耐量を実現するが、個々のデバイスのブレークダウン電圧の違いにより電流バランスの問題が生じる。これを解決するため、SiC MPSダイオードを使用して電圧をクランプし、遮断期間中に電流がダイオードを通過することでMOSFETの負担を軽減する。実験により、提案された半導体DCブレーカが400V、50AのDC系統での効果的な性能を明らかにした。
研究対象
要素技術(パワーデバイス、ゲート駆動回路、センシング)
論文の主張点
SiC MOSFETsとSiC MPSダイオードを組み合わせた半導体DCブレーカが、遮断時のエネルギー消費を効果的に実現し、遮断機の信頼性と効率を向上させることを実証した。
背景
電気自動車や航空機アプリケーション、低電圧DC配電システムにおける高性能DC回路ブレーカの必要性が増加している。従来の機械式回路ブレーカは遮断速度が遅く、接触劣化の問題があるため、半導体DCブレーカブレーカが注目されている。
研究の手法
1.2kVのSiC MOSFETsを使用して、ブレークダウン電圧の違いによる電流バランスの問題を実験的に検証。
SiC MPSダイオードをクランピ素子として使用し、十分なアバランシェ耐量があることをを検証。
400V、50AのDC配電システムでの実験を実施し、半導体DCブレーカの性能を評価。
結論
提案されたSiC MOSFETsとSiC MPSダイオードを使用した半導体DCブレーカは、効果的なアバランシェ電圧クランプを提供し、DC配電システムの信頼性と効率を向上が可能となる。また、SiC MPSダイオードを使用することで、MOV(バリスタ)に比べて大幅に高いエネルギー消費密度を実現し、半導体DCブレーカの小型化が可能であることを示した。
論文の位置づけ
本論文は、半導体DCブレーカの設計と実装における重要な進展を示しており、特に高効率でコンパクトなDC配電システムの実現に寄与する。