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ネパール12日目:

11月18日(月)
いつも通り朝食
今日は11時の授業に出る前の休み時間にSujan Dangolさんとランチの予定がありました。学校の近くのレストランで食べようとお店を回りましたが、どこも満員で最終的に行き着いたお店には他の教授たちもいらっしゃって、ネパールのアーティストやアートコミュニティーの話を伺うのにとても好都合でした。カトマンズの芸大の先生方が気にかけるアーティストやアートスペースのリストができました!

ライターがなくならないように工夫している。

さて、今日の授業ではそれぞれの進捗状況のチェック。それぞれに社会課題を書き出し、頭の中を整理しているようでした。私が出した課題や制作手法はあまりやったことがなさそうでしたが、とても興味は持っていただけていることは実感していました。絵画とか彫刻ではなくて、アイデアの提案書とアイデア・スケッチやスライド、動画などで提出してくださいと伝えています。なので、提案書は文章、アイデア・スケッチなどは絵や写真、とロジック思考や抽象思考、抽象的な感性を駆使する必要があります。また社会課題の提案とそれに対する実際的なアプローチとなりますので、アートとデザインの両方をこなす必要があります。

たぶん、限られた時間の中で、今日の時間が一番辛い時間だったかもしれません。みんなかなり文章で整理していたので、ちょっと煮詰まった感がありました。なので、そろそろ部屋にとどまらずに外へ出たり、もっとキーワードを視覚的なものに置き換えたり、スケッチを描き始めてはどうですか?と提案しました。同時にVisual Thinkingというアプローチに切り替えたら、見えてくるものもあるのでは?そういったビジュアルを使ったスケッチや図表の方がプレゼンの時に理解してもらいやすいですよと提案もしておきました。

また、ある程度見て周り落ち着いた頃に、Sanjeep教授に屋上へ行ってみませんかと提案し、希望者で屋上へ行くことにしました。カトマンズはカトマンズ・バレーと呼ばれる谷間に立地しているとのことで、見晴らしのいい屋上などに行けば、山々を背景に高低差の異なる街の様子が目の前に広がります。色とりどりの家屋の壁面や屋上に置かれた黒や緑の水タンク、生活感漂うカラフルな洗濯物などが見られます。たくさんの人たちが行き交う雑踏とは異なり、個人個人のプライヴェートな生活を垣間見られました。

大学の校舎の屋上からの眺め。

授業後はショートフィルムの上映があるとのことで、上の階のホールへ行きましたが、詳細情報はいただいていなかったので、誰が主催かどんなフィルムなのか分からずに、誘われるがままに伺ってみました。

到着してみるとしばらくテクニカル・トラブルの解決中。その後は上映も始まり、ちょっと不可思議な鶏に関するショート・ドキュメンタリーを見させていただきました。上映後は、フィルム・フェスティヴァルの宣伝もありました。そこで分かったのが、このフェスティヴァルは、私がカトマンズに到着直後に見つけたフィルム・フェスティヴァルだということ。気になっていたので、ここでプログラムのことやチケットの情報を聞くことができてラッキーでした。初日の上映をいくつか見に行く予定でいましたので。

その後、ホテルに戻り、Sujan Dangol教授とのランチで一緒になったKirti Man Shakya教授がリノヴェーションやプロモーションで関わっているというGolden Templeに行ってみることにしました。ちょうどGolden Templeが見えたあたりで、賑やかな音楽や色とりどりの伝統衣装の人たちがパレードをしている様子。近くにいた人に聞いてみると、90歳のおばあさんの誕生日のお祝いパレードで、地域の人たち総出で街を練り歩いているとのこと。この時点で120人くらいのパレードでしたが、最終的、ディナーの時間には700~900人くらいが集まって、食事や余興を楽しむとのことでした。そんな中、顔見知りの子が私に気付きました!なんと私のクラスにいた学生が伝統衣装を着てパレードに参加していたのです!これは素晴らしい!!しかもなんか楽しそう!Golden Templeの中に入っていったので、私も何かあるなと思い、入場料をん払ってい入っていくことに。彼女に追いつき、少し話を聞いたり、写真を撮影したりしました!ちなみにGolden Templeも煌びやかな装飾でとても綺麗でした!ちょっと見入っていたら、パレードはいつの間にはどこか遠くへ行ってしまいました。

たまたま遭遇した90歳の地域のおばあちゃんの祝賀パレード

その後、夕方5時30分ごろからはエベレスト山脈の麓の地域に行くためのJeep予約のため、先日、お会いしたホストと合流しました。ただ、当初2週間の滞在とボランティアが可能な人を受け入れるとのことでしたが、今日の午後、カトマンズでどうしても顔を出したい展覧会があることが分かったので、スケジュールや滞在内容の交渉や旅程の確認などをさせていただきました。と同時にお互いの自己紹介をして、何がどのように可能かなどを検討する必要がありました。

会話を進めていって、本当に衝撃だったのは、ホストの方はカトマンズで生まれ16歳の時には終戦直後のボスニアのインターナショナル・スクールで学び、その後、インターナショナル・ジャスティスという戦争などの被害者を法的に保護する活動を専門にスイスのジュネーブで活躍されてきた20代半ばの女性だということが分かりました。初めて会ったのはつい1週間前、しかも標高2,700mのところで栽培されたりんごやその他の特産品をマルシェで販売していたので、まさかそんな活動もされているとは想定外で、本当に衝撃でした。彼女の専門は90年代中盤から2000年代初頭のマオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)と王政ネパール政府軍の内戦で性的被害者になった女性達とのことでした。遠隔地でこういった事件が多くあったとのことでしたが、彼女の両親の故郷でも起こり、同じ集落のの人の輪の中で起こってしまったとても悲しい事件を取り扱っているとのことでした。そういった案件の書類を読んだり、聞き取りに行ったりというお仕事をされてきたとのことで、ただ事には聞こえず、私もとても心痛を感じました。

そんな生活を潜り抜けてきたので、ある時10日間の瞑想プログラムに参加するために修道院へ行ったとのことでしたが、誰とも会話をせずに瞑想を深める日々だったとのことで、プログラムが終わった頃には、話をしようとした時には思うように話せなかったとのことでした。

その後、彼女のご家族の生活や活動などもお聞きすることができ、それぞれがネパールや国際的にとても重要な役割をされていることが分かりました。おじいさんは地域の寺院の設計や建立などを手掛け、お父さんはその地域の修道院や寺院などの代表理事のような役割で、今年、タイからブッダの遺骨返納の儀式を受け持ったとのことでした。信者を通して世界中に広まっていったと思われるブッダの遺骨のネパールへの返納活動が、最近ではしばしばあるようで重要な寺院がその返納先になっているとのことでした。

また、親戚には先日ご紹介したThakpa Galleryの共同オーナーもいらっしゃるとのことで、国内外で伝統、文化、宗教、農業、人権、医療など、人間の生活の根幹的分野を担うご家族でした。

強烈すぎて、自分の存在やこれまでの経験が本当に小さなものに感じてしまいましたが、こういった方にお会いできたことは大きな学びでした!


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