働き方に関する本を書いています。2021年3月に出版予定です。

ここでは、その内容を順次ご紹介して行きます。

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職場の環境とは、安心して働ける職場かどうかということです。一人ひとりの社員が、自分はここにいて良いのだ、自由に考えて、発言して良いのだと思えるかどうかということです。

●上司の役割

 従来の上司の役割は、部下を指導・教育することでした。仕事のやり方を教えるという先生の役割が求められていました。しかし、現在の世の中は、価値観が多様化し、どのような商品がよく売れるか誰も分かりませんん。従って、年長の上司が、自分の経験を基に部下を指導しようとしても、それができなくなって来ているのです。経験と根性で仕事をする時代は去ってしまったのです。

 現在の上司に求められているのは何でしょうか? それは、部下の話をよく聴いてあげることだと私は思います。ヤフーで1 on 1ミーティングを導入されて効果を上げておられる本間浩輔専務は、『ヤフーの1 on 1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社)の中で、ヤフーでは毎週1回、行っている1 on 1ミーティングについて紹介されています。

 従来も、上司と部下の面談はどこの会社でもありました。しかし、これは部下が目標をどの程度達成したかということを判断し、部下を評価するためのもので、半年に1回程度のものでした。1 on 1ミーティングは、部下の成長を促すために行うもので、話題は部下が決めます。例えば、部内のコミュニケーションを活性化したがどうしたらいいかとか、自分の今後のキャリア計画についてなど、何でも良いのです。

 当初は、忙しいのにそんな時間は取れないと反対していた人も多くいたそうですが、今では社内の良い習慣として定着しています。普段から上司と部下が率直に話ができる雰囲気を作っておけば、大事なことも相談しやすくなるのです。社内の問題の多くは人間関係やコミュニケーション不足と言われていますが、そのような問題の発生を防止できるのです。

 私は部下の経験も上司の経験もあります。部下の立場に立つと、上司が何故自分の話を聴いてくれないのかと残念に思う場面がありました。一方上司としては、あのときもっとじっくりと話を聴いてあげていたらと後悔する場面も思い出されます。これからの上司は、仕事の技能もさることながら、人間として尊敬できるということがより一層求められるのです。

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