満足度の高い会社(未来工業)
働き方に関する本を書いています(2021年3月出版予定)。ここでは、順次その内容を紹介して行きます。
満足度の高い会社
仕事のやりがい、喜びは、自分で見出すのが理想です。もし、会社がそれを後押ししてくれるのであれば、やる気がなお高まるというものです。ここでは、社員満足度の高い会社をいくつかご紹介し、その秘密に迫りたいと思います。
●未来工業株式会社
電気・ガス設備資材の製造・販売を行なっている未来工業株式会社(岐阜県)の創業者である故山田昭男さんは、未来工業を紹介する多くの本を書かれています。その中の1冊である『日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”』(ぱる出版)で、「社員を幸せにするから社員は頑張ってくれる、会社は儲かる」と強調しておられます。
未来工業では、徹底した節電や、残業禁止などにより経費削減を行っていますが、それで得られた利益は社員に“餅”として還元しているそうです。餅がモチベーションになるので、さらに各自が工夫して努力するようになるのですね。会社と社員との間に、信頼感に基づく意思疎通の好循環が存在しているように感じます。
未来工業の社員の満足度が高い理由は、以下のように数々あります。
■「ホウレンソウ」(報告、連絡、相談)禁止
多くの会社で、最も大事だと言われている「ホウレンソウ」が禁止されています。社員は自分で考えて行動するのです。その方が本人の満足度が高くなるからです。全国の営業所も、社員が勝手に作ったという信じられない話もあるようです。
■失敗し放題
失敗は100回してもいい。ただし、同じ失敗を2度繰り返したらだめという考え方です。今の世の中は失敗に対しての寛容さが失われているように感じます。学校でも職場でも減点主義です。そのため、短期的に成功を繰り返さないといけないという思いにとらわれ、それがストレスになっている人が多いように見えます。
しかし未来工業では、失敗し放題です。このことによって、社員は安心して色々なことに挑戦できるという加点主義が取られているのです。ただし、2回同じ失敗をすると、それは本人の責任とみなされ、降格になるという決まりがあるのです。肝心な場面ではけじめをつけるということですね。
■休日は年間140日、年末年始は20連休
未来工業は非常に休みが多い会社です。余りに頻繁に休みを取ることでお客さんに怒られたこともありました。それでも何十年も継続し、結果的にお客さんには逃げられなかったとのことです。
最新の状況をjobQ(https://job-q.me/articles/1638 2020年12月14日更新)で確認したところ、5月の連休は10日程度、夏季10日程度、年末年始20日程度、年間休日135日と、本の記載とほぼ同じです。
■どんな提案でも、提出したらそれだけで500円支給される提案制度
提案を出すだけで500円支給されるというのは驚きです。さらに、内容が良ければ最高3万円支給されるとのことです。この表彰制度には、多数提案賞もあり、年間に20件以上申請すれば5000円、200件以上申請すれば15万円が追加支給されるというおまけまでついてきます。
このように未来工業の制度を見ていると、社員に大きな自由と権限を与えていることが分かります。自由と権限を与えられると、却って無責任な行動もできない訳で、社員は十分に考え抜いた結果行動するのでしょう。このような環境が、自立・自律した社員を作り、やる気と工夫につながり、結果として、安定した業績を上げているのです。
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