50歳で100mile走る - SRS130 三陸の海と山を巡る三日間の旅 -
東日本大震災から復興した三陸リアス海岸を、泊まりながら走る「ステージレース三陸(SRS)」。ロードとトレイル、そしてオリエンテーリングが融合した新しい形のランニングレースです。100mileでは無いですが、今年2024年は5月24日から26日までの3日間、宮古から陸前高田まで130キロのルートを巡りました(初日の様子は地元TVニュースで放送されました)。将来的には、南三陸まで311キロを6日間かけて走るレースとなる予定です。今回は、順位もタイムも争わない、ゆっくりのんびりのラン旅を楽しみました。
Day1 宮古‐山田 60km
朝5時半、夜明けの浄土ヶ浜を、三陸鉄道社長の「出発進行!」を号砲にスタート。宮古駅までのプロローグランから始まります。
宮古駅からは三陸鉄道で津軽石駅まで移動。ステージレース三陸は、危険なロードを避け、鉄道やBRT(Bus Rapid Transit)を利用し、「おいしいところ」を走って味わえるのが魅力です。
津軽石駅から、重茂半島の月山、本州最東端の魹ヶ埼へ。この先、3日目のゴールまで、ずっと左に海を見ながら走ることになります。
三陸の植生は独特です。ブナ、アカマツ、ナラ、クヌギ、モミ、場所によっては竹林まで。関東甲信越では見られない複雑多様な森の中、緩やかな起伏の快適なトレイルを気持ちよく走ります。
そして時折、海岸に降りる道となります。人工物が少ない、ほぼ手つかずの入り江がいくつも現れます。
豊かな自然ゆえに、鹿もいれば熊も出ます(熊の糞は多数見られました)。ランナーは熊鈴を鳴らしながら走ります。
SRSは、オリエンテーリング方式ですので、CPを探しながら進みます。ただし、安全上の理由で推奨ルートへ誘導するマーキングもあります。基本的には「藪漕ぎ」をしなければならないようなルートはありません。
リアス式海岸沿いを走る為、ランナーは、山を登っては海岸へ降り、を繰り返します。決してラクでは無いですが、いつも左側には海が広がり、涼しい潮風に吹かれながら走る爽快感を楽しめます。
ルート上には部落が点在し、津波被害の痕跡も多数あります。津波到達地点を示すいくつもの石碑は、信じられないほどの高い津波が襲ってきたことを、後世に伝えています。
トレイルを降りて、今日のゴール地点の山田まで、海岸のロードを進みます。ゆっくり景色を楽しみながらの60キロ、疲れを感じずに走り切れました。
Day1 ゴールでは、地元小学生の応援と、べアレンビールが待っていました。選手はそれぞれ地元の旅館に分宿して、初日を終えました。
Day2 山田-釜石 40km
二日目は急騰でスタート、標高610メートルの鯨山山頂を目指します。前日60キロ走った選手達を、キツイ登りが待ち構えていましたが、山頂から三陸海岸を望む絶景に、疲れも吹き飛びました。
山頂から一気に波板海岸へ駆け下り、三鉄を越えた先は、さっきまで山頂で見ていた青い海。この変化に富んだルートを辿れるのが、SRSの魅力です。
波板海岸からひと山越えて、「ひょっこりひょうたん島」がある大槌へ。この先は陸前高田まで、被災の痕跡を数多く巡ります。
またひと山越えて、鵜住居へ。かつて住宅が立ち並んでいた草原の向こうに、ラグビー場が見えてきました。
ラグビー場の裏山を越えたら、松林と砂浜。今日のゴールは鵜住居駅。まずはべアレンビール(自費)。
そして釜石駅前で懇親会。超贅沢な海鮮てんこ盛りをアテに、飲みきれない量のお酒を、記憶無くすまで飲みました。
Day3 大船渡-陸前高田 30km
二日酔いのまま、釜石から綾里駅まで三鉄で移動。綾里峠の快適トレイルを越えたら大船渡。セメント工場の真ん中を抜け、津波の傷跡をめぐって大船渡駅へ。
大船渡駅からはBRTで移動。バス待ちの間、エイドでホタテの貝焼きを頂きます。
碁石海岸口駅でBRTを降り、陸前高田に入ります。三陸の中では、比較的平坦で、水田も広がっていますが、使われていない広い土地にポツンと立つ石碑が印象的でした。
水田から防潮堤を越えて海岸へ。
こんなプライベートビーチがいくつも。今度は夏に来ようかな。
延々と続く防潮堤、ここは瞑想ランの時間。
4階まで津波に飲まれた市営住宅。
かつて4万本のアカマツ林があった「高田松原」を、50年かけて復活させると、地元の方は語っていました。
130キロのレースはここで終了。写真で伝えきれない絶景が最後まで続く、素晴らしいルートでした。
奇跡の一本松に見送られ、陸前高田を後にしました。三日前にデポしておいた車で、三陸道と常磐道を乗り継いで、6時間ほどで帰京。首都圏からでも意外に近い、三陸の極上トレイルを、是非、たくさんのランナーに走って欲しいです。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。
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