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NO37.「あるくみる・かんがえる」訪日外国人の2重価格について

 昨今、訪日外国人の「オーバーツーリズム」や2重価格についての話題がよく出てくる。

 まず、ありがたくも日本を選んで来てくださったお客様に対し「オーバー」などという言葉で表すことはあまりいただけない。

 以前のブログでも書いたが、「オーバー」ではなく、特定のところに集中する「アンバランス」がより適切な表現でその対処に知恵を絞っていくべきだと感じる。
 
 さて、外国人旅行者の取扱いは言語対応など手間もかかるので、施設入場料やレストランの価格などについて、外国人はより高い2重価格にすべしという声があり、検討中や既に実施しているところもあるという。

 この話を聞いて私は40年以上の自由化されたばかりの中国観光を思い出した。

 1978年の日中平和条約の締結により日本人の中国観光旅行が始まったが、その年以降に何度も団体旅行の添乗員として訪中した。
 人民服を着た人々が自転車で街中を走り回っている風景は今でも忘れることはないが、この時、我々日本人の列車代や入場料などが中国人価格より数倍高い2重価格が適用されていることに現地で気付いた。価格は数倍高いものだったように思う。

1980年頃の上海

 このことについて中国国営旅行社の担当者に早速クレームを言ったが、
 彼らの回答は「価格が同じでは差別になってしまいますよ」だった。受け入れるしかなかったが、嫌な後味が残ったことを覚えている。
 
 もし今日日本に来ているインバウンド客がレストランで

 「外国人2,000円、日本人1,000円」

 という表記を見たらどのように感じるのだろうか?

 外国語が話せるスタッフの配備などコストがかかるという理屈を聞いても尚、いい印象は持たないのではないかと案じる。

 さて、先日高尾山に登った。年に数回は行っている。
 久しぶりに「稲荷山コース」という道を歩いたが登山道の一部に木道が敷かれ大変歩きやすくなっていた。この整備は自治体が予算を使って行なったものと思われるが、結構費用がかかっている感じだった。山は入場料を取っていないので、その原資は地元の住民税などではないか。

 訪日外国人はそのような税は払っていないので、負担なしで高尾山の観光を楽しめるということになり、ちょっと考えてしまった。
 やはりなにがしらの負担をお願いしてもいいのではないだろうかと。

木道が敷かれた高尾山「稲荷山ルート」

 ところで先日テレビやネットで外国人も来るある渋谷の海鮮レストランとその価格のことが紹介されていた。

 海鮮バイキング(ソフトドリンク飲み放題付で、価格はひとり7,678円(平日、男性、税込) 日本人および国内在住者はここから1,100円割引

 これも2重価格であることに違いないかもしれない。
 が、案内方法としてはスマートなやり方と思われ、「外国人いくら、日本人いくら」と較べると少しソフトだ。 

 全員向けのワンプライスがまずあって、そこからローカルの人を割り引くという順番がいい。
 見せかけだけかもしれないが、少しでも外国人の気持ちも考えながら、コストの負担や上乗せをお願いしたらどうかと思っている。

 最後に、そんなことを考えている最中、意外な事実を発見した。

 以下は日米の出入国関係税の比較である。
 合計額で日本がアメリカの3分の1という安さには驚く。

 目を疑ったが、日本は外国人の入国に際し1銭もとっていないのだ。念のため財務省の担当箇所にも電話して確認したので間違いないと思う。

 入国時などの徴収を何故考えないのだろうか?
 アメリカのように入国の時に航空券代金と一緒に徴収する方法が最もスムーズだろう。

 今年3000万人以上の訪日客が来るだろうから、あと1万円をいただければ3000億円の収入増となり、訪日客のためのいろいろな施策に使うことができる。

 もし、この詳細な事情など存知の方がいればお教えいただければ幸いだ。(了)

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