NO33.「あるくみるさがす」クアラで世界2番目に高い新ビルに出会った。(2024年5月上旬)
東南アジアの主要な都市はほとんど廻ったがマレーシアのクアラルンプールだけはまだだった。
私の旅は「自らが心やすらぐ場所を探す旅」。
この街はほぼ想像していた通りのところだったが、わずか4泊程度で行った所の何がわかるのだろう。例えば東京に4泊してどれほど日本や東京のこと、その文化や日本人のことを理解できるかを考えてみると分かりやすい。
だから旅の前後に学ぶことがより重要になるのだが。
それでも現地に足を運び感じ取った直観や発見は大事にしたい。それが旅行の楽しみ方でもある。
クアラ観光の目玉の一つは、「ペトロナスツインタワー」(88階/452m)。ここは1998年から2003年の5年間世界で最も高いビルだった。
現在は18番目に後退したが、賢く「世界で最も高いツインタワー」と自らをリブランドしている。
今年、この地に世界で2番目に高いビルが完成した。
それが「ムルデカ118」(118階/679m)。
まだ最新の日本語ガイドブックにも掲載されず、今回現地に行って初めてその存在を知ることになる。ここには政府系投資会社がキーテナントとして入りオフィスやホテル(パークハイアット)などが入居する。既に今年建物が完成しビル開所式も行われたと現地で聞いた。
「ムルデカ118」はアジアの中ではNO1の高いビルとなる。
高いビルの世界ランキングを見ると、100位までにアジアのビルがなんと60棟も入っているのには驚く。その中での1番とは輝かしい。
世界第1位の地位はドバイの「ブルジュ・ハリファ」(163階/828m)が依然として保っている。そこも数年前訪れたことがあるが、ここまで高いと正直その高さの違いを実感するのは難しい。
だからこそそのタイトル獲得重要な価値になる。
「ブルジュ・ハリファ」も「ムルデカ118」も韓国のサムソン物産建設部門が建設をした。韓国の企業が世界的な摩天楼を作る技術を持っていることは尊敬に値する。
ちなみに、我が国の最も高いビルは昨年11月に完成した「麻布台ヒルズ」(64階/330m)だが、高さでは世界100位にも入っていないのが知るべき現実である。
クアラで見るべきもう一つのスポットは、「プトラジャ行政新首都」だ。
クアラの南25キロ、空港に行く中間地点に作られた街で人口湖の回りに官庁ビルや約12万人の公務員住宅が整然と並ぶ。
その広さは東京山の手線内側の8割くらいの広さで、美しい緑地が整備をされていて一見に値する。お勧めは45分程度の見学クルーズ船に乗ってこの街を観光する方法で、その広さが実感できる。市内観光コースに組み入れるべきだろう。
尚、国の役所はここにあるが、国会議事堂はクアラの市内に残っているので、その理由をガイドに聞いたが明確な理由は知らなかった。行政と立法が離れている点がちょっと気になる。
マレーシアは、マレー人、中国人、インド人など文化、言語、宗教などが異なる人達からなる国。私たちには想像ができない現実や課題もあるだろうが、民族の壁を越えたグローバリズムに向かっている国と言えるのではないか。
一民族としての日本人がそこにいても違和感はないかもしれない。
逆に日本はほぼ単一の民族国家の国。故にマレーシアと違い構成員への同調圧力がより強く、社会的なストレスを感じやすいと言える。人に優しいのはどっちの国だろうと考えてしまう。
以前は目標であり、目指すべき理想だった「グローバリズム」が、避けるべき危険なものとして捉える人が増えてきた。
「グローバリスト」は恐ろしい征服者を指す言葉になった。
本来、国境や民族の壁を越えて世界が融合していことは人類にとって正しい方向ではないかと考えるのだが、古い発想になるのだろうか?
「ペトロナスツインタワー」は今でも人気で混んでいるためネットなどで事前予約しないと展望台に行くことは難しい。
私は実は訪問日を間違って予約してしまったことに前日気付いた。ダメ元で当日受付に行き、日付違いの予約画面を見せ間違ったことを正直に言ったところ、「ちょっとこちらでお待ちください」と言われて暫く待機した後、スタッフが特別に1人分の入場枠を準備して案内してくれた。
ネット社会では例外なく断られてしまうのが当然の帰結だが、こんなちょっとした「人の優しさ」はきっとマレーシアの持つ特性だと密かに思いたい。 (了)