見られたくないもの
先日、ある人から言われた言葉が、まだ胸に残っている。
「あなたには、見られたくないものがあるんですね」
そう。
僕たちには、誰にも見せたくないものがある。
叶わない現実を作り上げているとき、僕たちは実は、そっちの方を必死に守っているのかもしれない。
望みよりも大切な見られたくないもの。
たとえば。
幼い頃の傷み。
誰かに裏切られた記憶。
自分を否定された瞬間。
そういった痛みの記憶は、ただの過去ではない。今を生きる僕たちの、大切な一部になっている。
誰かに話そうとすると、不思議と言葉が出てこない。出てきたとしても、どこか他人事のような言い方になる。
痛みは、そっとしておきたいもの。
でも、時々思う。
その痛みこそが、今の自分を作っているのだと。
だから守るのだ。
望みが叶うことより、その痛みを。
それは、とても誠実な選択なのかもしれない。
ただ、少し寂しいのは。
その痛みを、誰かと分かち合えたら、という思い。
でも、それはまた別の話。
気がつけば、外は真っ暗。
お腹が鳴る音で、ふと我に返る。
誰もが、何かを抱えて生きているんだろうな。
そんなことを考えながら、今日はここまでにしよう。
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