欲望の行列
昨日、コンビニの前で宝くじ売り場を見かけた。
「今度こそは!」という顔で並ぶ人たち。
僕も以前は、その列の中にいた。
宝くじを買うとき、多くの人たちは非現実的な妄想をする。
「宝くじが当たったらどうしますか?」
あるテレビ番組の街頭インタビューを観たことがある。
「世界一周旅行に行きたいです!」
「豪邸を建てたいですね」
「仕事を辞めて、好きなことをしたい」
答える人の表情が、みんな同じように輝いていた。
僕にも覚えがある、あの表情。
大金という大きなエネルギーは、人の本質を浮き彫りにする。
よく聞く話がある。
「大金を手にして、あの人は変わってしまった」
でも、本当だろうか。
変わったのではない。元からあった何かが、表面に現れただけなのだ。
それは、人間の本質とも言えるのかもしれない。
大きな何かが訪れたとき、簡単にぶれてしまう。
それまでの人生を、なかったことにしてしまう。
お金に限った話じゃない。 突然の注目を浴びたときも、予期せぬ成功を手にしたときも。
宝くじ売り場の列を見ながら、僕は思った。
「俺は、こう生きる」
その答えだけは、この手から離してはならない。
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