見出し画像

『モモ』が教えてくれた、時間の真の価値

僕の頭の中には、一冊の本がくっきりと残っている。ミヒャエル・エンデの「モモ」だ。この物語を読んでから、僕の時間の見方がすっかり変わった。

一番印象に残ったのは、時間貯蓄銀行に自分の時間を預けて、あっという間に時間をなくしてしまった町の人たち。

彼らの様子を見ていると、今の僕たちの生活とそっくりで、ちょっとゾッとする。

エンデはこう書いている。

時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。自分たちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとはしませんでした。

『モモ』(文庫版) ミヒャエル・エンデ著 p106

なんだか耳が痛い。僕も効率化や生産性を追い求めるあまり、大切な何かを見失っているんじゃないだろうか。時間を節約しているつもりが、実は命そのものを削っているような気がしてくる。

時間とは、命そのものとも言える。

何に命を使うのか。何のためにその時間に命を使うのか。

そうだな。いい機会だし、改めて時間の使い方を見直してみるのもいいかもしれない。

別の何かをケチケチしていることに、気づくために。


いいなと思ったら応援しよう!

けーすけ
よろしければサポートをお願いします!いただいたサポートは、作家としての活動費に使わせていただきます。