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ビジネスには人を見抜く力が必要

私は、平成24年8月に約28年勤めた警察を退職しましたが、約20年を刑事として過ごしました。詐欺、横領、選挙違反、贈収賄事件などを扱う知能犯担当が長く、政治家、公務員、詐欺師など約2.000名の取調べや事情聴取を行いました。退職時の階級は警部で刑事課長、本部課長補佐、警察庁(管区)課長補佐、広域緊急援助隊中隊長を経て独立しましたが、その大きなきっかけは東日本大震災でした。3.11の夜から救出部隊の責任者として部下64名と共に福島県に派遣され、第一原発の放射能漏れの中、捜索活動に従事したのです。

この経験が私の人生の大きな転機になりました。元々独立したいという思いが頭の片隅にあった私は「人間なんて簡単に死ぬ。生きているうちにもっと挑戦したい」と思うようになりました。その後、職場に隠れて起業塾に通うようになり、塾の仲間に多いに刺激を受けて一大決心の上で独立したのです。
 現在は一般社団法人日本刑事技術協会の代表理事して活動し、講演や企業研修などで全国の経営者団体や企業などに精力的に伺っています。
 私が主宰しているのは「刑事塾」という学びの場です。刑事塾は刑事のスキルであるウソや人間心理の見抜き方を企業研修や講演の形で学ぶことができます。実はビジネスでは相手のウソや心理を見抜かなければならない場面が沢山あります。例えば、採用面接がそうです。どこの企業も良い人材を採用するために採用面接を行いますが、採用面接官の面接スキルが乏しく、応募者の人間性を見抜けなかったり、聞いたことをそのまま信用して「誤採用」してしまうことがあります。採用面接は「優秀な人物を採用するため」ではなく、「採ってはいけない人物を採用しないため」に行うべきです。採ってはいけない人物を「誤採用」すると生涯賃金2億円を払い続ける必要があります。また「できる人間」の時間を食います。できる人間の時間が食われると生産時間は落ちていきます。全体としては大きなマイナスになりかねません。ですから採ってはいけない人物を採らないための面接力を強化する必要があります。


 また、企業が大きくなると一定の割合で問題社員が存在します。メンタル不全、パワハラ、セクハラ、不倫から横領、背任などの犯罪行為に至るまで多種多様です。この中で特に犯罪行為については看過できず、企業としては直ちに事実関係を明らかにして不正社員を排除したり、責任追及をしたいところです。ところが、ここでも人事担当者の面接力が乏しくて不正を明らかにできない場合があります。疑惑を認知して調査した結果、証拠があればいいのですが、証拠がない場合でも当該社員から話を聞くことになります。ここで事実を認めれば問題ありませんが、自供しない場合にどうするか、という問題が生じます。不正事案を担当する人事担当者に刑事のスキルがあればうまく話しを引き出せるかもしれません。ここでも刑事のスキルであるウソや人間心理の見抜き方が必要になるでしょう。今後こちらのnoteではビジネスで必要な面接力を強化するヒントも書いていきたいと思います。

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